文章と写真の作法

前回は、青空文庫に掲載されている文学作品を取り上げました。

実は、darktableの記事でも取り上げたのですが、文章と写真のバランスには、分量で考えて、次の3種類があります。

  1. 文章>>写真

  2. 文章<<写真

  3. 文章≒写真

そこで、1.はWord、2.は、パワーポイントが向いているのではないかと、申し上げました。そして、3.は、あまり例がないのではないかと申し上げました。写真の量が多いと、Word系のソフトでは、対応できないので、3.の場合も、パワーポイント系のソフトを使うことになると思われます。

典型的なレイアウトは、上半分が写真、下半分が文章といった構成です。

そこで、気づくことは、写真では、表現できないものがあるということです。

例えば、犬の写真を載せたときに、体重何キログラムは、写真では表現できません。

逆に体重何キログラムという表示があっても、犬がどんな顔をしているかは表現できません。

こう考えますと、3.の構成については、従来の名文(1.の構成)、名写真(2.の構成)、以外に、新しい表現分野があると思われます。

次に、青空文庫のような感情表現の文章は、3.の構成でいえば、写真の部分に相当することがわかります。登場人物や背景の風景の説明が文章でなされますが、3.の構成の文章にあたる登場人物の身長や体重は表記されません。列車のシーンでも、列車の時刻が掲載されるのは、列車トリックの推理小説くらいで、ふつうは表記されません。つまり、上半分が写真のレイアウトの写真の役割を昔の小説の文章が担当していることがわかります。しかし、小説が、推理小説経済小説になると、下の部分に相当するエビデンス(事実記載)の数字を書く文章が必要になります。以上をまとめると次になります。

レイアウトの上  レイアウトの下

写真(感情表現) 文章(事実記載)

文章(感情表現) 文章(事実記載)

つまり、3.のレイアウトで、推理小説経済小説を書くことも可能と思われます。

まだ、これが決定打とまでいきませんが、漫画のセリフでも、感情表現の部分と事実記載の部分がありますので、似た問題を抱えています。漫画の事実記載は、吹き出しに書かれず、地に書かれることも多いので、非常に似た状況にあると言えます。