東京都の感染データの公開方法の不思議~コロナウィルスのデータサイエンス(112)

東京都の感染者数のデータの変質

東京都の感染者数データは23日に366人でピークになりました。22,23日はかなり早い時間(正午ごろ)に発表になりました。一方、その前の週までは、発表時間は午後3時から4時の間でした。逆に、24日、25日は午後4時過ぎになっても発表されませんでした。

PCRと抗体検査のデータも、22日20時30分のデータのあと、25日20時30分まで、データが更新されませんでした。

1週間前までは、こうした変則的なデータ公開はなかったので、各段の説明がなければデータ操作の疑惑がつきまといます

今回は、まず、HPの都内の最新感染動向そのものをみます。(図1,2,3はHPのコピーです。)

図1に見るように、点線の検査人数(7日間移動平均)でみる検査数が劇的に減っています。

図2と図3に具体的な数字を示します。図2に見るように、23日、24日を合計しても2000件ありません。その前の週は、図3に見るように、7月19日は1004件(=903+101)で少なかったですが、それ以外の日は全て2500件を超えてます。23,24日の陽性率は、20から22日より、0.2から0.3%低くなっていますが、その前の週と比べれば同じくらいで、劇的に下がっているとはいえません。

つまり、常識的に考えれば、検査の余力があるのであれば、症状のない人でもリスクが高いと思われる人を追加して検査すべきです。そうした場合には、陽性率は下がるはずです。検査数が少なく、陽性率があまり下がっていないということは、検査余力を無駄にしていることになります。そう考えると、GoToトラベルに配慮したか、オリンピック1年前に配慮して、検査数が操作された可能性が出てきます。土日の検査数は減るので、明日以降水曜日まで4日間は、感染者数が激減すると思われます。しかし、陽性率が下がっていない以上、これは喜べないと思います。もちろん、危惧していた、陽性率の上昇がなかったことは安心材料ではありますが。

図4は東京都の陽性率(縦軸:%)と陽性者数(横軸:人)を示しています。データは共に7日移動平均です。これは、PCRと抗体検査の陽性者数を示しています。右上の6%を超えているデータは、右から左に、24,23,22,21日のデータに対応しています。つまる。点を結ぶ線は、日付の順番にしたがっていて、最新の右上の左端のデータが7月24日に対応します。

これから、最近(21から14日)は、陽性率がほとんど変わらないのに、陽性者数が激減していることがわかります。この陽性者数の激減は、26日以降に集計される感染者数に反映されるので、26日以降の感染者数も激減します。しかし、陽性者数と感染者数の減少の主な要因は検査数の劇的な減少です。ですから、感染者数の減少は喜べません。これは、感染者数の増加より本質的な問題ともいえます。

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図1  モニタリング項目(4) 検査の陽性率

 

 

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図2  モニタリング項目(4) 検査の陽性率

 

 

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図3  モニタリング項目(4) 検査の陽性率

 

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図4 東京都の陽性率と陽性者数

 

 

  • 都内の最新感染動向 最終更新 2020年7月25日 20:30

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