(ヒストリアンが、ビジョンを描けない問題が、引き続き起こっているように見えます)
2022/04/26の日経新聞の第1面に、「いかせぬ経済・金融カード」という見出しで、日本のSWIFT対策の経緯が書かれています。要点は以下です。
2月27日未明に、日本以外のG7は、ロシアのSWIFTからの排除を決定しています。日本は、首相らが協議して、27日夜に、日本も、日本以外のG7に足並みをそろえて、ロシアのSWIFTからの排除を決定しています。日本だけが、半日遅れです。
4月7日に、日本以外のG7は、ロシアによる民間人殺害を受けて、首相声明で、石炭禁輸を打ち出します。日本が、日本以外のG7に足並みをそろえて、石炭禁輸を打ち出したのは8日です。日本だけが、1日遅れです。
日本経済新聞の論調は、「日本も有事で経済力をどう活用するか考えてこなかった。経済力を万が一の事態に備える対抗手段として検討すべき」というものです。
ここまで書けば、筆者の指摘は予測できると思います。
ヒストリアンは、ビジョナリストにはなれません。
「日本も有事で経済力をどう活用するか考えてこなかった。経済力を万が一の事態に備える対抗手段として検討すべき」は、困難です。
日本だけが、半日遅れ、1日遅れだった理由は、ヒストリアンだからです。
問題が起こると、安易に、ビジョンを作れば良いと考え、結局、ビジョンができずに30年経ちました。
ビジョンと言えば、「新しい資本主義」のスケジュールが、ロイターに出ていました。
2022/04/26のロイターによれば、岸田首相は「今回の緊急対策を第1段階、6月までに取りまとめる『新しい資本主義』のビジョンと実行計画、骨太の方針などを第2段階とする」そうです。
ビジョンは、問題を解決する手順を記載するものです。
首相官邸には、次のように書かれています。
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私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。成長を目指すことは極めて重要であり、その実現に向けて全力で取り組みます。しかし、「分配なくして次の成長なし」。成長の果実を、しっかりと分配することで、初めて、次の成長が実現します。大切なのは、「成長と分配の好循環」です。「成長も、分配も」実現するため、あらゆる政策を総動員します。
官民が協力して、「成長」と「分配」を実現
①成長戦略
(1)科学技術・イノベーション
(2)「デジタル田園都市国家構想」などによる地方活性化
(3)カーボンニュートラルの実現
(4)経済安全保障
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正直にいって、何がビジョン(問題を解決する手順)なのか理解できません。
ビジョナリストは、30年間、お題目を並べて、結局実現できなかった経済成長の歴史を再構築して、問題点を取り除くことがスタートだと考えます。
現在の「科学技術・イノベーション」と「デジタル」の中核は、クラウドシステムですが、日本のITベンダーでは、クラウドシステムを構築できるところがありません。
ウクライナ情報変革副大臣は、自分でビジョンをつくって実行しています。
丸投げできるものがビジョンであるとは思えません。
引用文献
経済財政運営は2段階で、6月までに「新しい資本主義」示す=岸田首相 2022/04/26 ロイター
https://jp.reuters.com/article/pm-kishida-comments-idJPKCN2MI0Q2
未来を切り拓く「新しい資本主義」
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/seisaku_kishida/newcapitalism.html