政治は何ができるか~コロナウィルスのデータサイエンス(110)

第2波対策は崩壊中

第2波のリスクが高まる中で、政治は有効な対策を出せなくなり、機能不全に陥っています。

今行われていることは、エビデンスもなく、感染は広がっていないと説明したり、逆に、リスクをあおっているものの、リスク回避対策を提供できていません。

欧米は、コロナ対策で失敗したと評価されています。日本は、コロナ対策では、成功グループとみなされています。

日本が、コロナ対策で成功グループであると評価されている理由は、コロナに勝ったからではありません。感染対策がある程度抑えられているため、医療崩壊が起きていないこと、感染者数が少ないため、対策の選択肢が多く、対策が選べることが、コロナ対策で、成功しているとみなされている理由です。第2波の抑え込みに失敗すれば、こうしたコロナ対策優位なポジションが失われ、選択の余地がなくなります。

内閣は、専門家の委員会の決定を受けて、最終的には政治決定すると考えているようですが、このフレームは、無効です。おそらく、政治家は、特定の対策があり、そのスイッチのオンオフを政治決定することが自分たちの役割であると考えているように思われます。

  • 新たな対策を開発する必要がありますが、それがすすめられている様子はありません。

  • スイッチのオンオフの2値思考では問題は解決しません。時間と位置ごとに、細かな対策ができなければ、費用対効果の高い対策はできません。

感染の第2波が来るか来ないかは、あと1週間くらいで、確実になりそうです。条件がよければ、もう少し後になるかもしれません。しかし、陽性率の拡大と、感染者数の拡大が、止まっていませんので、遠からず第2波がきます。しかし、現在は第2波ではないといっている政治家は、第2波が来た時の具体的な対策は何も持っていないと思われます。ロックダウン以外の対策が思いつかず、コロナ対策優位なポジションで対策を進めることなく、無駄に時間を使ってしまえば、(そして、それが現状なのですが)、第2波と感染制御不能は、不可避です。

 

データサイエンスができることとできないこと

スマホのアプリが出回っていますが、現在のアプリは、事後に、感染者が出た場所にいた場合に、そのことを教えてくれるだけです。スマホのアプリは、感染管理をしたい行政にはメリットがありますが、アプリを使っている個人には、感染回避のメリットはありません。アプリを使うより、危ないと思われる場所には近づかないことをお勧めします。実際に、感染が拡大している水商売のお店に行く人は、リスク回避の意図は薄いと思います。ここでも、エビデンスがないので、実体は不明ですが、スマホアプリは、理論的には、1次感防止効果はゼロで、2次、3次感染の速度を抑える程度の効果しか期待できないので、スマホアプリの感染拡大防止効果はほぼゼロと考えています。

しかし、可能な対策はあります。対策は第1に「リスク回避をする人」と「リスク回避をしない人」に分けて行う必要があります。後者に対しては、強制的な対策が必要なので、ここでは、述べません。前者に対する対策を述べます。

場所ごとの感染リスクをリアルタイムで表示するスマホアプリがあれば、利用する人は多いと思われます。ただし、これには、最近2週間の感染場所と感染日時のデータが必要です。これらのデータは非公開なので、部外者は、アプリ開発ができませんが、現在のスマホアプリのバージョンアップで対応可能です。

既にあるかもしれませんが、食べログなどのお店の評価と同じように、店舗やホテルごとのコロナ対策の安全スコアを公開することは可能です。こうすれば、店舗では、安全対策が売り上げに結びつきます。スコアの客観性の担保が課題ですが、観光協会などが、自治体や医療関係者の協力を得れば可能と思います。

こう申し上げると、筆者は、部外者なので、好き勝手を言っているという批判が飛んできそうです。医療関係者は、目の前の患者との対応で、手いっぱいで、新たなことをする余裕はないという反論です。それは、ごもっともなのですが、戦術と戦略は別です。日本の組織マネジメントでは、昔から戦略の欠如が指摘されています。コロナ対策のような長期戦では、戦略が戦術より重要です。これは、目の前の患者さん1人を助けるか(戦術)、将来の患者さん10人を助けるのか(戦略)という選択の問題でもあります。筆者は、戦略優先ですので、後者の立場です。

まとめると、データが公開されていないので、データサイエンスで可能な対応は、コロナ対策の安全スコアのようなデータをとりながら、リスクや安全度を公開する方法になると考えられます。