良い風景写真の条件

良い風景写真の撮り方については、多数の本が出ています。

WEBでも、日本語のページは少ないですが、英語であれば、撮影のノウハウを書いたページがたくさんあります。

地方自治体は、風景写真のコンテストを開催していて、入賞作品であれば、力作が揃っています。

しかし、風景写真の最大のユーザーは旅行業界ではないかと思われます。

海外の旅行会社の旅行パンフレットと表紙を見ていると、表紙を見た人に、行ってみたいと思わせなければ、写真の価値はありません。

その意味では、旅行パンフレットの表紙写真は、究極の風景写真と思われます。

ここまでは、一般論です。

問題は、その先です。

日本への旅行パンフレットの表紙の写真は、次のようなものでした。

富士山、金閣寺、東寺の塔、伏見稲荷

写真には、女性が写っていることが多いですが、半分以上は、舞妓さん。

日本の観光庁などの政府の作っている観光パンフレットには、桜が写っているものが多いですが、これは、日本人の美意識なので、外国で、受けるかはわかりません。

富士山も、知名度は高いですが、エベレストやマッターホルン程は、インパクトはありません。

インドですと、タージマハルが、第1に出てきます。一度見たら忘れられないようなインパクトがあり、行ってみたいと思わせる構造物が必要です。

つまり、役者不足は明白です。

つくば研究学園都市は、1980年頃は、日本の都市計画の見本市のような位置を占めていました。

しかし、写真を見て、本当に、行ってみたくなるような構造物はありません。

つくば市内の建造物で、1つを選ぶとしたら、つくばセンタービルを推奨する人もおおいでしょう。

つくばセンタービルのwikiによれば、次のように書かれています。


つくばセンタービルは、同都市のランドマークとなっている。建築家・磯崎新の代表作であり、日本のポストモダン建築の代表的な作品とされる。

磯崎の得意とする幾何学的なデザインを多用するほかポストモダンの特徴である歴史引用を行い、隠喩や象徴をちりばめたマニエリスム的な作品である。ローマのカンピドリオ広場を反転した広場(フォーラム)があり、カンピドリオ広場は丘を登った場所にあり中心に銅像が建っているのに対し、つくばセンタービルでは広場が低い位置にあり中心は噴水である。


写真1が、つくばセンタービルのつくばセンター広場ですが、死ぬまでにいってみたい絶景100に選ぶ人は少ないと思われまます。

Wikiの説明するつくばセンター広場は、カンピドリオ広場の地形の反転です。

しかし、カンピドリオ広場には、深い意味があります。

ローマの七丘の一つであるカンピドリオ丘上に設けられたカンピドリオ広場は、時の教皇パウロ三世の依頼により、ミケランジェロが、設計しています。

加藤宏之氏によれば、「カンピドリオ広場は、広場の中央に建つアウレリウス騎馬像によって、北の国々に対し古代ローマ帝国をも想起させ、カンピドリオ広場がカプート・ムンディ(世界の中心)中心であることを示しています。騎馬像の台座は、ミケランジェロが作り、ここに、騎馬像を移設しています。広場の完成は、着工から100年後です」

つくばセンター広場が、つくば市の中心として、設計されたかは、わかりませんが、現状で、つくばセンター広場が、つくば市の中心であると考えている人は、少ないと思います。

カンピドリオ広場が完成までに100年かかったように、構想を引き継いで、構造物をブラッシュアップする継続的な努力が、文化には、必要と思われますが、つくば市内で、それが実現できている例は少ないです。

最後に、死ぬまでにいってみたい絶景100の例として、ヘネラリフェをあげておきます。

ヘネラリフェは、スペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿離宮です。グラナダは、半乾燥地で、水は遠方の山から引いてきています。つまり、ヘネラリフェは、砂漠の真ん中に作った桃源郷のような庭です。ここでは、水と緑は貴重でした。

庭園の植生は、成長しますので、継続的な維持管理で、この景観は保たれています。

観光の価値を高めるには、継続的に景観を維持、改善していく努力が必要です。

それにしても、本当に美しい景観を作り出す継続的な努力がないと、観光は成り立たないと思われます。こればかりは、カメラマンの腕前の問題ではないと思われます。

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写真1 つくばセンター広場

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写真2 View from the Piazza del Campidoglio (Capitoline Hill wikiによる)

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写真3 ヘネラリフェ wiki(English)による