レンズ原価の最大の構成要素は、設計費用です。
メーカーは、設計費用を節約するために、レンズのバージョンアップを繰り返します。
旧型のレンズを改良するのであれば、設計費を押さえられます。
レンズのバージョンアップは、コーティング、特殊レンズの素材の改良、防滴、手振れ防止、AFの改良などが主になります。
まれに、レンズを1枚程度、追加することもあります。
これらの改良では、レンズの設計を大きく変更する必要がない点がポイントです。
レンズがバージョンアップした場合、写りは変化するでしょうか。
もちろん、改良していますので、写りは、全く同じにはなりません。
しかし、新旧のレンズで、アングルの違う写真を10枚ずつ撮影して、比較して、違いが判る場合は、半数以下と思われます。
カメラも、レンズも改良されれば、撮影に失敗する確率は小さくなります。
しかし、古いカメラや、古いレンズで撮影ができないということはありません。
違いは、成功確率だと思います。
実際、写真学校の生徒は、主に中古レンズを使っています。
使用頻度の低いレンズには、あまり、投資したくありません。
中古レンズで試してみて、使用頻度があがったら、新品に入れ替えるというレンズの購入方法は合理的です。
さて、問題は、中古レンズの品質です。
カビがあったり、バルサムがはがれているのは、保存状態の問題や、経年変化の問題です。これは注意すれば、回避できます。
一方では、90%以上の中古レンズには、「レンズ中にごみがある」と書かれています。
ゴミを意図してレンズに入れる人はいませんので、砂嵐の中で撮影するような無茶をしなければ、ごみの問題は、撮影者の使い方とは関係がありません。
ズームレンズでは、ズーミングに伴い、レンズの中に空気が入りますので、ゴミがはいる可能性があります。
一方、単焦点レンズでは、距離と絞りリングだけが可動部分になり、ごみのリスクは減ります。
さらに、防滴、インナーフォーカスといったシーリングがなされているレンズもあります。
しかし、その場合でも、90%は、「レンズ中にごみがある」と書かれています。
細心の注意を払っても、ごみが入ります。
そこで、「レンズ中のごみ」は、設計のミスのような気がしてきました。
デジタルカメラでは、レンズ交換時に、センサーにごみがつくことがあります。
その対策に、ダストリムーバルがついています。
レンズも、中にゴミが入ることが前提であれば、バキュームクリーナで、ゴミとりができるような穴が開いているべきと思いました。
レンズに2か所穴が開いていれば、専用のアタッチメントをつければ、レンズを分解しなくとも、ゴミとりができる気がしました。
レンズのごみの量が増えたので、レンズを買い替えたという話は聞きませんので、レンズに入るゴミで、写真が変化することはほとんどないのかもしれません。
とはいえ、中古レンズの状態評価では、ごみの量がポイントになっているので、気になります。