コロナウィルスについてわかってきたこと~コロナウィルスのデータサイエンス(76)

今までのコロナウィルスについて、わかってきたこと、わからないことをまとめておきます。

わかっってきたこと

1.一旦、感染者がひろがると、免疫を持った人の割合が高くなり、再度の爆発的な感染拡大のリスクは小さくなる。

ニューヨーク州で14.9%に抗体、検査拡大後の結果-クオモ知事

ブルームバーグ 2020年4月28日 4:05 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-27/Q9GHGLDWLU6E01



米空母セオドア・ルーズベルトの新型コロナ感染、乗組員6割に抗体確認

ニューズウィーク 2020年6月9日(火)11時05分

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/6-73.php


 

2.感染には、飛沫または、発症者の寄与が大きく、発症していない人のリスクは低い。従って、発症した人とにターゲットをおいたクラスターつぶしで、感染拡大防止ができる。

 

  • 新型コロナ、無症状者からの感染は「まれ」 


新型コロナ、無症状者からの感染は「まれ」 WHO疫学者

2020.06.09 CNN.jp

https://www.cnn.co.jp/world/35154977.html



フォーサイト

疾病対策センター(CDC)も「接触感染は主な感染ルートではないと考える」と、飛沫感染が主と示唆。ガイドラインを5月になって変えてきたという。「声を出す」「咳をする」が、「触る」ことよりもリスクが大きい。通勤電車はマスクをしていればよいし、「接触」したら洗い流せばよい。

https://www.fsight.jp/articles/-/46916


 

3.ロックダウンや非常事態宣言による感染拡大防止は、費用対便益が著しく低く、場合によっては、効果がほとんど認められない。

これは、スウェーデン、スイス、英国との比較でわかります。

また、接触がなければ、感染しないという因果律に、ロックダウン政策は依存していますが、これには、次の問題点があります。

  • 院内感染に見るように、完全に接触を遮断することは現実にはは困難です。中途半端な接触遮断に効果は期待できません。

  • 行動制限は、その対象者に感染者が含まれない場合には、効果はなく、費用対便益は最悪です。

4.集団免疫獲得戦略では、感染速度の制御が課題であり、感染させないことは問題解決にはならない。

これは自明ですが、ほとんど言及されないのでメモしておきます。

5.SIRモデルは感染者数の過大推定をしてしまい、モデルとしては不適切である。

感染症流行の数理モデル「SEIRモデル」は限界 英国政府に代替仮説を提言する科学者たち

ニューズウィーク 2020年6月8日(月)17時30分 松岡由希子

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/seir.php


6.ワクチンは最短でも1年から4年程度かかる。
  • ワクチンはうまくいけば、晩秋か初冬には有効性


「うまくいけば、晩秋か初冬には有効性」ファウチが見据えるワクチン開発の道筋 ニューズウィーク 2020年6月9日(火)18時45分 スー・キム


 

わからないこと

1.感染拡大により免疫ができる場合とできない場合の境界

台湾やニュジーランドでは、感染者数が少ないので、免疫ができている可能性は低いです。一方、集団免疫戦略をとっているスウェーデンでは、免疫が出来つつあります。この境界が不明です。

日本の場合には、

  • 岩手県:集団免疫が獲得されれいない

  • 東京都:集団免疫が獲得されている

と思われますが、中間はどこにあるのでしょうか。

 

まとめ

第2波をあおる人はいますし、マスコミは視聴率を上げたいので、恐怖心をあおる報道に偏ります。

しかし、以上のわかっていることも勘案すれば、日本では、東京都は集団免疫がある程度獲得されていないので、感染急拡大のリスクは低いと思われます。逆に、岩手県は、第1波はなかったので、これから第1波が起こるリスクがあります。こう考えますと、コロナウィルス対策は、感染者数の多いところと、少ないところで分ける必要があります。問題は、感染者数の少ないところのリスク管理です。岩手県の遠野は典型的な散居集落です。隣の家までは、500m、1kmが普通です。こうした場合には、三密にはなりようがないので、免疫が獲得されていなくとも、爆発的な感染者数の拡大にはならないので、あまり心配する必要はないかもしれません。