(28)年功型雇用とアマチュア
(Q:年功型雇用では、プロは育たないことがわかりますか)
1)年功型雇用に課題
年功型雇用は、ドキュメンタリズムです。
幹部は、記者会見で、善処しますといいますが、具体的に何をするか言いません。
実際の対策は、部下に丸投げで、幹部はあがってきた複数の原案の中から、気に入ったモノをえらぶだけです。
米ツイッター(Twitter)のイーロン・マスク氏は、3月18日に、Twitter上の“おすすめツイート”について、3月31日にすべてのコードをオープンソース化することを明らかにしています。
マスク氏の対応は、典型的なジョブ型雇用のものです。
マスク氏は、オープンソース化によってサービスの質が一時的低下するだろうと言っています。
これは、実施して、評価して、問題点を改善していく、科学的なプロセスです。
年功型雇用の幹部は、部下に仕事をさせますが。自分で仕事が出来る訳ではありません。
もちろん仕事は、チームで行いますから、幹部が一人で仕事が出来ないことは問題ではありません。
問題は、幹部は、チームのジョブ管理ができない点にあります。
ジョブ管理をするには、チームのジョブの設計図がわかっている必要があります。
画家レンブラントは工房で、絵画を大量生産していました。
現在のシェフも、全て一人で調理をこなす人はいません。膨大なスタッフを抱えています。
しかし、チームのメンバーに依頼する分業の中身を設計でき、成果品を品質管理できる能力がなければ、アウトカムズは生まれません。
問題解決を部下に丸投げで、幹部はあがってきた複数の原案の中から、気に入ったモノをえらぶのとは違います。
その違いは、絵をかいたり、調理する自然科学の文化の有無にあります。
マスク氏や、ビル・ゲイツ氏は、若い頃は自分でコーディングしていた思いますが、企業の管理職になってからは、自分では、コーディングしてない思います。
しかし、コーディングできる能力があることが、チームのメンバーに依頼する分業の中身を設計でき、成果品を品質管理できる能力の基礎になっています。
オーケストラの指揮者は、自分で全ての楽器が演奏できるわけではありませんが、各々の楽器で何ができ、それをパーツとして組み立てると、どのような音になるかが理解できていないといけません。
オーケストラは、完全なジョブ型雇用です。バイオリン奏者に、欠員が出たからと言って、管楽器を演奏させることはありません。
2)後ろから書く方法
2-1)ブログの書き方
ブログを書いている場合には、日記のように、上から下へ(前から後ろ)に書きます。
この方法は、書く習慣をつける上では有効です。
しかし、次の2点で、後ろから前に書くべきではないかと気になっています。
(1)無駄な原稿を書いてしまう。
最後に結論を書いてから、原稿を読み直すと、結論に達するには不要な部分に気付くことがあります。
その部分は削除した方が、論旨が明確になります。
つまり、無駄な原稿を書いたことになります。
(2)どんでん返しが書けない
小説のプロットの常套手段のひとつに、どんでん返しがあります。
これは、最初にどんでん返しの場面を書いて、それに会うように、前の場面を書き込んでいかないと、小説が書けません。
noteやNovel daysも前から書く仕様になっていますが、これは、いただけません。
実は、ブログを再構成して、本に編集する場合の最大の難点は、この後ろから前に、書いていく部分です。
2-2)プロの技
上記では、指揮者とシェフの例をあげました。
指揮者は、頭の中に、出来上がって音のイメージあり、それに、合わせて、個別の学楽器の演奏者に注文をつけます。
つまり、出口(時系列の一番後)のイメージから、逆算して、音楽を組み立てていきます。
シェフは食材を見て、頭の中に、出来上がった料理のイメージが湧きます。それに、合わせて、調理を行います。
パスタを茹でるときに、茹ですぎで、アルデンテでなくなったとします。
再度、パスタを茹でる時には、アルデンテのパスタのイメージが頭の中にあり、それに会うように加熱時間を調整します。
効果が得ると、プロとアマの差は、一番後ろの出口から、逆算して、手順を設計できるか、場当たり的に、やってみるかの違いと思われます。
3)A:年功型雇用とプロ
年功型雇用では、高い給与を払える高度人材の仕事をつくることができません。
それは、出口から逆算して、手順を設計できる能力の不足に由来します。
年功型雇用には次の問題点があります。
(1)専門人材が流出してしまう。
(2)企業内失業を大量に抱え、賃金をあげられない。
これらの対策のために、年功型雇用に、ジョブ型雇用を、ブレンドする試みがなされていますが、その試みは、99%失敗します。
その理由は、出口から逆算して、雇用形態を設計できないことにつきます。
年功型雇用に、ジョブ型雇用を、ブレンドした状態が目指す最終的なイメージはない(実現不可能)であると思います。
考察は、ブログの書き方からスタートしましたが、この出口優先で、手順の設計ができているかという判定基準は、問題の整理に使えると思います。
「出口優先の手順の設計」は、強形式の問題解決や、戦術より戦略を優先する問題解決と同じと思われますが、判定条件としては、はるかに使いやすいと思います。