2022/02/24のウクライナ

ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ東部の親ロシア派2地域の独立を承認する大統領令に署名しました。これを受け、ロシア連邦議会上院は22日、プーチン氏が要請した国外へのロシア軍派遣を全会一致で承認しました。

 

ブリンケン米国務長官は23日、ロシアが24日夜明けまでにウクライナに侵攻するとの見方を示しました。

 

2022/02/24の朝日新聞によると、24日未明に、爆撃があったようです。

ロシアのウクライナの現在の実効支配の境界線は、ドネツク州とルガンスク州の一部です。そこまでは、ロシアが地上軍をすすめる(1次展開)ことは織り込み済みです。また、ミサイルなどで、制空権に揺さぶりをかけることも織り込み済みです。

 

問題は、ドネツク州とルガンスク州の一部以外のウクライナに地上軍を展開する(2次展開)か否かです。

 

2022/02/24 17:06のロイターは、中国は、2次展開は起こっていないといっています。

 

Orysia Lutsevych氏は、2022/02/24の正午ごろに、2次展開が始まったといっています。

 

最新のニュースは、ツイッターのUKLINE WORLDです。

 

ウクライナ軍は、ロシア軍の2次展開があったといっていますが、UKLINE WORLDの写真では、確認できませんでした。

 

恐らく25日か、26日には、状況がはっきりすると思います。

 

前回、2次展開がないと考えた理由は、2次展開に伴う、ダメージが大きいと考えたからです。



言い換えれば、ロシアは、NATOとは、一戦を交えたくないと考えているということです。

 

NATO、(あるいは、ウクライナが、希望していた国連平和維持軍)がウクライナに入らないないことが確認できれば、ロシアがウクライナ全土を占領することもあり得ます。

 

23日に、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は「1994年、ウクライナの “核放棄”のかわりに、米国が交わした安全保障の約束を守らなければならない」と求めています。

 

ロシアはジャブをきかせて、NATOの出方をうかがっている可能性があります。



この辺りの見通しに関する記事を検索してみました。



2022/02/23のロイターの記事(インタビューは21日)に、外交アナリストで、前ジョージア駐在米国大使のイアン・ケリー氏は、外交的解決は困難との見方を示しています。

 

 「プーチン氏の狙いはウクライナ領の大きな一部を独立承認し、主権が及ばない部分を切り離すことで、ウクライナを弱体化させること、キエフに新たな政府を樹立すること」という、キエフ侵略(2次展開)はありうると予測しています。

 

2022/02/23のロイターの記事(インタビューは22日)に、シンクタンクカーネギー・ヨーロッパのシニアフェローであるジュディ・デンプシー氏は、2014年のクリミア併合の再来であるといいます。デンプシー氏は、1次展開は、不可避とみていますが、2次展開の扱いは不明です。



2022/02/13の朝日新聞に、ドイツ外交関係評議会(DGAP)研究部長のChristian Mölling氏は、次の様に述べています。

 

「ロシアのプーチン大統領は、領土を少しでも手に入れ、自国に向けて力をアピールすること、ロシアは国境を好きなように動かせるが、欧米は好きなように動けないだろうと欧米側に示す」ことを考えているといいます。

 

つまり、欧米は経済制裁はするが、軍事的には、動かないだろうと予測していることになります。

 

2022/02/10の朝日新聞で、英王立国際問題研究所のオリシア・ルツェビッチ(Orysia Lutsevych)氏は、次の様に述べています。 

 

「ロシアが本当に恐れているのは『民主主義』です。民主主義が欧米からウクライナを通ってロシアに入るのではないか、と懸念しています。(中略)ただ、ロシアの狙いはドンバスの問題解決でなく、ウクライナの不安定化にあります」

 

つまり、2次展開もありうるとの立場です。

 

欧米が、ウクライナNATO軍を投入すれば、ロシアは、撤退します。

 

しかし、ロシアは、それはないと判断しています。



つまり、ウクライナを侵略しても、反対勢力は、ウクライナ軍だけであると考えています。

 

2022/02/24 21:22の KYODOによると、北大西洋条約機構NATO)のストルテンベルグ事務総長は24日の記者会見で、東欧での部隊増強の方針を示す一方、ウクライナには部隊を派遣しないと述べています。

 

つまり、NATOのお墨付きが得られました。

 

この場合、軍事力では、ロシアが、ウクライナ支配下におくことは、さほど、難しいことではありません。

 

経済制裁の効果は、中期的であり、短期的に、侵略を終えれば、実効支配の障害にはなりません。

 

オリシア・ルツェビッチ氏は、ロシアは、旧ソ連時代よりも、経済的利益の追求に熱心ではないといっています。

 

ロシアが経済制裁を受けた場合の、救いの手は、中国です。ロシアは、中国に、石油と天然ガスを売る契約をしています。

 

一方、中国は、ウイグルや台湾問題を抱えているので、ドネツク州とルガンスク州の独立は支持できないとも言われています。

 

欧米の経済制裁が、ロシア産の石油や天然ガスをつかって作った中国製品の輸入禁止にまで拡大すれば、別ですが、それがない場合には、経済制裁の効果は限定的とも思われます。

 

2022/02/24 21:31のテレ朝NEWSによると、中国の税関当局は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった24日、ロシアからの小麦の輸入を拡大すると発表しています。

 

こう考えると、キャスティングボードを握っているのは中国です。

 

欧米のNATO軍が、ウクライナに軍事展開する可能性が、なくなったので、中国が動かなければ、ロシアは、キエフなどに、軍事展開(2次展開)すると思われます。

 

「ロシアからの小麦の輸入の拡大」は、中国のお墨付きですから、25日には、地上軍が本格的に、展開を始めるでしょう。



部隊派遣しないとNATO事務総長 2022/02/24 21:22 KYODO

https://news.yahoo.co.jp/articles/66af5ca55dcf5ed11abb54e9eb8f0b607220856b

 

中国がロシアからの小麦輸入を拡大へ ウクライナ産停滞を見越して? 2022/02/24 21:31 テレ朝 NEWS

https://news.yahoo.co.jp/articles/edf9a69c6b5e6627246e1eb47b12af532a548824

 

ウクライナ外相「米国の安保を信じて28年間 “核放棄”してきた」…「代価を払え」 2022/02/23 WOW!Korea

https://news.yahoo.co.jp/articles/a23f276eb51d7a50f580d5cb136d357111325c29



習近平には恐怖!――ウクライナの二つの「独立国家」承認はウイグル族の独立を刺激 2022/02/23 中国問題グローバル研究所 遠藤 誉

https://grici.or.jp/2919

 

中国、ウクライナ情勢で自制呼び掛け 「侵攻」ではないと主張 2022/02/24 17:06 ロイター

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-china-ministry-idJPKBN2KT0SU

 

ロシア、夜明けまでにウクライナに侵攻へ─米国務長官=NBC 2022/02/24 10:01 (元記事 2022/02/23) ロイター

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-ukraine-idJPKBN2KT03M

 

ウクライナでロシア軍の空爆始まった可能性。首都キエフでは30分以上の爆発音 2022/02/24 12:55 朝日新聞

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6217000de4b0d1388f0f4923



親ロ派地域の独立承認、その影響は:識者はこうみる 2022/02/23 ロイター

https://news.yahoo.co.jp/articles/8d961ea008a48663ac09cc593586808306b37d80

 

「米欧は動けないだろう」 プーチン氏の狙い ウクライナ危機の深層 2022/02/13 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASQ2D7HT8Q29UHBI02N.html?iref=pc_rensai_article_short_1442_article_3

 

UKLINE WORLD

https://twitter.com/ukraine_world

 

Christian Mölling

https://twitter.com/Ce_Moll

 

Orysia Lutsevych

https://twitter.com/orysiaua

 

ロシアが真に恐れることとは 侵攻の可能性は ウクライナ危機の深層 2022/02/10 朝日新聞

 

https://www.asahi.com/articles/ASQ294JGZQ24UHBI03Y.html