10-6)マイナンバーカードのエラー
マイナンバーカードのエラーのデータが出てきたので、補足しておきます。
2023年6月15日の女性自身には次のような報告があります。
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北原医院(大阪府)ではマイナ保険証の利用者の3割に、入力情報の誤りなどがありました。
全国保険医団体連合会の調査では、6月2日時点で「保険料を支払っているのに、保険資格なしとされ、医療費が10割負担となるケースが、545件」報告されています。
全国保険医団体連合会が35都道府県の7千208件の医療機関を対象に行ったアンケート調査結果:
マイナ保険証のオンライン資格確認を導入した医療機関は84.1%。
そのうち、導入後にトラブルがあった割合は、全体の64.8%、3千929件。
内訳:
被保険者の情報が正しく反映されず《無効・該当資格なし》などと表示されるケースが約65%を占めた。
カードリーダーやパソコンの不具合でマイナ保険証を読み取れないトラブルが約47%あった。
各病院でカードリーダーが使用される時間帯は、通信状況がパンク状態になっているため、カードリーダーの通信状況が悪く、つながりにくいと推測される。
誤字。名前に旧字などを使用していると、●と伏せ字になって表示される。
切り替えのトラブル:
社保から国保に7カ月前に切り替えた患者が、社保のまま。
8カ月前に結婚で名字が変わっているのに、旧姓のまま。
負担割合の入力ミス:
本来、2割負担の高齢の患者さんが、マイナ保険証の情報では1割負担。
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デジタル庁は、次の対応をしています。
医療現場でのトラブルを未然に防ぐため、デジタル庁では、健康保険証情報が正しく登録されているのかを確認する方法を、WEB上で公開。
問題点を整理しておきます。
(S1)無保険扱い、つまり医療費が10割負担になってしまうリスク回避の方法が確保されていません。
(S2)システム化とは、問題を直接扱わないで、ツールを作って、ツールを使って問題を解決する手順だと考えます。「健康保険証情報が正しく登録されているのかを確認する方法を、WEB上で公開」は、システム化に、逆行しています。
(S3)民主党政権の時に、失われた年金問題が出てきましたが、その後、うやむやになっています。これは、マイナンバーカード以前の原簿に問題が残されたままである可能性を示しています。「名前に旧字などを使用していると、●と伏せ字」は、その一部に思われます。
異体字セレクタ(ウィキペディア)によれは、この問題は解決済みのはずです。
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官庁では戸籍統一文字や住民基本台帳ネットワーク統一文字などで独自の大規模文字セットが繰り返し作成され、一部で運用されてきた。しかしそれらは、Unicodeを使用している既存の大多数のPC環境と相互運用性がありません。
異体字セレクタは以上のような問題をUnicode上で解決するために考案された特殊な「文字」(符号位置が与えられているもの、という意味では「文字」) です。異体字セレクタが利用できる文字は規格で定められており、先行する1文字 (基底文字) の後に規格で定義された異体字セレクタを付けることで異なる字形が選択できます。なお基底文字と異体字セレクタで構成された文字を異体字シーケンス(Variation sequence)と呼びます。
異体字シーケンスには2種類あり、Standardized Variation Sequence (標準化された異体字シーケンス、略称 SVS) と、Ideographic Variation Sequence (漢字異体字シーケンス、略称 IVS) があります。
IVSは漢字専用で、字形コレクションは Ideographic Variation Database (漢字異体字データベース、略称 IVD) にて定義されている。IVDへ字形コレクションを登録するには、定められた手続きに則ってユニコードコンソーシアムへ申請を行う必要があります。
2008年10月10日、日本は汎用電子情報交換環境整備プログラムの成果として収集・整理された、戸籍や住民基本台帳ネットワークの処理に必要とされる異体字を、 (ISO/IEC JTC 1) に、互換漢字として追加提案しましたが、Unicode Technical Committee (UTC)から、IVDによる登録を推奨するとコメントされ、撤回しています。
2010年3月31日、日本は取り下げた互換漢字の追加提案に代わってIVDへ登録を申請し、2010年11月14日正式にHanyo-Denshiとして登録されています。
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異体字を扱う仕組みとして、「ISO/IEC 10646」(2008年版以降)に「IVS(Ideographic Variation Sequence/Selector)」と呼ぶ仕組みが規定されています。既に、IVSとIVSに対応する字形の一覧は、Unicodeコンソーシアムから「IVD(Ideographic Variation Database)」として公開されており、ISO/IEC 10646から正規の規格として参照されています。
文字情報技術促進協議会は2015年11月17日、情報処理推進機構(IPA)が推進する「文字情報基盤導入テクニカルスタディ」に定められている「文字情報基盤暫定私用コード1」に沿ったマッピングテーブルと対応フォント「IPAmjPUPフォントVersion 001.01」を公開しています。
「ISO/IEC 10646」規格に未対応の機器や環境でも文字情報基盤で整備した約6万種の異体字全てを扱うことができるようにIPAが定めたのが、文字情報基盤の暫定私用コード1です。
マイナンバーカードの交付は、2016年(平成28年)1月に開始されています。
これは、「ISO/IEC 10646」(2008年)あるいは、「IPAmjPUPフォントVersion 001.01」(2015年)に、準拠しているはずです。
(S4)「各病院でカードリーダーが使用される時間帯は、通信状況がパンク状態」は、クラウドサービスが機能していないことを意味します。おそらくAWS等をつかっていないのではないでしょうか。国産ITベンダーの利用に耐えないネットワークを使っている可能性があります。
(S5)許容されるエラー率、通信速度などのシステム仕様のデータは、公開すべきです。
システムが、システム仕様を満たさない場合には、その責任は、デジタル庁ではなく、ITベンダーにあります。責任分担の明確化はCOCOAの時にも無視されました。しかし、入札または、随意契約の問題である可能性があります。デジタル庁は、少なくとも、会計検査院に調査を依頼すべきです。
引用文献
6万種の漢字異体字を扱えるフォントを公開 2015/11/17
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/1511/17/news130.html
マイナ保険証強行の罠「医療事故ひん発」に「10割負担」も! 2026/06/15 女性自身
https://jisin.jp/domestic/2212819/
10-7)ソフトウェアの適正価格
ラインがネット証券事業から撤退します。
2023年6月13日の日経新聞のよると、主な理由は、システムが重厚で、資金回収できそうにない」点にあります。
これは、自動車で例えれば、とんでもなく燃費の悪い車になります。
ネット証券は、加入者を増やしていますので、ラインの撤退は、ソフトウェアの出来がわるかったためと思われます。
ソフトウェアの場合、最初のバージョンの出来が、メンテナンスコストに決定的に効きます。
ブログでは、RAW現像ソフトに、darktableを使っています。
このソフトウェアは、モジュールが、独立しています。現在のバージョンでは、モジュール間の通信機能がない(パラメータの引き渡しができない)問題がありますが、モジュールを作成する時に、既存のモジュールと調整する必要はありません。このため新しい機能を考案した人が居れば、モジュールを比較的簡単に作ることができます。
Photoshopに相当するFreeの写真のレタッチソフトに、Gimpがあります。
Gimpは、darktableとは逆に、モジュール間の独立性が低くなっていいます。
Gimpは、バージョンアップがゆっくりしていますが、その原因には、モジュール間の独立性が低く、1つのモジュールを修正すると、関連して他のモジュールも調整する必要があるためと思われます。
このように最初のモジュール設計は、メンテナンスや実行速度を大きく左右します。
darktableのモジュール間の独立性の高さは、常識を超えています。
ユーザーはモジュールのインスタンスのコピーをつくることができます。
これは、全ての機能がメニューで選択できるインターフェースではありません。
RAW現像ソフトの標準は、Lightroomですが、モジュールのコピーはできないと思います。
モジュールのコピーは1つ間違えば、ソフトウェアの暴走につながりますので、商用ソフトウェアでは、考えられない仕様になります。
この自由度の高さは、自己責任で使うFreewareの醍醐味になります。
ITの高度人材では、年収1億円以上を稼ぐ人もいます。
この1億円は、高いとは言えないのです。
例えば、ネット証券の最初のソフトウェアが、適切にモジュール化されていれば、それ以降のバージョンアップや、バグフィックスは容易にできます。ここを失敗すると、その後の費用が大きくなります。
最初のバージョンを安くあげても、追加費用が大きくなれば、結局トータルコストが増えてしまいます。
ラインのネット証券事業から撤退には、初期投資の失敗の可能性があります。
最近では、どの企業も、DXが必要だということで、IT人材の数を揃えることに熱心になっています。
しかし、とりあえずで、出来の悪いシステムを作ってしまうと、取返しがつかなくなります。