「官製春闘」の謎
2021/11/26のFNNプライムオンラインは、「岸田総理は賃上げ交渉などを行う来年の春闘に向け、経済界に対し、3%程度の賃上げを要請する方針」と伝えています。
2021/11/26のテレ朝Newsは、「政府が、賃上げの数値目標を示すのは4年ぶりで、安倍政権が推し進めた『官製春闘』の手法を引き継ぐ形」であると解説しています。
2021/11/26のニューズウィークは、以下のように伝えています。
山際大志郎経済再生相は26日、「新しい資本主義実現会議」の会合後に行った会見で、岸田文雄首相が業績がコロナ前の水準を回復した企業について来年の春闘で3%を超える賃上げを期待すると言及したことについて、強制力のある「要請」ではないとの認識を示した。(中略)
山際大臣は「これまでのやり方のように要請して、企業の業績が良かろうが悪かろうが政府の方針としてこれをお願いするといったものではない」と述べた。
これを見れば、政府が何をしたいのかがわかりません。
「春闘」は、大企業が、護送船団方式で利益をあげていた時代の年功型雇用システムに、結びついています。
2021/11/26のサンデー毎日Xエコノミストは、1990年までのビールの販売を次の様にまとめています。
「1938年の免許制以来、ビールは販売免許を持つ酒販店が独占販売し、定価販売が義務付けられていた。利益の取り分は、メーカー、卸、小売りが「7対1対2」の割合だった。メーカーの取り分は、高い酒税を支払うためであった。米国の圧力で、国税庁は1989年6月に「酒類販売業免許等取扱要綱」を改正し、酒類販売は段階的に2006年までに自由化された」
春闘は、自由化前のビールに、対比できるシステムです。
護送船団方式の典型例は、銀行でしたが、現在の銀行は、利益を上がられず、再編の最中にあり、もはや、護送船団方式ではありません。
護送船団方式ではなくなった現状を考えれば、春闘、定年(定年延長)は、経営上のリスクでしかありません。
2021/11/25のTBS NEWSは、フジテレビが、希望退職者募集しているといっています。
これからは、中途退職者が、退職者とは呼ばれなくなるはずです。
政府が向き合うべき課題は、春闘ではなく、労働市場の流動性です。
また、失業した場合のセーフティネットです。
最低賃金は、法的な強制力がありますので、法的な強制力を避けて、時間つぶしをしているように見えます。
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岸田首相「3%程度賃上げ」経済界に求める方針 来春の春闘に向けて 2021/11/26 FNNプライムオンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/914f5199e279d538d40b28c0921f465ed3357ac5
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岸田総理 3%の賃上げを要請へ 2021/11/26 テレ朝News
https://news.yahoo.co.jp/articles/6ecf4f2e830e3e72a1499f2273f577637703a9c4
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岸田首相の賃上げ期待発言、強制力あるものではない=山際再生相 2021/11/26 ニューズウィーク
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2021/11/358942.php
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「安くてまずい」低価格プライベートブランド商品が日本に定着したヤバすぎる事情 2021/11/26 サンデー毎日Xエコノミスト
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ca05300075c113c729f747265187ad5fe21bd23
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【速報】フジテレビが希望退職者募集へ 満 50 歳以上の社員対象 2021/11/25 TBS NEWS
https://news.yahoo.co.jp/articles/3496ee644732ca71ac06d4fc93cd01ac9dfcb863