1)科学ツールの思考法
科学、特に、情報科学を学習すると、物事をシステム思考法で考えないと落ち着かなくなります。
ここで、システム思考法とは、問題を解決する場合に、問題を解決するツールをつくる方法です。
生成AIは、文章の要約を上手にこなします。文章の要約を上手に行う方法には、次の2種類があります。
(直接法)添削をうけて、文章の要約の技術を向上させます。
(システム思考法)文章の要約を行うためのツールを開発します。
言うまでもなく、生成AIは、システム思考法で開発されています。
システム思考法のメリットは、一度作ったツールは使いまわしが効くということです。
使いまわしが効くので、生産性が劇的にあがり、コストダウンが可能になります。
ツールは、汎用性(抽象性)が高いほど、生産性向上とコストダウンに寄与しますが、使いこなしは難しくなります。
システム思考法は、コンピュータが出てきてから、急速に広まっています。
その理由は、コンピュータでは、あるツールをつかって、別のツールを開発することが出来るからです。
ChatGPTは、Python言語で書かれています。
コンピュータ言語の1つであるPython言語も、ツールのひとつです。
一方では、ChatGPTをつかって、別のツールを作る試みもなされています。
画像生成は、そうした応用の一部ですが、バーチャルな俳優をつくって演技をさせる試みもなされています。これは、動画合成技術の一部です。
最初に、エノニマスなエキストラの俳優は不要になります。
2023年時点でも、1950年のハリウッドのように、ローマ時代の戦闘シーンに、エキストラを何百人の雇った撮影はしていないと思われます。GCで代替していると思われます。
この方向が強化されます。
問題は、主演や助演レベルの俳優です。
2007年に、初音ミクが、登場しましたが、これは、アニメの拡張にすぎません。
人間の女優の画像と、視聴者のレスポンスの測定結果を比較すれば、どのような表情が好まれるかがわかります。
次に、このデータを使って、視聴者に好まれるような表情だけをする女優さんを生成AIを使って作ることは可能です。
もちろん、人間の刺激に対する反応は、履歴データなどの、時間と空間で隣接したデータの影響を受けます。なので、パターン変化を考える必要があります。
いずれにしても、現在の生身の俳優は、直接法でトレーニングしていますので、システム思考法で、演技が可能になれば、強力な競争相手が出現することになります。
さて、話を戻しますと、システム思考法で、問題解決が可能であれば、その解法を進めれば、企業は競争優位になります。
2)アルゴリズムとデータ
システム思考法のもうひとつの側面は、全てのデータ処理は、アルゴリズムとデータで構成されるという事実です。
さらに、診断の問題があります。
医者は投薬で患者を治療する場合を例にとります。
この問題を観測可能は、データだけとして処理すれば、情報科学の問題に置き換えられます。データは、投薬等の治療法のデータと患者の症状のデータに分かれます。この2種類のデータを最適に処理するアルゴリズムを探索する問題に置き換えられます。
現実の治療の過程では、最初(初診)では、病名の特定を行います。その後、治療に移行します。この2つのプロセスのアルゴリズムは、基本的に異なっています。
適切な病名の診断や適切な治療法の選択には、良質なデータがかかせません。
体力が極端に低下していたり、複数の病気に同時にかかっている場合には、良質なデータをえることが難しくなり、適切な診断や治療ができなくなります。
3)仕組みと制度
システム思考法の第2がは、仕組みや制度に注目することです。
年功型雇用か、ジョブ型雇用かの違いは、制度の違いです。
これはレジームの違いとも考えることが出来ます。
注意しなければならないことは、レジームは、内容の基盤になっていることです。
動物園にいる牛と野生の牛はどちらも牛ですが、済んでいるレジームがことなると生きることの意味が変化します。
動物園の牛の健康な状態は、病気にかかっていないことです。野生の牛の健康な状態は。予想されるような病気や害虫にある程度はかかっている状態です。
4)システム思考法で見えてくること
システム思考法の話を書いた理由は、多くの問題解決は、システム思考法を当てはめれば、進捗状況が理解できるからです。
例をあげます。半導体の生産工場をつくるために、補助金を投入して、技術者を募集したとします。これは、システム思考法ではありません。
最初に行うべきは、問題解決のツールを作ることです。これは、直近であれば、半導体を製造できるノウハウをもった技術者をヘッドハントします。それで、目途がたてば、次のステップに進めます。
より根本的には、技術者教育をして人材を育成する必要があります。ノウハウをもった人間がいなくとも、お金があれば、問題が解決できるという発想では、競合企業がシステム思考法で経営していれば、必ず負けます。
子供予算を増額する計画ですが、財源は未定です。この子供予算の執行には、データに基づいて問題を抽出して、その問題点を解決するというプロセスが含まれていません。つまり、子供予算の増額は、システム思考法を無視しています。
医者でいえば、診断をせずに、投薬する方法です。システム思考法で考えれば、失敗することは必須です。
システム思考法は、ITエンジニアの常識です。情報科学のリテラシーの一部と思われます。
科学のリテラシーのない人とは、システム思考法を無視していますが、科学のリテラシーが、2つの文化のギャップを埋めることができる(人文的文化で科学的文化は理解できるというトンデモ仮説)という考えは、明らかな間違いです。