初めてのdarktable3.4(4)

現像時の露光と撮影時の露光

表示参照ワークフローでは、RAWとJpegがセットで動くと申し上げました。

ここでは、シーン参照ワークフローの説明をしたいわけですが、その前に、いくつか露光について、補足説明をしておいた方がいいと思いました。シーン参照ワークフローでは、ゾーン図の見方がわからないと何をしているか理解しがたいのですが、その準備をしておきたいのです。

露光について、一般に、カメラのマニュアルに書かれている説明は、露光を大きくすると画像が明るくなり、露光を小さくすると画像が暗くなります。

図1,2,3は実際に、カメラの露光設定をー2EV、0EV、+2EVに設定して撮影したJpeg画像です。露光設定を変えると、シャッター速度が変化します。シャッター速度は、1/50sec、1/10sec、1/3.2secになります。最後の画像は、シャッター速度が大きすぎて、手振れをしています。

図4が、露光と画像の関係をまとめたものです。

図5は、元の風景のダイナミックレンジ(ラチチュード)と露光の関係を示したものです。撮影時のカメラの露光設定は、元の風景から切り取るダイナミックレンジ(ラチチュード)を決定します。このとき、注意したいのは、ー2EVに設定すると黒飛びが増えるので、画像の明るい部分のダイナミックレンジ(ラチチュード)を切り取ることになることです。逆に、+2EVに設定すると画像の白飛びが増えますので、画像の暗い部分のダイナミックレンジ(ラチチュード)を切り取ることになります。

つまり、露光には撮影時の露光と、現像時の露光があります。表示参照ワークフローでは、この2つはセットで動かします。カメラの露光の説明もこの2つの露光をセットで考えています。

アンセル・アダムスはこの2つの露光を使い分ける方法としてゾーンシステムを考案しました。darktableのシーン参照ワークフローはゾーンシステムの影響を受けて、この2つの露光を区別します。

図6は、ゾーンシステムの露光のアイデアです。例えば、撮影時に露光をー2EV下げても、現像時に露光を+2EVに設定するように、現像時の露光を調整すれば、撮影時の露光が違って、元の風景のダイナミックレンジの切り取る場所が変わっても、同じ明るさの現像画像が得られます。darktableは、この補正機能を有しています。図1、2、3はJpegの画像でした。Jpegだけでなく、この3枚の画像のもとのRAWファイルも、darktableに転送して編集していますが、darktableは。RAWファイルに対して、露光の自動調整機能が働かせるため、3枚の現像画像共に、ほぼ同じ明るさに変換されます。ですから、ここでは、図1、2、3にカメラ内現像のJpegファイルを使っています。

 

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図1 -2EV 1/50sec f9.0 ISO1600

 

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図2 0EV 1/10sec f9.0 ISO1600

 

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図2 +2EV 1/3.2sec f9.0 ISO1600

 

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図4 露光の説明(左:元の風景、右:撮影画像) 

 

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図5 撮影時の露光

 

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図6 2種類の露光と自動変換