パナソニックにみるレンズの設計費用(15)設計思想の変化

パナソニックのMFTのレンズの設計思想は、最小は画質優先で、次いでサイズ優先になっています。GM1が出た2014年頃が、サイズ優先が一番きいています。

GM1のキットレンズの次の2本が典型です。

 

LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S

LUMIX G VARIO 35-100mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.S

 

写真1は、12-32mm/F3.5-5.6の望遠端の開放絞りです。

 

非球面レンズとEDレンズを使っています。

 

フィルム時代のレンズと異なり、物理特性の大きな欠点はありません。

価格も新品で2万円台、中古なら1万円台で、交換レンズとしては、安価です。

 

ただし、はっとするような写りではありません。

 

これは、RAW現像では修正できません。

 

ここまで小さくすると、ズームレンジが狭くなってしまいます。

 

このレンズは、ズームの標準のキットレンズです。

 

GM1の後継機がでなかったので、もう少し、大きく、ズームレンジが広くてもよい気もします。

 

GM1と同じサイズ優先の設計思想のレンズを使いまわすのは、どうかと思います。

 

候補になるのは次の2点です。

 

LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm/F3.5-5.6 ASPH./ POWER O.I.S

LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 II ASPH./MEGA O.I.S

 

14-42mm/F3.5-5.6 IIは、製造中止です。

4-42mm/F3.5-5.6 は、電動ズームなので、評価がわかれます。

 

 

 

写真1

 

14-140mmを比べても変化はサイズです。

1)2009年 5月15日 発売  LUMIX G VARIO HD 14-140mm/F4.0-5.8 ASPH./MEGA O.I.S

最大径x長さ:70x84mm 重量:460g

2)2013年 5月30日 発売 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S

最大径x長さ:67x75mm 重量:265g

3)2019年 5月下旬 発売 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 II ASPH./POWER O.I.S

 最大径x長さ:67x75mm 重量:265g

 

2)と3)は、品名がiiになって、防塵防滴に対応していますが、レンズはおなじです。

 

デジカメInfoでは、Photo Reviewの1)と2)の評価を紹介しています。

総合評価は8.5点で旧型と同点ですが、画質の評価は8.5点から8.3点に低下しており、一方で使い勝手の評価は8.5点から8.8点に向上しています。

画質の評価は若干下がっていますが、旧型と比べてレンズが明るくなった上で大幅に小型・軽量化されているので、便利ズームとしての魅力はかなりアップしているという印象です。

つまり、性能を犠牲にして小型化が図られています。

 

「商品レビュー」では、3)について、次のように書かれています。

 

カメラ初心者にマイクロフォーサーズをおすすめするとき、このレンズと広角~標準の単焦点1本の2本をとりあえず買うように進言しています。予算がまだあるなら次は広角ズームかなって感じですね。まぁ、それでだいたい撮れちゃいます。

 

せっかくの旅行だし、良いカメラを持っていきたい!

 

でも、コンデジは嫌だ!そして、デカくて重いのも嫌なんだ!!

 

そんなわがままを叶える本レンズ、旅レンズとしても、着けっぱなしの常用レンズとしても、超おすすめですよ

 

「せっかくの旅行だし、コンデジではなく、デカくて重くない良いカメラ」は、設計思想です。

 

現在のMFTは、こうした設計思想が伝わっていない気もします。

 

14-140mm/F3.5-5.6 IIは、G6やGH3のキットレンズになっていました。

 

最近に機種では、キットレンズになっていないと思います。

 

プロのカメラマンは、フルサイズを使うとカメラメーカーは宣伝していますが、サブ機のMFTを使っているプロのカメラマンが大勢います。

 

GM1は極端に小さく、操作性を犠牲にしたので、後継機種は出ませんでした。

 

結局、小さくて手ブレがついた高性能機種は出ていません。

 

これは、OMシステムも同じで、カメラが大きい方が性能がよくなっています。

 

レンズも、LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7は690gもあります。

 

小さくて、性能のよいレンズは、LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPHあたりから少なくなっています。

 

最近では、次のレンズが、小さくて、性能のよいグループに入ります。

かなり売れているようです。

 

2022年 6月23日 発売 LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH.

 

ブログなどWEBに載せる写真であれば、MFTか、APS-Cで十分です。

 

レンズのレビューは、単品ですが、設計思想の変化も影響しています。

 

シグマは、アート・シリーズとコンテンポラリー・シリーズの差が小さくなっています。OMシステムは、最近は、PROレンズを乱発して、便乗値上げに見えます。

 

digicame-info.com

 

 

 

korokorocam.com

 

発売日順のレンズ一覧(2014年まで)

2008年10月31日 発売 LUMIX G VARIO 45-200mm/F4.0-5.6/MEGA O.I.S

2009年 5月15日 発売  LUMIX G VARIO HD 14-140mm/F4.0-5.8 ASPH./MEGA O.I.S

2009年 4月24日 発売 LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S

2009年 4月24日 発売  LUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0 ASPH

2009年 9月18日 発売  LUMIX G 20mm/F1.7 ASPH

2009年10月23日 発売  LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S

2010年 6月30日 発売 LUMIX G FISHEYE 8mm/F3.5

2010年10月29日 発売 LUMIX G VARIO 100-300mm/F4.0-5.6/MEGA O.I.S

2010年10月 8日 発売 LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH

2011年 7月22日 発売 LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH

2011年10月13日 発売 LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6 ASPH./ POWER O.I.S

2011年10月13日 発売 LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm/F3.5-5.6 ASPH./ POWER O.I.S

2012年 6月21日 発売 LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S

2012年 9月13日 発売 LUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.S

2012年10月26日 発売 LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8/POWER O.I.S

2013年 3月 8日 発売  LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 II ASPH./MEGA O.I.S

2013年 5月30日 発売 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S

2013年 7月11日 発売  LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH

2013年11月21日 発売 LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S

2014年 2月13日 発売  LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S

2014年 5月15日 発売  LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH

2014年10月23日 発売 LUMIX G VARIO 35-100mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.S