5月に入って、ウクライナ情勢が大きく動いています。
5月19日の情報はありませんが、18日までの情報を、元の発表日の時間に沿って、ピックアップしてみました。
留意点は、3つです。
(1)情報量
情報量は、CNNが他を圧倒しています。日本の新聞を読むのは時間の無駄に思われます。
(2)分析記事
日本の新聞でも、論説がのることはありますが、これは、提案のようなものです。
日本のマスコミでは、情報分析は、専門家に丸投げして、専門家の意見を引用するだけです。
米国は10日、防空装備やその他武器を含む4億ドル(約623億円)規模の支援策を発表した。
ロシアとしては、追加支援が来る前に、戦局をできるだけ有利に進めるインセンティブがあります。
同じ兵器と兵力を投入するのであれば、追加支援が来る前が、追加支援のあとより有利になると思われます。
ロシアが5月に兵力を集中投入した場合に、ウクライナがどこまで耐えられるかが課題になります。
今回のポイントは、「ウクライナ、ロシアの越境攻撃で弱点露呈 最も過酷な1カ月に 2024//05/13 CNN ティム・リスター」です。CNNのティム・リスター氏は、状況分析をしています。
リスター氏の結論は、以下です。
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ロシアは前々から準備を進め、今それを利用している。米国の行動の遅さ、それによって今直面しているジレンマのため、ウクライナは厳しい決断を迫られるかもしれない。
そうした決断で、時間を稼ぐために領地を手放すことになるかもしれない。結果として、失った領地の大半が奪還できない可能性を受け入れることになるかもしれない。
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つまり、ウクライナは部分的に敗退するリスクは無視できないといいます。
BBCは、次のように言っています
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ウクライナ軍の報道官は、ハルキウ州の2地域から「より有利な位置」に部隊を移動したと説明した。
ウクライナはこの2年間の戦争で、撤退を意味する場合にこうした表現を使っている。
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これは、太平洋戦争の時の、日本軍が、徹底と言わずに、転進といったことに対応しています。
戦況は太平洋戦争並みになっているかもしれません。
3)報道の信頼性
日本のマスコミは、タス通信やロシア軍の発表情報をそのまま、伝えています。
日本のマスコミは、タス通信が、発表したということが事実であれば、発表の内容のファクトチェックは不要であるという立場です。
もちろん、これは、日本だけのローカルルールです。
英米のマスコミは、報道内容のクロスチェックをします。
クロスチェックが出来なかった場合には、記事の掲載を見送るか、記事の内容に確認がとれていないという但し書き付きの記事にします。
「発表したということが事実であれば、発表の内容のファクトチェックは不要であるという立場」は、読者の利便性を無視しています。このような役に立たない情報に対して、購読料を払う人がいなくなるのは当然です。記事の品質は、無料のロイターや、CNN以下ですから。
政治資金規正法を改正する自民党案について、岸田総理大臣は17日の参議院本会議で「政治とカネの問題に対する抜本的解決策だ」と述べ、「実効性ある再発防止策だ」と強調しました。
日本のマスコミは、岸田総理大臣の発言の「政治とカネの問題に対する抜本的解決策だ」と「実効性ある再発防止策だ」をそのまま記事にしています。
政治資金規正法の改正が、「実効性ある再発防止策」でない場合には、この記事はフェイクになります。
これは、内容の確認ができていないためと思われます。
以下に、要点と出典を並べます。
5月18日
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カボリ北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官は18日までに、ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ北東部ハルキウ州の戦況に触れ、「戦略的な打開」を得るのに必要な兵員をロシア軍は保持していないとの見方を示した。
ただ、ロシア軍は「局地的な前進」は果たしていることは認めた。
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<< 引用文献
ロシア軍、ハルキウ州で「戦略的打開」可能な兵員なし NATO2024/05/18 CNN
https://www.cnn.co.jp/world/35219075.html
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ウクライナのドミトロ・クレバ外相は土曜日、前線の現状は「厳しい」と認め、 最近のウクライナの戦場での挫折は「十分に行動していない全員」のせいだと述べた。
クレバ氏は、エストニアのタリンで開催されたレナート・メリ会議でビデオ会議を通じて、「皆さんに感謝しているが、十分な努力をしていない皆さんを責める」と語った。同氏は、ロシア軍がそれを利用してウクライナへさらに進軍することができた援助の遅れについて、米国に責任があると考えるかについてのCNNのジム・シュット氏の質問に答えた。
クレバ氏のコメントは、ロシア政府がウクライナ北部での攻勢を強化した後に出た。先週、同国は 2年間の戦争で最も驚くべき作戦を開始し 、北部国境を越えて国内で2番目に人口の多い都市ハリコフを占領する新たな試みを行った。
ハリコフ州北部のボフチャンスク市は、周囲の村々を制圧すると主張するロシア軍の猛攻撃にさらされており、民間人は避難を余儀なくされている。
クレバ氏は前線におけるウクライナの現在の立場を「厳しい」と評した。
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<< 引用文献
ウクライナ外相、戦場での挫折は「十分な努力をしていない全員」のせいだと非難
Ukraine’s foreign minister blames battlefield setbacks on ‘everyone who is not doing enough’ 2024/05/18 CNN
https://edition.cnn.com/2024/05/18/europe/ukraine-kuleba-aid-battlefield-setbacks-intl/index.html
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5月17日
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ウクライナの当局者は17日、ロシア軍が国境の町ボウチャンスクの民間人数十人を拘束したと明らかにした。地元警察トップは、ロシアが住民を「人間の盾」に利用しているとの非難を展開している。
ロシア軍が国境の町の住民拘束、「人間の盾」に利用 ウクライナ当局者 2024/05/18 CNN
https://www.cnn.co.jp/world/35219078.html
ウクライナ軍のシルスキー総司令官は17日、ロシアが地上侵攻している北東部ハリコフ州の前線で「激しい戦闘」が迫っていると警告した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、ロシア軍がハリコフ州の一部地域で10キロ進軍したと認めた。
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<< 引用文献
北東部ハリコフ州「激しい戦闘」迫る、ウクライナ軍総司令官が警告 2024/05/18 ロイター
https://jp.reuters.com/world/ukraine/WPYXIFWR7RIC7FCE5U4WNERFMU-2024-05-17/
ロシア国防省「ハルキウ州で12集落掌握」発表…ゼレンスキー氏、露の作戦は「第1波」の見解 2024/05/18 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240518-OYT1T50126/
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5月16日
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ウクライナは、北東部ハルキウ州のロシアとの国境地帯にあるいくつかの村から部隊を撤退させた。ウクライナ軍が15日までに発表した。一帯ではロシア軍が攻撃を続けている。
ウクライナ軍の報道官は、兵士たちが激しい攻撃を受けたとし、「命を守り、損失を避ける」ため、ハルキウ州のルキャンツィ、ヴォヴチャンスクの2地域から「より有利な位置」に部隊を移動したと説明した。
ウクライナはこの2年間の戦争で、撤退を意味する場合にこうした表現を使っている。
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<< 引用文献
ウクライナ軍、ハルキウ州の一部から撤退 ロシア軍の越境攻撃続 2024/05/16 BBC
https://www.bbc.com/japanese/articles/c8vzvl4eedzo
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ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ロシア軍の激しい攻勢を受けている北東部ハルキウ州を視察し、軍高官らから戦況報告を受けた。ゼレンスキー氏は「極めて困難」な状況であるとの認識を示し、部隊を増強していることも明らかにした。
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<< 引用文献
ゼレンスキー大統領、ハルキウ州を視察 「極めて困難な状況」2024/05/17 CNN
https://www.cnn.co.jp/world/35219015.html
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5月15日
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ゼレンスキー大統領は今後数日間に予定していた外遊をすべて延期した。大統領府が15日に発表した。
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<< 引用文献
ゼレンスキー大統領、外遊予定をすべて延期 ロシアの攻勢強まる 2024/05/15 CNN
https://www.cnn.co.jp/world/35218967.html
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ブリンケン米国務長官は15日、訪問先のウクライナの首都キーウで、対外軍事融資として同国向けに追加で20億ドル(約3100億円)を拠出すると発表した。また、待ち望まれている武器や弾薬を急いで前線に輸送中だと明らかにした。
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<< 引用文献
米、ウクライナに3100億円の追加軍事支援 2024/05/16 CNN
https://www.cnn.co.jp/usa/35218975.html
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5月13日
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ウクライナにとって、5月は今までで最も過酷な1カ月となりつつある。
専門家の意見では、ドネツク州チャシブヤールのウクライナ軍の兵力はロシア軍の10分の1の可能性がある。砲弾の数も慢性的に不足し、空からの防衛はゼロだ。
米国は10日、防空装備やその他武器を含む4億ドル(約623億円)規模の支援策を発表したが、それをはるかに超える量が必要になるだろう。
ゼレンスキー氏は先週、追加支援が到着したあかつきには「東部で(ロシア軍を)止めることができる」と断言した。だが、「現地の状況が非常に厳しい」ことも認め、現時点までに届いた支援は「議会で可決された量には達していない」と主張した。
ロシアは軍事支援の中断に備えていたとバロン氏は言う。「ここ最近のロシアの前進は、単なる日和見主義によるものではない。ロシアは前々から準備を進め、今それを利用している。米国の行動の遅さ、それによって今直面しているジレンマのため、ウクライナは厳しい決断を迫られるかもしれない」
そうした決断で、時間を稼ぐために領地を手放すことになるかもしれない。結果として、失った領地の大半が奪還できない可能性を受け入れることになるかもしれない。
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<< 引用文献
ウクライナ、ロシアの越境攻撃で弱点露呈 最も過酷な1カ月に 2024//05/13 CNN ティム・リスター
https://www.cnn.co.jp/world/35218850.html
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5月10日
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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領が17日、首都キーウでAFPの独占インタビューに応じた。
ロシア軍はこれまで数か月にわたってわずかに前進したのみだったが、10日にハルキウ(Kharkiv)州で新たな攻撃を開始して以来、過去1年半で最大の占領地拡大を達成した。
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<< 引用文献
ウクライナ大統領、北東部でのロシア攻勢を警告 2024/05/19 AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3520073?cx_part=theme-latest
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