ランドマーク・モニュメントの課題(1)~つくば市とその周辺の風景写真案内(313)

ランドマーク・モニュメントの課題(1)

県西総合公園にモニュメントがあったので、この辺りで、モニュメントについて整理をしておきます。

ただし、少し書いてみて、あまり力んで体系化をめざすのもよくないとおもったので、事例を中心に、コメントします。まず、話の前提を整理します。

グループモニュメント(美術館)タイプの除外

美術館タイプの複数のグループモニュメントがある場合を除きます。この場合には、モニュメントの鑑賞が主になって、個々のモニュメントはランドマークとしては考えられていないからです。この基準で、問題になるのが、モンペリエ市の場合です。モンペリエ市は、町中に、ルーブルの彫刻のコピーを配置しています。密度が低く、広く分散しています。その場合には、市役所の前の〇〇像のように、ランドマークになりますので、美術館タイプではないと思われます。一方、美術館ではないですが、つくば市の中央公園のように、フクロウの像が複数あったり、ノーベル賞受賞者の像が複数あると、個々の像はランドマークにならないので、美術館タイプと見なせます。

評価基準の考え方

以下に、事例を並べますが、ここでは、最終的には、実際に設置されているランドマーク・モニュメントが、ランドマークとしてふさわしいかを検討したいのです。そこでは、ランドマークとして、ふさわしいモニュメントとは何かという評価基準を設定する必要があります。今回の評価基準は以下です。

現在設置されているモニュメントを他のモニュメントに置きかえることが可能か。

置き換えた場合に、どの程度の違和感があるか

つまり、ランドマークとして、モニュメントがどの程度、自己主張できているかで、評価する方法です。

アンケートが好きな人であれば、住民アンケートをしてもよいですが、まず最初は、自分で、思考実験をしてみれば、おのずと、答えが求まるでしょう。

タイプ別事例(前半)

次のタイプ別の事例を見ます。長くなったので、2回にわけます。最初に、写真の出典をリストしてから、説明を付け加えます。

  • 歴史建造物・伝説

写真1 常夜灯(鞆の浦

鞆の浦(広島)~つくば市とその周辺の風景写真案内(197)2020/10/16

写真2 ガセボ(阿見町

湖南公園(その2)~つくば市とその周辺の風景写真案内(61)2020/05/31

写真3 龍虎塔(高尾市台湾)

蓮池潭・龍虎塔(台湾・高雄)~つくば市とその周辺の風景写真案内(184)2020/10/03

写真4 がまのゲート(つくば市

がまのゲート~つくば市とその周辺の風景写真案内(222)2020/11/11

写真5 モニュメント(阿見町

湖南公園(その3)~つくば市とその周辺の風景写真案内(62)2020/06/01

その他;写真なし

竜神大吊橋(常陸太田市)~つくば市とその周辺の風景写真案内(155)2020/09/04

トロルのある風景(ノルウェー)~つくば市とその周辺の風景写真案内(154)2020/09/03

このタイプの歴史的建造物は、代替性がないので、写真1の常夜灯のように、ランドマークの個性は最強です。軽井沢タリアセンの別荘のように、移設する方法もあります。また、写真3の龍虎塔のように、建造物は新しくとも、伝説等のコンセプトでランドマークとしてゆるぎない位置を得ているものもあります。竜神大吊橋は、龍虎塔と比べれば、伝説が知られていないため、竜のランドマークとしては失敗しています。トロルは、伝説としては浸透していますが、そこら中に、人形があり、ランドマークとしては失敗しています。写真4のがまのゲートも同じパターンです。元ネタは、こうした伝説にのるか、様式をコピーしないと、つくれません。前回の筑波学園教会の「オルガン作りの名匠アルプ・シュニットガー の様式」のように、様式だけをコピーする例は、日本国内では少ないです。写真2のガセボはちょっと見は、古典的な様式に近いですが、設計者は様式の再現を意図していないと思われます。湖南公園の設計者は、古典様式のイメージが好きだったと見えて、写真5のモニュメントもどこかにありそうなデザインになっています。フランスや米国の場合には、エジプトのオベリスクを移設したように、古典形式へのあこがれは強いです。

  • 彫像タイプ(コピータイプ・独自・著名人物)

写真6 ニケ像(モンペリエ市フランス)

モンペリエ市の彫像(フランス・モンペリエ市)~つくば市とその周辺の風景写真案内(153)2020/09/02

写真7 樹の精にとまる知の神(中央公園)

吾妻公園から中央公園へ~つくば市とその周辺の風景写真案内(108)2020/07/19

写真8 松尾芭蕉像(山形市

山寺(山形)~つくば市とその周辺の風景写真案内(94)2020/07/06

写真9 上杉鷹山像(米沢市

上杉神社(米沢城址)~つくば市とその周辺の風景写真案内(99)2020/07/11

その他;写真なし

ひたち野さくら公園(牛久市)~つくば市とその周辺の風景写真案内(278)2021/01/06

彫像は、典型的なモニュメントになりえますが、人物の著名度、その場所との結びつきが、ランドマークになりうるかを左右します。

写真8の松尾芭蕉像と写真9の上杉鷹山像は、その場所との結びつきが強く、人物もよく知られているので、ランドマークになっています。なお、写真9の上杉鷹山像以外に、同じ米沢城址内に、もう2体、上杉鷹山像がありますが、写真9の上杉鷹山像のサイズが大きいので、この像がランドマークになっています。

写真6のニケ像は有名ですが、その場所に設置される必然性はないので、ランドマークとしては、弱いと思われます。

写真7のような、独自の彫像は、よほど際立った特徴がないとランドマークにはならないと思います。ひたち野さくら公園にも、子供などの小さな彫像があったのですが、紹介する気にもなりませんでした。

 

  • 風車・水車タイプ

写真10 風車(土浦市

霞ヶ浦総合公園でもうすこしInkscapeつくば市とその周辺の風景写真案内(58)0202/05/28

風車・水車タイプがよく見られます。

ただ、動力としては、機能していないものが多く、やらせのイメージが強いです。

水車については、後シリーズの回で紹介してみます。

  • 仏像タイプ

写真11 観音像(飯能市

救世大観音(埼玉県飯能市)~つくば市とその周辺の風景写真案内(302)2021/01/30

これも、サイズの大きいものが多いですが、観光目当てに建立したものがおおく、遠くから見える点では、ランドマークですが、興ざめの部分も多いです。

なお、宗教施設がランドマークになっているものもあります。

仏像も、宗教施設も、宗教色が強くなると、自治体が建設することはないので、慰霊碑を除けば、対象外にしたいと思います。

次回は、後半を掲載します。

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写真1 常夜灯(鞆の浦

 

 

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写真2 ガセボ(阿見町

 

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写真3 龍虎塔(高尾市台湾)

 

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写真4 がまのゲート(つくば市

 

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写真5 モニュメント(阿見町

 

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写真6 ニケ像(モンペリエ市フランス)

 

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写真7 樹の精にとまる知の神(中央公園)

 

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写真8 松尾芭蕉像(山形市

 

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写真9 上杉鷹山像(米沢市

 

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写真10 風車(土浦市

 

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写真11 観音像(飯能市