夕日の散歩道(乙戸沼公園)~つくば市とその周辺の風景写真案内(168)

写真を撮ることは、光を切り取ることです。それは、当たり前かもしれませんが、実際に、このことに向き合うには、精神的な強さが必要になります。木を写している、水面を写しているという表現は、意味の解釈であって写真ではありません。絵画で言えば、具象を捨てるアプローチに近くなります。もちろん、写真ですから、ひどいピンボケでもない限りは、具象が写っています。しかし、その具象に寄りかからないで、どこまで、写真が撮れるかという視点になります。

話は難しそうですが、行っていることは単純明快です。素材は、毎日の散歩道です。散歩道ですから、桜が咲いているシーズンなら別ですが、通常は写真をとっても、単なる道です。道路工事の竣工写真以外には、恐らくだれも撮影しない素材です。ここで、散歩をしていると、稀ですが、光がはっとするような瞬間があります。それを切り取ろうというわけです。風景写真では、日の出と日没が光が刻々と変わるゴールデンタイムです。今回は、日没前の夕日の時間の写真です。乙戸沼公園で何十枚か撮影して、今回はその中から2枚をえらびました。この選ぶときは、自分の感性だけが頼りになります。ダメなものは消去します。なので、精神が鍛えられます。なお、散歩道の写真を見ても、ランドマークが写っていないので、乙戸沼公園であるとはわからないと思います。

写真1は50mm相当の画角で撮影したものです。これを見て、「夕日が反射してきれいだな」と思ってくれれば、写真としては成功になります。50mm ですと、ベンチが小さく感じられます。ストリートフォトの鉄則は85mmなので、これをトリミングしてみます。

写真2がトリミングした結果です。写真の奥行きがなくなってしまいました。写真1で遠近感を構成していた要素は、右側に並んで立っている木です。左側は、木は少なく、沼との間にある柵が、遠近感を構成しています。これが写真2になると、一番開いていた手前の木の2本が落ちています。また、左の柵も角度が開いていた部分が落ちてしまい、遠近感がなくなってしまったのでした。50mm は万能レンズで、トリミングすれば、85mmに近い表現も可能ですが、それには、撮影時に、トリミングを前提とした構図を考えておく必要があります。

写真3は80mmです。使っているズームレンズでは、望遠を最大にしても80mmにしかなりません。本当は、85mmが良いと思いますが、5mmの差には目をつぶることにします。写真2と比べると、見違えるような遠近感です。ストリートフォトは85㎜が鉄則は正しいと思います。ただし、右にある電灯が邪魔です。しかも、この電灯は傾いています。写真が傾いているのかと思い、電灯を直立させたら、木が傾いてしまいました。

写真4は写真3の電灯をレタッチツールで消去したものです。情けないですが、これが、現時点では、乙戸沼公園の夕日の散歩道のベストな写真ということになります。更に精進して、もっと、ましな写真が撮れたら、掲載したいと思います。

 

 

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写真1 乙戸沼公園 (50mm)

 

 

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写真2 乙戸沼公園 (50mm->80mm)

 

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写真3 乙戸沼公園(80mm)

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写真4 乙戸沼公園(80mm)