HDR画像を作るには~フィルミックRGB(その2)(darktable3.0第46回)

お断り(始め:12月22日追記)

以下の記事は、フィルミックRGBに扱いについて、モジュールの作者の想定している使い方でないことが、わかりました。問題点は、フィルミックRGBはベースカーブの代わりに用いるべきモジュールである点です。フィルミックRGBをつかう場合には、ベースカーブは使ってはいけないのです。現時点では、darktable3.0のマニュアルはでていません。また、モジュール作者のHPでは、darktable2.6用の古いフィルミックモジュールの説明はありますが、フィルミックRGBの説明はありません。現時点で、信頼のできる情報は11月30日にアップされた作者のYou tube動画だけです。現在、この動画の内容を確認していますが、100分に及ぶ解説のため、まだ、分析しきっていません。仮に、分析が終わっても、1回の解説では、説明しきれないと思われます。ですので、この記事の改訂版が出せるのは、年明けになると思われます。改訂版が出せないので、当面、古い記事に問題はあるのですが、参考までに、残しておくことにします。

お断り(終わり)

 

フィルミックRGBを使ってHDR画像(正確にはHDR風画像)をつくる方法を紹介しました。

そこでは、フィルミックRGBを使ったあとで、シャドウとハイライトを使って、画像をHDR風にする方法を紹介しています。これは、フィルミックRGBには、ダイナミックレンジを圧縮するときに、トーンをできるだけ保存する変換を行うことを目的としているためで、フィルミックRGBには、ことさら、明暗のコントラストを強調する機能はないためです。

なお、プリセットには、7EV,9EV,11EVといったダイナミックレンジに係る表記があらわれますが、darktableでは、RAWデータがベースカーブ変換で、取りこまれた時点で、データは32ビットの浮動小数点になっているので、内部データにはダイナミックレンジの概念はありません。データのレンジは、0から1または、0から255の間の実数になっていると考えればよいと思います。darktableのダークルームでは、右上にヒストグラムがあらわれますが、そこには、横軸がありません。この場合は、2つのいずれかと解釈すればよいと思います。カメラメーカーのRAW現像ソフトでは、ヒストグラムの横軸に0から255の値が振ってあることが多いようです。このような0から255の場合でも、内部データは、整数8ビットではなく、実数になっているはずです。最終的に、Jpegに変換されるとき、あるいは、編集作業中に画面に表示されるときにのみ8ビットの整数化が行われます。

さて、HDR風画像をつくるのに、シャドウとハイライトが必須のわけですから、ここで、フィルミックRGBを入れる場合と、入れない場合で、どのような違いがあるかを見ておきます。

以下は、全て、左が、フィルミックRGBを入れない方法、右が、フィルミックRGBを入れた方法になっています。なお、画像の明るさは大まかに合うように、露光の調整を入れてあります。

サンプル1では、中央の樹木をみるとフィルミックRGBで細部のトーンがより多く保存されているように思われます。それ以外には大きな差はありません。

 

f:id:computer_philosopher:20191201150121p:plain

サンプル1

 

サンプル2では、フィルミックRGBの方が、やはり、細部のトーンが保存されているように思われますが、それより目立つのは、色が抜けていることで、モノトーンに近くなっています。

f:id:computer_philosopher:20191201150149p:plain

サンプル2

 

サンプル3では、細部の違いはあまりはっきりせず、色が褪せている傾向が顕著です。

 

f:id:computer_philosopher:20191201150220p:plain

サンプル3

 

サンプル4では、左の樹木の部分の中間トーンが不明確になっているのに対して、右では、樹木の部分の中間トーンが保存されているように思われます。また、フィルミックRGBをかけることで、やはり、色が褪せる傾向が見られます。

 

f:id:computer_philosopher:20191201150328p:plain

サンプル4


 

サンプル4の中央部分の等倍画像です。フィルミックRGBをかけると、たしかに、樹木の細部が見えるのですが、ノイズが乗っていることがわかります。これは、シャドウとハイライトをかけた場合に、顕著になります。また、フィルミックRGBをかけていない画像で見える太陽光線全く見えなくなっています。

ノイズについては、ノイズ低減をかける方法もあります。しかし、プリセットパラメータで、3種類のノイズ低減モジュールをためしてみた結果、ノイズ低減をかけると、細部が失われて、中間トーンがなくなることがわかりました。上手にかければ、使えるかもしれませんが、基本は使えないと判断しました。

 

f:id:computer_philosopher:20191201150354p:plain

サンプル4 等倍


 

今回確認できた違いは以上です。まとめますと、フィルミックRGBをかけると以下の傾向が見られました。

  1. 細部のトーンは保存される

  2. 色が褪せてしまうことがある

  3. シャドウとハイライトと組み合わせるとノイズが増えることがある

これから、フィルミックRGBはいつでも使えばよいとは言えないことがわかります。

どのような場合に、フィルミックRGBが最も有効になるかは、今後、調べていきたいと思います。