ハドソン・リバー・スクールの研究（６）

７）デュランド「気の合う仲間 Kindred Spirits」(1849)

今回は、第1世代の2人目の画家として、デュランドの「気の合う仲間 Kindred Spirits」を取り上げます。

かなり、背景が複雑なので、Wikipediaを引用して説明します。

７－１）カータースキル滝

アメリカで、滝が注目されたのは、ワシントンアーヴィングの「リップヴァンウィンクル」(1819)の滝の言及に始まります。それ以前、アメリカ人は山や谷を野蛮な原住民が住む危険な地域と見なしていました. 1812 年に、米英戦争が終わり、フロンティアがはるか西に移動したとき、人々はハドソン川渓谷周辺の高い高地を、風光明媚と見なし始めました. アーヴィングが「リップヴァンウィンクル」でカータースキル滝を紹介し、コールたちは谷の発見を目指しました。

コールは、蒸気船に乗ってハドソン川を遡り、北のニューヨーク州キャッツキルに向かい、1825 年 10 月にキャッツキル・クローブに足を踏み入れます。

1826 年にトーマスコールは、カータースキル滝を正面から描きました。

1827年には、滝のあるキャッツキル・クローブの絵を描いています。

得られた絵画は、ニューヨークイブニングポストの 1 面に掲載され、ハドソン川渓谷やカータースキル滝などの風光明媚な場所が、急速に拡大する米国で最も有名な観光地の一部になりました。

コールの絵画の影響によって、アメリカ人アーティストの最初の世代は、キャッツキル・クローブ、カータースキル滝、チャールズビーチのキャッツキルマウンテンハウスへ巡礼の旅をするようになります。

カータースキルの滝は、ニューヨーク州東部のキャッツキル山脈にある 2 段の滝で、2 つのカスケードの合計高さは 260 フィート (79 m) で、ニューヨークと米国東部で最も高い滝の1 つとなっています。

滝はアメリカで最も古い観光名所の 1 つであり、19 世紀初頭の多くの本、エッセイ、詩、絵画で描写または説明されています。1825年にトーマス・コールが初めて訪れて以来、彼らはハドソン・リバー・スクールの画家たちの主題となり、アメリカの風景画にとって理想的なフィールドになりました。。

７－２）コールの死

1848年2月にコールは突然亡くなります。

ニューヨークのアートコレクターであり擁護者であるジョナサンスタージェスは、、1848 年 5 月に画家コールに追悼の意を表したブライアントへの贈り物として、デュランドに、私たちの亡くなった友人を連想させる絵を描いてほしいと依頼します。

こうして「気の合う仲間」が出来ます。

「気の合う仲間」には、コールと彼の友人で詩人のウィリアム・カレン・ブライアントが描かれています。

ブライアントは、コールの作品を紹介した、ニューヨークイブニングポストを編集しており、アメリカを代表する自然詩人として、ハドソンリバースクールの文学的な声を具現化しています。

1836 年に、ブライアントは、「カータースキル滝」の冬の氷柱の詩を書きました。

意気投合したコールとブライアントは、1840年の夏、共にカータースキル滝とキャッツキル・グローブ地域を探検しています。

「気の合う仲間」は、カータースキル滝とキャッツキル・グローブを組み合わせた視覚的に印象的な想像図です。

デュランドは、「気の合う仲間」でコールとブライアントを一緒に描くことで、19 世紀初頭の芸術界と文学界の関係、およびアメリカの風景と自然に対する彼らの共通の信念を視覚的に記録しました。今日、Kindred Spiritsは、ハドソンリバースクールとその時代の文化の両方を象徴するようになりました。コールの思い出の作品として考案されたKindred Spiritsは、今ではそれが作成された時代の視覚的な記憶であると言えます.

写真１は、コールの「カータースキル滝」（1826年）です。

写真２は、コールの「キャッツキル・グローブ」（1827年）です。

写真３が、「キャッツキル・グローブ」です。

写真４が、「気の合う仲間」です。

写真５が、「気の合う仲間」の構図です。トンネル構図で、近景と遠景があり、その中間の中景に人物がいます。構図としては単純です。

この絵は、「19 世紀初頭の芸術界と文学界の関係、およびアメリカの風景と自然に対する彼らの共通の信念を視覚的に記録」したことに価値があるのであって、風景画そのものの出来栄えは、「オックスボー」には、はるかに及びません。