バックキャストと逆問題~2030年のヒストリアンとビジョナリスト(1)

ビジョナリストとは、問題を設定して、解決するビジョンを提示する人を指します。

予測問題では、解決された状態を想定して、ゴールにたどり着くための手順を逆算するバックキャストをする人が、ビジョナリストになります。

数学では、解を想定して、解を求める手順を考える逆問題に相当します。

ビジョナリストの反対語は、ヒストリアンです。

これは、歴史主義で、今までの方法を踏襲する手順(アルゴリズム)です。

歴史主義では、問題を解決できません。

2週間先に期末試験がある場合、出題範囲と過去問を分析して、出題されそうな問題のタイプと範囲を考えて学習します。

これが、バックキャストで、ビジョナリストの方法です。

試験に合格することが。ビジョンであり、そのための手順をバックキャストでつくります。

ヒストリアンの方法は、今までの学習方法を踏襲します。前回の期末試験の成績が思わしくなかったとしても、同じ学習方法を繰り返します。

この方法では、問題は、解決できません。

つまり、提案された方法で、問題解決をできるか否かは、ビジョナリストか、ヒストリアンのどちらかになっているかをみれば、判定できます。

要約すれば、次の対応があります。

立場 ビジョナリスト  ヒストリアン 予測手法 バックキャスト フォーキャスト 数学 逆問題 順問題

ビジョンは、問題設定と繋がっています。

「適切な問題設定をする」ことが、何より大切です。

つまり、上記の設問の前に、そもそも、何が問題として提起されているのかを確認すべきです。

例を1つあげます。

地球の温暖化は、CO2が原因で起こります

原因(CO2の増加)ー>結果(地球の気温上昇):順問題

この因果関係は、ノーベル賞を受賞した真鍋博士が最初に解明したといわれています。

温暖化を止めるにが、

原因(X)ー>結果(CO2の減少):逆問題

となる原因(X)を見つける必要があります。これは、結果から、原因を推定する逆問題になります。推論で言えば、アブダクション (abduction)になります。

順問題「原因(CO2の増加)ー>結果(地球の気温上昇)」は、出発点にはなりますが、それをいくら研究しても、問題解決にはなりません。

これは、真鍋博士の研究が立派でないというのではありません。

研究の成果と問題解決は、切り離して考える必要があるということです。

真鍋博士の研究は立派だ。みんなで、真似をしよう」となると、誰も、逆問題を解く人がいなくなります。問題は、ここに、あります。