darktable3.0の新機能解説(1)(darktable3.0第71回)

すでに、報告したように、darktable3.0がクリスマスに正式に公開されました。

テストバージョンの解説では、改良点が今一つ分かりにくかったのですが、クリスマスにはNilvusさんによる解説がアップされました。

https://www.darktable.org/2019/12/darktable-30/

これは、マニュアルではないので、不完全な部分もありますが、それ以前テスト配布の解説と比べれば、事例も多く、各段に分かりやすいものになっています。

ですので、今回から、その内容を紹介します。

内容は,大部なので、数回に分けて紹介します。

また、実例を伴うものは、いつもの通り、手持ちの画像で、動作を確認しながら、解説したいと思います。

なお、古いdarktable2.6についても、日本語では体系的な説明はありませんので、そこを飛ばして、3.0の説明をすることには、若干の後ろめたさもあります。ですので、最初は解説の紹介はやめようと思いました。

しかし、Nilvusさんによる解説を読んでみますと、RAW現像ソフトで現在何が問題になっていて、その課題の解決のために、何をすべきかが手に取るようにわかります。ですので、これだけを読んでも、非常に面白いのです。

 

第1回目は、主要機能のリストの紹介です。

darktable3.0の主要機能のリスト

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2019年12月24日(火)投稿 by Nilvus

darktable 3.0は伝統に従ってクリスマスにリリースされました。 2018年に多くの進化を遂げた後、2019年にはダークテーブルにはユーザーインターフェイスと内部メカニズムの両方の非常に多くの予期しない変更が発生しました。これにより、darktable 3.0への変更はメジャーバージョン以上になり、バージョン2.6.xからバージョン3.0に直接移行しました。

この新しいリリースの発表とリリースノートは、https://www.darktable.org/2019/12/darktable-300-released/にあります。

新しい主要機能には次が含まれます(リストは長大です):

  • GTK + CSSルールを介して、より新しく、完全に再設計され、カスタマイズ可能な最新のGUIが加わりました。Gtk Cダークテーブルのソースコードには、サイズ、色、固定位置はありません。バージョン3.0にはすでにいくつかのテーマが付属しています。

  • ライトテーブルに新しい「カリング」モードが加わりました。「カリング」モードでは最初に選択した画像(または選択した画像のセット)から始まる連続した画像が表示され、画像がパンおよびズームできます。表示画像数はユーザーが設定でき、マウスホイールとキーボードでナビゲートできます。最後に、「カリング」モードは頻繁に要求される画像の比較モードを提供します。

  • 日付範囲を選択してその日の画像を表示できる「タイムライン」ビューが新らたに加わりました。

  • 全体のパフォーマンスを改善するために、ライトテーブルビューは大幅に書き換え(ダークルームビューの「フィルムストリップ」を含む)られました。ライトテーブルは4Kおよび5Kモニターで使用でます。 darktable 3.0は、CPUおよびSSE(並列処理)パスを使ってコードが最適化されています。

  • 「フィルミックRGB」モジュールが新たに追加されました。これは、以前のモジュール「フィルミック」と同様に、「ベースカーブ」 「シャドウとハイライト」およびその他のグローバルトーンマッピングモジュールを置き換えるように設計されています。「フィルミックRGB」モジュールはより使いやすく、色かぶりを減らすことができます。古い 「フィルミック」モジュールは廃止され、以前使用された画像でのみ使用可能です。

  • 「トーンイコライザー」モジュールが新らたに追加されました。これは、RGB空間のシーンを参照する「ゾーンシステム」、「シャドウとハイライト」および「(ローカル)トーンマッピング」モジュールの機能を併せ持っています。このモジュールは Ansel Adamszone system を使用して、トーンをローカルに再マッピングする簡単で安全な方法を提供します。

  • 「 RGBカーブ」および「 RGBレベル」モジュールが新らたに追加されました。これらには、リンクと独立したRGBチャンネルのモードがあります。

  • 「ノイズ除去(プロファイル)」モジュールが大幅に改善されました。デフォルトでほとんどの場合に高い能を発揮します。したがって、彩度と輝度の2つのインスタンスを同時に使用する必要はありません。通常、1つのインスタンスで十分です。 darktable 2.6以前で処理された画像の場合、モジュールのチェックボックスを使用してモジュールを新しい処理アルゴリズムにアップグレードできます。(訳注:プロファイルの中で非局所平均が使えます。彩度(1stインスタンス)と輝度(2ndインスタンス)も別々に使えます。改良は、旧「プロファイル」モジュール内におさまらないようですので、わかりにくいですが原文を残して訳しました。)

  • 3D RGB Lut変換を処理するための新しいモジュール「3D lut」(PNG Hald-CLUTおよびCubeファイルをサポート)が追加されました。

  • 「タグ付け」モジュールが完全に作り直されました。「タグ付け」モジュールはより高速かつ、完成度が上がりました。新しい階層ビューにより、タグをプライベートに設定したり、タグをカテゴリに割り当てたり、同義語を検索したりすることが可能になりました。

  • 「エクスポート」モジュールに、エクスポートするメタデータを選択するオプションが追加されました。

  • 「基本調整」モジュールが追加されました。黒レベル補正、露出、ハイライト圧縮、コントラスト、中間グレー、明るさ、彩度を調整できます。 Rawtherapeeの自動レベルに基づいた自動露出調整(コントラストを含む)が、画像全体またはユーザー選択領域で機能します。

  • ピクセルパイプ内の他のモジュールにマスクをコピーできる新しい「ラスターマスク」 raster maskが追加されました。

  • さらに、その他の多くのマイナーな(しかし有用な)機能が付け加わりました。この記事の最後の部分で、それらについて説明します。

毎回行われるダークテーブルのメジャーリリースと同様に、今回もデータベース形式が変更されるため、 3.0に移行すると以前のバージョンに戻ることはできません:更新にデータベース (~/.config/darktable/ directory)のバックアップを作成することをお勧めします。ただし、darktable 3.0には、バージョン2.6以前のデータベースの自動バックアップが導入されています。これは、darktableがもたらす多くの変更、特にピクセルパイプの順序の全面的な変更があったためです。

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