道の駅ローズマリー公園(2)(南房総市)
シェイクスピアガーデン
フランシスガストレル牧師よって、ニュープレイスと庭は破壊されてなくなりました。
ここで、問題は、シェイクスピアの解釈です。
Shakespeare garden(Wikipedia)に載っている、ハムレット第4幕第5場をどのように説明するか、悩んでいましたが、サンドラさんの「オフィーリア Ophelia」の解説が優れています。
ここでは、その一部を引用して、シェイクスピアと花の関係を概観します。
サンドラさんのWEBには、花言葉の詳しい説明が載っています、ここでは、花言葉は省略していますので、是非、サンドラさんのWEBをご覧ください。
オフィーリア Ophelia http://marieantoinette.himegimi.jp/ophelia-flowers1.htm
第4幕第5場
恋人ハムレットに冷たくされ、そして父ポローニアスをそのハムレットに殺され、ついに正気を失ってしまったオフィーリア。誰の顔も分からなくなり、訳の分からない歌を歌うばかり。そんなオフィーリアがデンマーク宮廷の大広間に入ってきます。みだれた髪は花にまみれ、たくさんの花を抱えて、見るも痛々しい様子です。そこには国王夫妻のほかに、オフィーリアの兄、レアティーズがいました。レアティーズはフランスに行っていましたが、父の死の知らせを聞いて、真相究明と復讐のために帰ってきたのです。 オフィーリアはもはや兄のことさえ分からず、人々に花々を配り歩きますが、その花の象徴的な意味が、それぞれの人物に適切にあてはまります。
まず兄レアティーズを愛するハムレットと間違えたのか、“愛しい人”と呼びかけ、ローズマリー(和名:マンネンロウ)とパンジー(三色スミレ)を手渡します。
「ローズマリーよ。思い出のしるし。愛しい人、お願い、私を忘れないで。」
ローズマリーに続きオフィーリアはレティーズにパンジー(三色スミレ)を渡します。 「それからパンジー、ものを思うしるしよ」
続けてオフィーリアはクローディアス王に「あなたにはフェンネル(ウイキョウ)、それからオダマキ」と2種の草花を渡します。
次にオフィーリアは、ハムレットの母である王妃ガートルードにヘンルーダを渡します。 「あなたにはヘンルーダを。私にも少し取っておきましょう。これは安息日の恵み草とも言うの。ああ、あまたのヘンルーダは私と違った風におつけにならないと…」
原文は以下で、花の名前に[]をつけました。
Ophelia: There's [rosemary], that's for remembrance. Pray you, love, remember. And there is [pansies], that's for thoughts.
Laertes: A document in madness! Thoughts and remembrance fitted.
Ophelia: There's [fennel] for you, and [columbines]. There's [rue] for you, and here's some for me. We may call it herb of grace o' Sundays. O, you must wear your rue with a difference! There's a [daisy]. I would give you some [violets], but they wither'd all when my father died. They say he made a good end.
野島秀勝訳は以下です。
オフィーリア (レアティーズに)はい、これがローズマリー、忘れるなっていう徴(しるし)──あたしを忘れちゃいやよ、いいわね──それから、これはパンジー、物思いの徴。
レアティーズ 狂気にも教訓があるということか。物思って忘れるな、おれにぴったりな教訓だ。
オフィーリア 〔王に〕 あなたにはウイキョウ、それからオダマキ。 〔王妃に〕 あなたにはヘンルーダ、あたしにも少しとっときましょう。これは安息日には恵みの花って呼ばれるの──あら、同じ花でも、あなたとあたしとでは、つける意味がちがうわね。ヒナギクもあるわ。あなたにはスミレをあげたかったのに、みんな枯れちゃった、お父さまが亡くなったときに──安らかな御最期だったとやら
『ハムレット』 第4幕第5場より 野島秀勝/訳 岩波文庫 『ハムレット』
このように、花がわからないとシェイクスピアは読めません。
そこで、wikiによれば、シェイクスピアガーデンが、英語圏を中心に35か所作られています。
シェイクスピアガーデンは、ウィリアムシェイクスピアの作品で言及されている175の植物の一部またはすべてを栽培するテーマガーデンです。
wikiのリストにはありませんが、1987年秋に、神戸女学院シェイクスピア・ガーデンが、シェイクスピアが作品の中で言及した約160種類の植物のうち、日本の気候・風土に合う100種余の植物が集められ、開園しています。
植物のシェイクスピアからの引用はThe Riverside Shakespeare (G. Blakemore Evans ed., 1974)が基本文献です。和書では、金城盛紀 シェイクスピア花苑(1990年、世界思想社)、シェイクスピアと花(1996年、東方出版)などがあります。
一番有名なシェイクスピアガーデンは、ニュープレイスの庭です。
つまり、ニュープレイスでは、建物は再建されませんでしたが、庭は再建されています。
ところで、「シェイクスピア・カントリーパーク」は、日本シェイクスピア協会会長を務めていた シェイクスピア研究の大御所故高橋康也東大教授が、監修しています。
高橋教授が、シェイクスピアガーデンのことを知らないはずが、ありません。
これは、推測ですが、高橋教授は、ニュープレイスの庭をシェイクスピアガーデンにするように、推奨してるはずです。
これは、日本珍スポット百景に引用が載っていて、引用元のHPは既にリンク切れになっているので、確認はとれとれませんが、(株)丸山町振興公社事業部部長の次の発言がのっています。
シェイクスピアの作品には多くの花が出てきますが、中でも『ハムレット』でオフィーリアがローズマリーを差しだして、私を忘れないで!と願う場面から、ハーブの一種ローズマリーを庭園の中心に据えました。
この発言には、シェイクスピアガーデンのことは念頭にないと思われます。
つまり、高橋教授が、シェイクスピアガーデンを提案したが、かみ合わなかったと推測します。