比較という手法(1)~株式の勉強(3)

みずほ銀行の新しいCEOがきまりました。

今回は、比較という手法を取り上げます。 比較という手法は、ジャレド・ダイアモンドが、基本的な研究手法として取り上げています。データサイエンスは、比較はしますが、比較は手法としては認められていません。あまりにも、プリミティブだからです。

ダイアモンドには、「銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎、」「文明崩壊―滅亡と存続の命運を分けるもの」、「昨日までの世界―文明の源流と人類の未来」といった著書がありますが、ともかく、タイムスパンがあまりに広いので、通常の因果モデルでは、扱えない範囲を対象にして論じています。比較は、このような広範で、因果を考えるには、十分なデータが手に入らない場合にも、利用可能な長所があります。

1)タイプA:

まず、比較のタイプAとして、みずほ銀行を取り上げます。

みずほ銀行は、システム障害を繰り返しているので、システム障害が、今後なくなるかは、大きな問題です。

しかし、マスコミが、みずほ銀行について、記事にしている内容は、その人事が中心で、旧銀行の年功型の合併前の旧銀行の間の持ち回り人事が、引き続き行われていることで、体質が変わらないといういう点に集中しています。

年功型で、問題解決の出来ない人が、トップになれば、組織はアウトになります。これは、日本の企業が失われた30年になった原因の一つです。

1997年のノーベル経済学賞は、ブラック–ショールズ方程式のショールズとマートンに授与されています。つまり、1997年には、金融工学の手法で、資産運用をすることが、一般的になっていた訳です。

2022年は、それから四半世紀が経っていますが、日本の金融機関で、金融工学にも続く、資産運用ができているところはありません。つまり、25年間、金融工学で、食べていくという努力をした金融機関は見当たりません。

もちろん、金融工学で食べていくためには、雇用をジョブ型にして、出来高払いの賃金を支払う必要がありますが、それをしてこなかった訳です。

システム改革の内容は、ネットの新聞記事では、見つかりませんでした。

2022/01/18の日経新聞では、「システム人員2割増」と書かれています。

つまり、システム改革は、数の問題であると考えていることがわかります。

より詳細な業務改善計画は、みずほフィナンシャルグループのHPにあります。

内容は、次の2つに分かれています。

1)株式会社みずほ銀行の業務改善計画

2)株式会社みずほフィナンシャルグループの業務改善計画

それは、わかるのですが、この資料の驚くべき点は、資料の1行目は、1)「株式会社みずほ銀行の業務改善計画」ではありません。その前に、1)2)共通事項として、次の(注)がトップにおかれています。


(注)【 】内は実施期限、[追加]は 6 月の再発防止策から追加となった項目


つまり、内容に入る前に、この資料は、今までの資料に追加修正したものであると断っています。

簡単に言えば、今までの業務改善計画に大きな間違いはない、部分修正するだけであると断っています。

ここには、システム障害の解消には、今までの業務改善計画を大きく変える必要はないとの判断が入っています。

2)タイプB:

比較の2番目には、ユニクロを取り上げます。

2022/01/14の日経新聞のインタビューで、ユニクロは、次の様にいったとつたえています。

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ファーストリテイリングが2022年から中途採用の年収を最大10億円に引き上げる。ファストリの本部に所属し、デジタル化や電子商取引(EC)、サプライチェーン(供給網)に精通した人材を募集する。ファストリの21年8月末の従業員数は約5万6000人、本部の社員は約1600人おり、大半が中途採用である。

柳井正氏は「コンサルタントや大企業出身者ではなく、 新たな価値を生んだり、事業を白紙から考えたりできる人を求める」とし、採用数に上限は設けず、「自分より優秀で天才的な人が対象」と語る。さらに「将来の競合は『ZARA』よりGAFA (グーグル・アップル・フェ イスブック・アマゾン)になる」と強調し、世界中から中途の優秀なIT人材を採用することで、競争に対抗する狙いがある。

10億円は日本企業の中途採用の平均年収の200倍超で、国内最高水準である。ファーストリテイリングの2017年の年収テーブルによると、執行役員(38歳以上)の最低5985万円〜最高2億4312万円(平均9096万円)、45歳以上の最低1億4636万円〜最高1億5008万円(平均1億4769万円)、柳井正会長兼社長の年収4億円も上回る。 —---------------------------------------------------------

3)まとめ

年齢ごとの年収は、日経新聞が、付け足したものです。

同様の視点は、ネットでも多く見られます。

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「35歳で限界」説は昔話 

「50歳過ぎた社員は新しい価値を生まない」

大手銀行内定→“生涯年収6億円”の時代から、年収400万円→“高給取り”の時代へ

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ジョブ型雇用では、賃金は年齢に対して支払われるものではありません。

仕事の出来に対して、支払われます。

IT系では、知識は5年毎くらいに更新されますので、常に新しい情報やツールが使えるように準備しておかなければ、人材の価値はありません。年齢ではなく、何ができるかだけが基準になります。

ユニクロで、10億円の仕事が、継続的にある訳ではありません。

おそらく、一番優秀な人は、ユニクロで、2、3年10億ちかく稼ぐかもしれませんが、そのあと、大きな仕事がなくなれば、より大きな仕事を求めて転職していくはずです。

こうして、比較すれば、みずほ銀行の業務改善計画は、競合する銀行との競争に生きのこる視点はなく、親方日の丸になっていることはあきらかだと思います。

年齢で判断することは不公正で、非効率です。これは、義務教育から始まっていて、できても、できなくとも、進級する不合理な仕組みになっています。この認知バイアスは、日本にしかないのですが、同調圧力があると、取り除くのは容易ではありません。

業務改善計画の提出について 2022/0/1/17 みずほフィナンシャルグループ https://www.mizuho-fg.co.jp/release/20220117release_jp.html https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20220117release_jp_1.pdf

みずほ、またも興銀出身社長 抜本的な変革みえず 2022/01/17 産経新聞 https://news.yahoo.co.jp/articles/84b283be7ca09f05bb5e3c4d2b200af383bf4a42

ファーストリテイリング中途採用の年収を最大10億円に 2022/01/14 SEVENTY FOUR(日経新聞へのインタビュー) https://article.yahoo.co.jp/detail/b3a8597beb69cedfd522f91c05fcb7dead40d525

「50歳過ぎた社員は新しい価値を生まない」空前の人手不足でも進むバブル世代のリストラ 2018/04/06 BUSINESS INSIDER 溝上憲文 https://www.businessinsider.jp/post-165189

「35歳で限界」説は昔話 ミドル転職の採用進む理由 デジタルスキルは必須 2022/01/16 NIKKEI STYLE

https://news.yahoo.co.jp/articles/ce915137f935afc38e7a40a94be7f52c9bd3f520

大手銀行内定→“生涯年収6億円”の時代から、年収400万円→“高給取り”の時代へ…「メルカリがあるから暮らしていける」で良いの? 2022/0/1/14 Ameba Times https://news.yahoo.co.jp/articles/f3b015c0977a052ffeb7242381654dacb0014007