初めてのdarktable3.4(3)

表示参照ワークフローの概要(1)

dakrktableでは、ワークフローを選択して編集できますが、その前に、ワークフローの概要を先に説明したいと思います。今回は、歴史的な表示参照ワークフローを説明します。

表示参照ワークフローは、カラーフィルムが普及した1970年頃から、2010年頃まで、カラー写真を撮影するために用いられたワークフローです。ここでは、2000年から2010年頃に主に使われた、デジタルカメラを想定して説明します。

図1を説明します。一番左が実世界で画像のダイナミックレンジは22EVあります。バーは上が明るい部分、下が暗い部分に相当します。これに対して、センサーのダイナミックレンジ(RAWのダイナミックレンジ、赤い四角の左のバー)は8EVです。Jpeg(ディスプレイ、赤い四角の右のバー)のダイナミックレンジも8EVです。RAW現像とは、センサーのRAWデータ(赤い四角の左のバー)を読みこんで、目の反応に合わせて、明るい部分に重みをつけたベースカーブ変換をして、赤い四角の中央のバーのRAWデータをつくります。次に、トーンカーブで微調整をしたのちに、Jpeg(赤い四角の右のバー)データに変換します。

Jpegデータが、真っ白でも、真っ黒でも、何が写っているのかわかりません。つまり、平均的にグレーが入っているJpegデータが情報量の多いJpegになります。カメラで、撮影することは、実世界の22EVから8EVを切り取ることに相当します。この時、22EVの平均の明るさ(グレー)を、Jpegの平均グレーに対応させます。つまり、カメラの露光を変えることは、赤い箱で書いた3つのバーがセットで移動することに相当します。

例えば、図1では、白飛びしますので、ETTR(右側合わせて露出)するには、図1の青い矢印の分だけ、赤い箱を移動させます。こうすると、白飛びが減りますが、実際の画像は明るい部分を取り込んでいるのに暗くなります。

カメラの露光の説明は、基本的には、図1で出来上がっています。トーンカーブが内蔵されているカメラが多いのも、図1を前提としているからです。

 

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図1 一般的な表示参照ワークフロー

 

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図2 ETTR(右側合わせて露出)の露出