日本は経済成長しているのか(改訂版)

改定:「GDPの定義上、輸入が減ると数字が上昇する」を加えました。



日本経済が成長しているとという論旨が出てきています。

 

2023年9月30日の日経新聞は、個人所得がバブルを越えている割合が3割であると報じています。

 

しかし、これは、日本経済が成長していると見せかけるフェイクになる可能性の高い記事です。

 

円安とインフレの物価高があれば、名目の個人所得は増えますが、実質は減っています。

 

9月25日のBloombergでは、ウィンクラー氏は、「長期停滞を克服した日本、G7諸国の羨望の的に変身」というタイトルで、次の様にいっています。

長期停滞の典型と皆に見なされてきた国(日本)が、平均寿命や一人当たりの国内総生産(GDP)の伸びでいつの間にか主要7カ国(G7)をリードするようになり、最高経営責任者(CEO)や世界の投資家を苦しめてきたデフレに数十年ぶりに終止符を打った。それだけではない。「日出ずる国」日本はドル建てベースで世界のどの国・地域よりも大きい株式リターンをもたらしている。

 

しかし、この根拠となっている数字は、円建ての評価です。

 

基軸通貨のドルでみれば、人当たりの国内総生産(GDP)は伸びていません。

 

加谷珪一氏は、予想を大きく上回った2023年4-6月期のGDP成長率は、数字のマジックであると言います。

GDPの定義上、輸入が減ると数字が上昇するので、前期と比較して輸入が減少すれば、その分だけGDPが増える。輸入が減るのは、景気が悪いタイミングであることが多いので、数字のマジックが起こる。

 

Matthew A. Winkler氏は、Editor in chief emeritus of Bloomberg News, writes about marketsですから、これは確信犯の内容です。

 

9月27日のNewsweekに、.練乙錚氏は、「日本は不況の前例ではなく『経済成長の手本』」といいます。

 

そして、問題の多い中国の例として次をあげています。

 

2008年の刺激策では中国政府が補助金や投資、融資をハイペースで提供し、国民がそれを奪い合うような騒ぎが全国に広まった。中国の国民はその後10年、苦労せずに多額の資金を手にすることばかり考える「パラサイト(寄生虫)」と化した。

 

刺激策が国民を甘やかした結果は、投資効率の低下としてデータに表れている。今の中国では、同じ生産高を生み出すのに必要な投資額が20年前の約2倍に達している。

 

刺激策が「パラサイト」を生んだ一方、資本はその効力を失っているのだ。

 

練乙錚氏は、中国はパラサイトだが、日本はパラサイトでないと主張しているように読めます。

 

しかし、現在の日本は、経団連が、消費税、つまり、輸出還付金をあからさまに、要求しています。予算は、パラサイトの補助金だらけです。国際半導体を作るといって、数兆円、リスキリングとといって1兆円のパラサイト予算が動いています。

 

これをみれば、日本はパラサイトでないとは思えません。



同じような記事が、出て来ることをみれば、利益誘導の可能性を考えたくなります。



引用文献



長期停滞を克服した日本、G7諸国の羨望の的に変身-Mウィンクラー 2023/09/25 Bloombeg Matthew Winkler

原題:Japan Shows How to Defeat Secular Stagnation: Matthew Winkler

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-25/S1IFKAT0G1KW01

 

日本は不況の前例ではなく「経済成長の手本」。中国が「日本と違う」これだけの理由 2023/09/27 Newsweek 練乙錚(リアン・イーゼン)

https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2023/09/post-102710.php

 

予想以上のGDP成長率、実は「数字のマジック」...まったく喜べない日本経済の本当の姿を解説 2023/09/06 Newsweek 加谷珪一

https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2023/09/post-249.php