教育の科学と「何を教えるべきか」 (7)

(10)デジタル庁をめぐる議論

 

10-4)デジタル庁不要論



6月9日の共同通信は、マイナンバーカードのセキュリティに、問題があったことを報告しています。

 マイナンバーカードの取得者向けのサイト「マイナポータル」で、他人の年金情報を閲覧できるトラブルがあったことが分かった。地方公務員が加入する共済組合で、年金情報とのひも付けなど、データ入力のミスが起きたとみられる。政府関係者が9日明らかにした。マイナンバーを巡ってはトラブルが続発しており、河野太郎デジタル相は同日の国会審議で責任を取って自らを処分する意向を示した。



マイナポータルは、カードで本人確認を行うことで、年金など行政が把握している自身の情報を閲覧できるほか、行政手続きをオンラインで済ませられます。

 

しかし、カードで行う本人確認は、極めてセキュリティレベルの低いものです。クレジットカードは、この古い方式を採用していますが、それは、事故時の負担は、クレジット会社がし払うというルールがあって、初めて可能になっています。

 

スマホの照合コードを送る方法、顔認識に比べれは、セキュリティレベルが引くなります。

 

その顔写真については、浜松市京都市では、マイナンバーカードの顔写真を別の人物の顔写真と取り違えるミスがあったと発表しています。

 

顔認識を行う場合には、写真が1枚よりは複数あった方が精度があがります。

マイナンバーカードの顔写真は、現状ではあくまで、マイナンバー(ID)を補完するものにすぎません。運転免許証の場合には、会場で顔写真を撮影することが多いと思います。

顔写真をID代わりにするのであれば、現状の仕様では、不十分と思われます。

 

産経新聞は次のように伝えています。(筆者の要約)

 

河野太郎デジタル相は、相次ぐマイナンバーを巡るトラブルへの対応のため「朝の3時、4時まで残業という者(職員)もいる」と言いました。デジタル庁は人員不足が、トラブルの要因との声もあります。河野氏は職員採用のスピードを早めつつ、トラブルの再発防止のため、情報共有の仕組みなど、組織体制を見直す方針を示しました。

 

デジタル庁は創設時から人員の拡大が続いており、現在の職員数は約900人です。河野氏は「シンガポールのデジタル庁は職員が3500人など、諸外国と比べると人員不足。優秀な人材に、デジタル庁に来たいと思ってもらえるような職場環境を作っていかなければならない」と述べました。

 

河野氏はさらに、現状の組織体制の見直しにも言及。通常の省庁とは異なりプロジェクト単位で動く体制で、情報共有の仕組みが整備されていなかったことも「(トラブルの)原因の一つだと思う」と認めた。

 

対応として、イレギュラーな事態が発生した際は必ず大臣まで報告することや、意思決定権限を持つ会議体を設置することなどを指示したとした。組織内でマネジメントを行う人材と、実際に作業をする人材を明確に切り分け、役割分担を見直すことも検討するとした。

 

 

デジタル庁は、マイナンバーカードのバックログ対策をすべきではありません。その責任は、総務省にあります。

 

「医療情報はマイナンバーカードと紐付けるべきではない」と主張する人もいます。

 

立憲民主党は紙の保険証を来年秋に廃止するとしている方針を撤回するよう、厚労省に対し要請しました。

 

「マイナポータルが、カードで本人確認を行うこと」は、間違いです。

 

セキュリティ対策は、クラウド上のデータに照合して、リアルタイムで、アクセスしている人の信頼度を評価できる必要があります。

 

クレジットカードは、スキミングして、コピーが作れます。ICチップ内装で、セキュリティレベルが上がりましたが、何時かは、破られます。

 

マイナンバーカードの違法コピーが出た場合の対策は考えられていません。

 

デジタル庁が行うべきことは、IDとセキュリティレベルの設計です。

 

こうした肝心のことは放置されています。

 

「朝の3時、4時まで残業」するようなブラックな職場には、まともなエンジニアは来ません。

 

河野氏は、組織体制を見直すといっています。これは、プロジェクト単位が成立していないことを意味しています。

 

DXは手段にすぎません。

 

デジタル庁も手段にすぎません。

 

目的は、労働生産制を上げることです。

 

労働生産性が上がらないDXは、間違った手段です。

 

セキュリティに問題があれば、DXは労働生産性を下げてしまいます。

 

Wijt-withoutで考えて、デジタル庁がある場合とデジタル庁がない場合を比較して、デジタル庁がない場合の方が労働生産性が高いか、同等である場合には、デジタル庁がない方がマシ(デジタル庁不要論)になります。

 

現状では、デジタル庁があるメリットは全くみえませんので、必要性は、確認できません。

 

そうなった理由は、デジタル庁が総務省マイナンバーの下請けをしているからだと考えます。




引用文献



他人の年金情報、閲覧状態に マイナポータル、河野氏を処分へ 2023/06/09 共同通信

https://nordot.app/1039788816510648822



「朝の3時4時まで残業も」 マイナトラブル相次ぐデジタル庁 河野太郎氏、組織体制見直しへ 2023/06/09 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/c9136dd70e5dc8a69cfa15c8ab065b979f493566

 

マイナ保険証移行に現場の歯科医師が問題提起 「医療情報はマイナンバーカードと紐付けるべきではない」2023/06/06 テレビ愛知

https://news.yahoo.co.jp/articles/84b11af5dbbf5b64c1a1b2f022251d471f2723ff