ウクライナの状況 - computer

ロシアのプーチン大統領は2022/02/21、ウクライナ東部で支援する親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」について、独立を承認する大統領令に署名しました。大統領令でロシア軍の派遣も決定しました。

2022/02/20のハフポストで、慶應義塾大学の廣瀬陽子教授は、ロシアの軍事侵攻の可能性を否定しないものの、ウクライナの併合は「全くメリットがない」と指摘しています。

日本語のウィキペディアでは、「2022年2月22日にウラジーミル・プーチン大統領がドネツク・ルガンスク両州の独立を認める大統領令に署名したことにより、ミンスク議定書の効力は事実上破綻した」として、いますが、英語版には、そのような表現はありません。

英語版では、「2022年1月、ウクライナ国家安全保障防衛評議会の事務局長であるオレクシー・ダニーロフは、『ミンスク合意の履行は国の破壊を意味します』」といったと書かれています。

ミンスク合意には、ドネツク州とルガンスク州に、「特別な地位」の付与が書き込まれています。この解釈を巡って、ペンディングになっていました。

つまり、ロシアが、一方的に、ミンスク合意を破ったとは断定できません。

ドネツク州とルガンスク州は、親ロシア派の支配下にあります。

ミンスク合意のロシアの解釈は、ドネツク州とルガンスク州に、限りなく独立国に近い「特別な地位」の付与をすることです。そして、これに、ウクライナは、反対してきました。

ドネツク州とルガンスク州と残りのウクライナの間には、地雷があり、移動はほぼ不可能です。ロシアは、この境界線を越えることはないと思われます。廣瀬陽子教授のロシアの軍事侵攻をして、ウクライナを併合する「メリットがない」という発言は、ここを越えないという意味だと思われます。

この境界線までであれば、ロシアの実効支配エリアですから、障害なく、進軍できます。

ドネツク州とルガンスク州は、親ロシア派の支配下にあります。つまり2014年から、内戦状態は続いています。

ある国が、内戦下にある状態ではNATOに参加できません。

ウクライナがNATOに参加できる条件は、次のいずれかです。

１）ドネツク州とルガンスク州を、ウクライナ政府の実質的な支配下に取り戻す。

２）ドネツク州とルガンスク州の独立を認めて、ウクライナから切り離す。

１）は、軍事力の差から、不可能です。

ロシアは、ロシアが解釈するミンスク合意の結果として、２）を求めてきましたが、ウクライナは、その条件を飲まなかった訳です。

ドネツク州とルガンスク州には、ロシア語を離すロシア系住民が多いので、住民投票をしてもどうなるかは不明です。

ウクライナからは、外国の大使館や、企業の人が、国外退去を始めており、経済が悪化しています。

ロシアは、ウクライナが紛争状態なので、ウクライナがNATOに加盟することは、当分ないと判断していると思われます。

ウクライナの経済が、更に悪化した場合には、どうせ取り戻せないのであれば、ドネツク州とルガンスク州を切り離して、NATOに加盟すべきと考える人が増える可能性があります。

ミンスク合意は、ドネツク州とルガンスク州とウクライナの間にある境界線を固定化して、ともかく、紛争を収束させることを優先しています。つまり、ここには、ドネツク州とルガンスク州の独立という爆弾が含まれています。

「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立承認は、EUや国連からは非難されていますが、ロシアが、注目しているのは、ウクライナの反応です。

米国は、本来は、ウクライナ問題には直接の利害関係にありませんので、発言できる立場にはありません。しかし、ロシアが、戦争の準備をしているということで、武器の販売を進め、国内でのエネルギー開発をすすめています。

衛星写真を元に、ロシアが開戦の準備をしているという動きは、イラク戦争のときに、大量破壊兵器があるという発言にあまりに酷似しています。これでは、米国の武器産業が、ビジネスチャンスを探しているとも解釈できます。

EUは、ロシアの代わりに、米国から、天然ガスを購入できるかも知れませんが、コストは増大するはずです。

今回、ロシアは、こうした米国の動きかたを予測して、仕掛けてきた可能性もあります。

廣瀬陽子教授のいうロシアが、ウクライナに軍事侵攻して、ウクライナを併合することは、「全くメリットがない」状況は変わっていませんので、ドネツク州とルガンスク州の地雷のエリアを越えて、軍隊を投入することはないと思われます。

ウクライナ危機、専門家はこう見る。プーチン大統領が得た「5つのお土産」とは？ 2022/02/20 ハフポスト

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