(9)オリンパス(1)
露光を標準グレーからずらす、あるいは、ダイナミックレンジを拡張する機能の続きです。
1)階調オート
階調の自動設定は、SAT(シャドー・アジャストメント・テクノロジー)とも呼ばれていましたが、「階調オート」と呼ばれることが多いです。
階調の設定には、次の4種類があります。
(1)階調標準(階調Normal)
(2)階調オート(階調Auto)
(3)階調ローキー(階調Low)
(4)階調ハイキー(階調High)
ややこしいのは、階調の設定は、ピクチャーモードのピクチャースタイルの下にぶらさがっていることです。
ピクチャーモードは、フジフィルムでいえば、フィルムシミュレーションになると思いますが、フジフィルムでは、ダイナミックレンジ拡張は、フィルムシミュレーションとは独立しています。
オリンパスでは、階調の設定は、ピクチャーモードの一部で、ピクチャーの設定毎に、階調の設定を変えることができます。
これは、フジフィルムであれば、プロビアでは、ダイナミックレンジを100%に、アスティアであれば、ダイナミックレンジを200%に設定するイメージです。
「(1)階調標準」は、RAWには影響しません。
「(2)階調オート」は、自動的に、「(1)階調標準」、「(3)階調ローキー」、「(4)階調ハイキー」を切り替える気もしますが、そうはなっていません。これもRAWには影響しません。
「(3)階調ローキー」は、露光をさげるので、RAWに影響します。
「(4)階調ハイキー」は、露光をあげるので、RAWに影響します。
この2つは注意が必要ですが、RAW撮影で、あえて積極的に使うメリットはありません。
ところで、階調オート以前の問題として、オリンパスの「(1)階調標準」は、標準グレーではないことに注意する必要があります。RAWでの撮影では露光を標準グレーより低めに設定して、RAW現像時点で、その差を持ち上げて補正しています。この方法をとると、同じMFTでは、パナソニックに比べて、白飛びしなくなりますが、暗所ノイズが増えてしまいます。
筆者は、白飛びが怖いので、標準露光をー0.7EV 下げて撮影することが多いのですが、この方法は、パナソニイックでは正解ですが、オリンパスでは、間違いのようで、ISO200でも、暗所を持ち上げると、盛大なノイズが出てしまいます。
問題は、AWでの撮影では露光を標準グレーより低めに設定しても、カメラのモニターにでるヒストグラムは補正後のJpegのヒストグラムであるため、そのことが確認できないことです。
オリンパスのカメラで、 RAW画像をETTRにすると、カメラのモニターのヒストグラムでは、右端が切れる状態になるようです。その偏差量はー1EV 弱のようです。
したがって、オリンパスのカメラでETTRにするは、標準露光を下げるのでなく、上げて使う必要があります。
2)HDR
オリンパスは、例外的にHDRでも、RAW保存できます。
HDRの説明は以下です。
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1回の撮影で自動的に露出を変えながら複数枚の撮影をしてカメラ内で合成した画像を生成します。[HDR1]にすると自然な風合いの仕上がりに、[HDR2]にすると絵画のようなアート性を強くした仕上がりになります。
• [KISO感度]は、200に固定されます。
• 設定できるシャッター速度は4秒までです。撮影は15秒まで動作します。
• ピクチャーモードは[Natural]に、カラー設定は[sRGB]に固定されま
す。
• HDR合成された画像はJPEGで記録されます。画質モードが[RAW]のと
きはRAW+JPEGで記録されます。
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ところで、出来あがったRAWを見ると、普通のRAWと変わらない気がしました。
この点は、後で、ダイナミックレンジの広いシーンで確認したいと思います。
今回は、画像は省略します。
3)シーンモード
EM5シリーズまでは、シーンモードがあり、RAWで保存できます。
EM1シリーズには、シーンモードはありません。
パナソニックは、上位機種では、マニュアルのシーンモード選択はできませんが、iAUTOで、自動シーン判別が残っていますが、EM1シリーズには、iAUTOに相当するモードはありません。
iAUTOでは、70点満点くらいの設定しかできませんが、風景、ポートレート、接写を瞬時に切り替えることができるので、便利です。少なくとも、Pモードよりはましです。
絞り優先か、シャッター速度優先で、設定を変えると、思ったような写真が撮れますが、花の写真のように、綺麗な姿を花を選別する、背景の綺麗なアングルを探す、日光の強さの変化を予測するなどすると、30分くらいで、集中力が続かなくなります。
筆者は、こうした場合には、iAUTOを使って、頭を休ませることがあります。
上位機種に、iAUTOを付けない理由は思い浮かびません。