東京都のパンデミック予測~コロナウィルスのデータサイエンス(その19)

東京都のパンデミック予測

毎日新聞の東京都のデータには、日別発症者のうちの感染経路不明者がのっています。

https://mainichi.jp/articles/20200328/k00/00m/040/131000c

毎日新聞の画像データから読み取ったデータは以下です。

探し方が悪いのかもしれませんが、厚生労働省のHPでも、東京都のHPでも、発症者のうちの感染経路不明者のデータが見つかりませんでした。

 

 

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毎日新聞のデータ


 

本来ならモデル解析をすべきですが、パラメータが公開されていません。

より単純化すれば、発症者のうちの感染経路不明者の感染経路が追跡できない場合には、発生数の変化は対数に載るはずです。

実際に、今までの、PCR検査数が少ないので、今後経路が解明できる可能性は低いです。

感染してから、陽性反応が出るまでのタイムラグは2週間ありますので、今後2週間(4月11日ころまで)は、仮に、都市封鎖などの対策をしても、トレンドが大きく変わることはないと思われます。

感染経路不明者数を対数にプロットしたものが次のグラフです。

3月22日のデータはゼロなので、このグラフには、プロットできていません。

このデータを除いたデータで、マニュアルで、傾向線を入れてみると、最悪の場合のシナリオは赤線で、4月11日の感染者数は10万人になります。最善の場合のシナリオは緑線で、4月11日の感染者数は300人になります。

これは、爆発的な拡大が起こらない最低ラインのシナリオで、アウトブレークがおこるとこれより上のラインに来ます。(4月1日追記)

この傾向線は、3月22日のデータを使っていないので、その分は過大になっている可能性があります。

この他に、感染経路がわかっている感染者が、増加しないとしても、毎日30人前後見込まれます。

これは、東京都の分だけなので、それ以外の都道府県は含まれていません。

 

赤線が緑線かは、あと、2,3日のデータがあればわかります。

なので、そのころまでには、都市封鎖するか決まると思われます。

赤線に近い場合には、都市封鎖になります。

 

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東京都のパンデミック予測

 

追記(3月29日)

連休前の3月19日の専門家会議の資料では北海道大学西浦教授の推計として、ドイツ並みの基礎再生数=2.5として、流行50日目の人口10万人当たり新規感染者数を5414人としています。東京都の人口13,951,636をかけるとこれは、755,342人になります。なお、これは、人口10万をクローズドにした推計ですので、単純に人口比で掛け算することは過少推定になり正しくないと思われます。

なお、これは赤線よりも大きな傾きになります。

西浦先生は、危惧をされています。しかし、専門回会議の資料には、モデルのパラメータは資料には細かくはのっていません。また、北大の先生のWEBにも情報はありません。

m3.com 2020.03.24 西浦・北大教授「助けてほしい」解禁ムードを危惧

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200324-00010000-mthree-soci

モデルによる予測は、Shinyをつかえば、素人でも可能で、例えば、次のようなWEBもあります。問題はパラメータの推定です。

Modeling COVID-19 Spread vs Healthcare Capacity

https://alhill.shinyapps.io/COVID19seir/

西浦先生は、2月25日に結成されたクラスター対策班の一員として、作業をされているので、リスクコミュニケーションの担当ではないと思いますが、対策班は「民は由らしむべし,知らしむべからず」から、抜けていないと思います。

 

 

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クラスター対策班

 

 

いくつかの新聞には、「1週間で患者は51人増える――。厚生労働省クラスター(感染者の集団)対策班は3月20日からの3連休に入る前に、東京都内の感染増を推計した文書を作成し、東京都側に警戒を呼び掛けていた」とありますが、この出典はわかりませんでした。そもそも、時定数が2週間あるので、連休明けに感染者数が増えるのは、連休が原因でありません。また、「1週間で患者は51人増える」は増加率のデータになっていないので、この記事には問題が多くあります。

 

日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57248120W0A320C2EA2000/

追記(4月1日)

不正確な表現を追記修正しました。