構図とクロップ(3)ミニマリズム(前編)

ミニマリズムは、同じパターンが繰り返される絵画や音楽をさします。

 

完全に繰り返すと、壁紙のようなデザインになります。

 

壁紙には遠近感や奥行きはありません。人間の脳は、2次元のデータを脳で再構成して、奥行きを探すようにトレーニングされています。このため、奥行きのないものを見続けると、脳がオーバーヒートして、少しシュールな感じになります。

 

ミニマリズムの絵画では、根津美術館にある尾形光琳の燕子花図(かきつばたず)です。金箔の上にカキツバタだけがあり、カキツバタはパターン化されています。

同じ尾形光琳でも、メトロポリタン美術館蔵にある八橋図屏風は、金箔の上に、カキツバタと橋が描かれています。こちらには、橋が描かれていることで、ミニマリズムの効果は弱くなっています。

 

なお、光琳を制作年代順にみれば、最初は人物あり、次は人物なし(八橋図屏風)、最後は、橋なし(燕子花図)になったようです。

 

写真1は、ハナショブです。

 

写真2は、通常のクロップ(トリミング)です。近景のハナショウブ、中景のスイレン、遠景の水面、再遠景のハナショウブを並べれば、遠近感のある絵ができます。

バランスは、上の水面は3分割線に重なればよいと思われます。

 

写真1をミニマリズムで、クロップすれば、写真3のようになります。遠近感が出るスイレンと水面は外します。

 

写真4は公園の並木です。これをミニマリズムで、クロップすれば、写真5になります。

 

写真6は千体地蔵です。これをミニマリズムで、クロップすれば、写真7になります。

 

写真4と写真6を見ればわかりますが、ミニマリズムでクロップするには、撮影時に、そのことを考えて、構図を決める必要があります。



写真1 ハナショウブ



 

 

 

写真2 ハナショウブ

 

 

写真3 ハナショウブ



 

 

 

 

 

 

写真4 並木

 

写真5 並木

 

 

 

 

写真6 千体地蔵

 

 

写真7 千体地蔵