評価と情報公開

(QS世界大学ランキングを例に評価を考えます)

 

年功型雇用を、ジョブ型雇用に切り替える場合の最大のハードルは、評価です。

 

評価は成果主義ではありません。

 

クリストフ・ウェバー氏は、グラクソ・スミスクライン・バイオロジカルズ社CEO等を経て、2014年にタケダに入社して、2015年からタケダの代表取締役社長CEOになっています。

 

クリストフ・ウェバー氏は、10年近く、代表取締役社長CEOを務めていますが、その間に、アイルランドの製薬大手シャイアーを約6兆円で買収し、2020年に、子会社の武田コンシューマーヘルスケア(アリナミン製薬)の売却をしています。

 

クリストフ・ウェバー氏は、競合する製薬会社との将来の競争に生き残るために、企業買収とリストラを進めていますが、その間に、タケダの売り上げが大きく伸びた訳ではありません。改革は、10年がかりで、借りに成果が出るとしても、それは、今後になります。

 

クリストフ・ウェバー氏は、グラクソ・スミスクライン・バイオロジカルズ社CEOかた転職していますが、グラクソ・スミスクライン系の企業のCEOの経験で、タケダのCEOをしている訳ではありません。タケダに転職するときには、前CEOの肩書が効果があったと思われますが、タケダで、10年近くCEOを続けていることは、タケダのCEOとしても業績が評価されていることを意味します。

 

タケダの売り上げがあまり伸びていないにもかかわらず、株主総会は、クリストフ・ウェバー氏のCEOとしての活動を評価している訳です。

 

評価を成果主義にすれば、タケダのように10年がかりで組織の改変をすることは不可能になります。

 

この点は、別途、検討することにして、今回は、成果主義ではない、評価の例として、QS世界大学ランキングを考えます。

 

単純な成果主義であれば、大学の評価は、学生数や予算で評価できることになります。

 

QS世界大学ランキングは、大学を選択する人に、大学の経済価値を見える化して、提示することを目標にしています。

 

つまり、ランキングの高い大学ほど、授業料に対する高いリターンが、将来期待できることになります。

 

国大協が、インフレで財政が厳しいといっています。

 

一部の大学は、授業料の値上げを検討しています。

 

国立大学の授業料は、昔に比べると値上がりして、私立大学との差が小さくなっています。

 

EUの国では、大学の授業料が無償の国も多くあります。

 

しかし、こうした国では、大学の数が少ないですし、落第して卒業できない学生も多数います。

 

一つの項目だけを取り上げて議論することは、サンプリングエラーがあり、間違いです。

 

私立大学の半数は定員割れしていますが、教育効果のない大学は、経済成長の阻害要因になりますので、経済が厳しくなる前に、整理すべきです。

 

国立大学も、同様の問題を抱えています。

 

つまり、大学、学生、教員は、ある評価基準で評価され、教育効果のない場合には、退場を願うことになります。

 

そうした場合に、評価が問題になります。

 

こうした視点で、大学の評価については、QS世界大学ランキングが参考になります。

 

日本大学が問題を起こして、文部科学省補助金の対象外になっています。

 

文部科学省のスタンスは、問題は日本大学で、文部科学省ではないというものです。

 

しかし、文部科学省が、QS世界大学ランキングのような大学の評価リストを作成して、評価結果に基づいて、補助金の配分を行なっていれば、日本大学の問題はおこらなかったはずです。

 

もちろん、経営に関する大学の裁量権を増やす必要はあります。

 

文部科学省には、QS世界大学ランキングのような大学の評価リストをつくる力があるのでしょうか。

 

もし、それがなければ、行政指導は、絵に描いた餅であると判断できます。

 

日本大学は、大学のガバナンスの改善案を出していて、文部科学省が評価する構図になっていますが。

 

これは、クリストフ・ウェバー氏の改革案を、株主総会が評価するのと同じ構図です。

 

仮に、文部科学省には、QS世界大学ランキングのような大学の評価リストをつくる力がない場合、日本の大学の世界ランキングがあがらない原因は、文部科学省が、あるべき大学教育の姿を理解できていない点に原因があることになります。



クアクアレリ・シモンズ(QS)世界大学ランキング2025年版

 

日本の大学の順位

 

32 The University of Tokyo

50 Kyoto University

84 Tokyo Institute of Technology (Tokyo Tech)

86 Osaka University

107 Tohoku University

152 Nagoya University

167 Kyushu University

173 Hokkaido University

181 Waseda University

188 Keio University

377 University of Tsukuba

465 Kobe University

474 Hiroshima University

539 Hitotsubashi University

641-650 Ritsumeikan University

661-670 Tokyo Medical and Dental University (TMDU)

751-760 Tokyo University of Science 東京理科大学

771-780 Chiba University

851-900 Nagasaki University

851-900 Okayama University

851-900 Tokyo University of Agriculture and Technology

901-950 Kanazawa University

901-950 Osaka Metropolitan University

901-950 Ritsumeikan Asia Pacific University

901-950 Yokohama City University

951-1000 Kumamoto University

951-1000  Niigata University

951-1000  Sophia University

1001-1200 Gifu University

1001-1200 Gunma University

1001-1200 International Christian University

1001-1200 Kagoshima University

1001-1200 Kyushu Institute of Technology

1001-1200  Shinshu University

1001-1200  Tokushima University

1001-1200 Tokyo Metropolitan University

1001-1200 Yokohama National University

1201-1400 Aoyama Gakuin University

1201-1400 Doshisha University

1201-1400 Kindai University (Kinki University)

1201-1400 Kyoto Institute of Technology

1201-1400 Meiji University

1201-1400 Nagoya Institute of Technology (NIT)

1201-1400 Rikkyo University

1201-1400 Saitama University

1201-1400  Tokai University

1201-1400  Yamaguchi University

1401+ Kwansei Gakuin University

1401+ Shibaura Institute of Technology



<< 引用文献

QS World University Rankings 2025: Top global universities 

https://www.topuniversities.com/world-university-rankings

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