ウニ大量死のデータサイエンス

北海道のウニが大量死して、品薄のようです。

2021/09/30の北海道ニュースUHBは、高水温が原因であると推定しています。一方、「海水温の変化以外の要因の解明と対策の構築が必要」と主張している専門家もいます。

しかし、2016年には、ストックアセスメントの論文が出ていますので、原因の候補は出ています。

一昔前であれば、こうした問題には、専門的な文献を読む必要があり、そうした文献は、大学の図書館か、大学の専門の研究室にしかありませんでしたので、部外漢が、そうした情報にアクセスすることは不可能でした。

現在は、WEBで、かなりの情報を得ることができます。最初に入手すべきは、レビューになります。FAOやNOAAなどの公的機関は、マニュアルやガイドラインを出していますので、それを検索します。あるいは、学位論文は、その分野のレビューをしていますので、その部分を調べます。

その場合に、注目すべきは、引用文献の共通性です。引用文献が、固定化している場合には、共通知識が形成されていることになります。これが、バラバラの場合(ウニはこちらのケースでした)、研究者によって見解が分かれます。

一般の人は、研究者は専門家だから、その分野の文献を、隈なく読んでいると期待すると思いますが、通常は、論文を書くために必要な論文以外は読みません。教科書や、マニュアルを書くためには、精密なレビューが望ましいのですが、手間がかかるので、その場合でも、十分なレビューがなされることは少ないです。

一方では、Google の検索は、1種のAIですから、現状は、AI頼みになっています。

前回、COSOのガイドラインについて、説明しました。筆者は、「学校法人ガバナンス改革会議」の専門家の10分の1以下の関連知識しかありませんが、COSOのガイドラインを持ってくれば、部分的には、専門家以上のノウハウを手にすることができます。

同じように、ウニの大量死について、専門家が、海外のマニュアルやガイドラインを引用しない場合には、勉強不足の可能性があります。

マニュアルやガイドラインは、論文ではなく、水産事業者が読んで分かるように書かれていますので、論文と異なり、高度な専門知識は不要です。

しかし、誰も、これらを、読まないのです。研究者は、マニュアルやガイドラインを読むことで、失われる時間を、論文作成に割きたいのです。

このため、よほど、英文が早く読める人(つまり、英文でしか論文を書かない人)以外は、英文のマニュアルや論文は避けてしまいます。

データサイエンスは、因果の候補を測定するところから始まります。その点で、マニュアルやガイドラインは、スタートに必須の文献です。

現時点のモデルは、Gonad indexまたは、gonadosomatic indexを使うものが多いようです。

なお、ウニの生産量は、周期的に変動することが多く、一定になることはまず、ありません。したがって、変動の有無を論じても始まりません。

  • ウニ大量死…北の海に訪れた史上最大【赤潮の危機】 1貫分でも“原価1000円” 年末年始の全国の食卓に余波 2021/12/27 北海道ニュースUHB

https://news.yahoo.co.jp/articles/4a3973bad8aa4bcce0bebc122a05262e11b5c418

  • 北海道の味覚「秋サケ・ウニ」大ピンチ!相次ぐ大量死…高水温で"赤潮"発生か? 有害プランクトン初確認 2021/09/30 北海道ニュースUHB

https://www.uhb.jp/news/single.html?id=23328

  • A first approach to stock assessment of the sea urchin Paracentrotus lividus (Lamarck, 1816) in Cantabria (Bay of Biscay) Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom, 2016 Xabier Guinda, Gorka Bidegain, Araceli Puente1 and Jose’ Antonio Juanes

  • BIOLOGY AND FISHERY MANAGEMENT OF THE WHITE SEA URCHIN, TRIPNEUSTES VENTRICOSUS, IN THE EASTERN CARIBBEAN FAO Fisheries and Aquaculture Circular No. 1056 SLC/C1056 (En) ISSN 2070-6065

https://www.fao.org/3/i1751e/i1751e.pdf

  • SEA URCHINS FISHERY AND ECOLOGY ed. John M. Lawrence, Oscar Guzman

  • Markets for Sea Urchins: A Review of Global Supply and Markets; Skýrsla Matís 10-17 October 2017 ISSN 1670-7192; Guðmundur Stefánsson, Holly Kristinsson, Nikoline Ziemer, Colin Hannon, Philip James

https://matis.is/wp-content/uploads/skyrslur/10-17-Sea-Urchin-Market-Report.pdf

  • Hard time to be parents? Sea urchin fishery shifts potential reproductive contribution of population onto the shoulders of the young adults; Barbara Loi1, Ivan Guala, Rodrigo Pires da Silva, Gianni Brundu1, Maura Baroli1 and Simone Farina

https://peerj.com/articles/3067.pdf

  • A Comparative Study of Sea Urchin Visual Ecology A Electronic Theses and Dissertations 2016 Author(s): Notar, Julia Claire Advisor(s): Gordon, Malcolm S.

https://escholarship.org/uc/item/573951b1