構図とクロップ(9)ミニマリズム(7)

1)レンズの画角とネガティブスペース

 

ミニマリスト写真には、いくつかのパターンがありますが、主題とネガテイブスペースのセットは典型的なパターンのひとつです。

 

ミニマリスト写真では、主題の大きさが小さくなることはあまり気にせず、ネガティブスペースを大きくとって、空間を演出します。このネガティブスペースは、1つのパターンでできていることが理想です。

 

さて、今回のテーマは、ミニマリスト向けのレンズの画角があるかという問題です。

 

写真1は換算50mmで撮影しています。

 

主題はベンチで、ベンチの周辺をネガティブスペースにしたい訳です。

 

写真1の背後には、公園の外の住宅が入っていますが、これは、ネガティブスペースとしては、よくありません。

 

写真1は、公園の外が入らないように、高い位置(具体的には、滑り台の上)から撮影しています。ベンチの外側のネガティブスペースを取るには、ベンチから遠ざかって撮影する必要があります。そうすると、ベンチの周辺のものが入り込んできます。

写真1の水色の枠でトリミングすれば、公園の外はフレームから取り除けます。

 

しかし、ベンチの周辺のスペースは減ってしまいます。

 

写真2は、換算30㎜で撮影した芝生の上の犬の写真です。

 

フレームの上のほうに、木が写っていますが、ネガティブスペースには、ない方がよいです。

 

換算50mmのレンズが使いやすいと言われるのは、自然体で、主題が程ほど大きく入るからです。逆に言えば、ネガティブスペースを十分にとらないことになります。

 

写真3は、換算50mmです。

 

写真3の主題は道で、ネガティブスペースは、芝生になります。

 

50mmでは、ネガティブスペースがまだ、狭いと感じられます。

 

ネガティブスペースを使ったミニマリストの写真を撮るには、レンズの画角は、広角が向いていると思います。

 

また、これは、主題を小さく撮影する訳ですから、かなりへそ曲がりな構図になります。

 

言い換えれば、意識して、へそ曲がりな構図をとらないと、ミニマリストの写真は撮影できません。

 

このへそ曲がりな部分が、見たことのない写真という強いインパクトを与える原因の一つでもあると考えます。

 

写真1



写真2

 

写真3