ダイナミックレンジの話(1)

1)8EVの壁

darktableが他のRAW現像ソフトと違う点は、8EV以上のダイナミックレンジに対応している点です。とはいえ、RAWなどの内部表現は別にして、ディスプレイや、印刷では、ダイナミックレンジは単純にひろげられません。最近のディスプレイは、10EVくらいあるようですが、色は、普通のRGBでは、8EVの色しか表現できませんので、簡単に10EVが使える訳ではありません。インクジェットプリンタは、8EVはないので、ディーザで胡麻化しています。これをパソコン側のソフトウェアで処理するために、高解像度の画像データを必要するという本末転倒になっています。

フィルム時代の印刷は、印画紙にアナログで印刷していましたので、中間階調も表現できたと考えるか、変換精度があまかったと考えるか、判断は分かれます。現在の写真展の大判写真は、プロッタプリンタを使っているので、基本的には、インクジェットになっていると思います。

取り合えず、紙への印刷は除外すれば、全データは8EVで、ダイナミックレンジは8EV以内、JpegやRAW現像で演算するときの桁落ちを防ぐために、画像データは、RGBたは、Labの32ビットの浮動小数点データであるというあたりが、最大公約数と思います。

Gimpの場合、内部表現が32ビットの浮動小数点になったのは、2.8.10からで、それまでは、編集を繰り返すと画像劣化が起こりました。

実は、最大公約の前提であれば、RAWデータは、ベースカーブで一旦RGBに変化し、その時に32ビットの浮動小数点にすれば問題がないように思われます。あるいは、Lab色空間であれば、RGBをLabに変換して、32ビットの浮動小数点にすれば問題がないように思われます。

これは、ほとんどのRAW現像ソフトの公式見解です。

しかし、実際には、ベースカーブ変換を後に回すなどの裏技を使っています。

また、Lab色空間は、7EVを越えると不具合になるとも言われています。

なので、ダイナミックレンジの話を書いてみたいと思います。