ソリューション・デザイン(29)

(29)Googleの生成AI

 

(Q:Googleも生成AIを出してきました。その影響がわかりますか)

 

1)GoogleMicrosoft

 

Microsoftが後押ししているチャットGPTばかりが注目されていますが、Googleも動き出しています。

 

ポストクラウドの覇権の主戦場が見えてきました。

 

今までは、中国系を除くと次のすみ分けができていました。

 

クラウドサービス、1:アマゾン、2:Microsoft、3:Google

 

ビジネスアプリ、1:Microsoft、2:Google

 

以下、SNSフェイスブック、インスタグラム、ツイッター)、検索(Goolge)、スマホOS(AppleとGoolge)、画像アプリ(アドビ)などもある程度固定化したランキングがここ5から10年続いていました。

 

しかし、クラウドサービスについては、アマゾンに対して、MicrosoftGoogleが、積極的に挑んでいます。

 

チャットGPTは、Microsoftが、Google検索に対して挑戦しています。

 

2)Googleの対応

 

Googleは3月21日(現地時間)、同社が研究開発を進めている対話型生成AI「Bard」の試験提供を一般に拡大すると発表しました。US英語をサポート言語に米国と英国で申し込みの受け付けを開始、段階的に対象を拡大し、時間をかけて他の国や言語にも拡大していく計画です。

 

生成AIが主戦場になっています。



  米Google(グーグル)は2023年3月14日(米国時間)、テキストや画像、音声、動画などを生成するAI(人工知能)のクラウドサービスをGoogle Cloudに追加すると発表しました。巨大言語モデルPaLM」の機能を提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)などのほか、GmailやDocsなどのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)にも生成AI機能を追加します。

 

 巨大言語モデルPaLMニューラルネットワークの規模は最大5400億パラメーターで、米GPT-3の1750億パラメーターを上回っています。

 

実は、Googleは、2022年2月15日から。Google Workspaceユーザーと、G Suite Basic、G Suite Businessのユーザーを対象に、要約などの新機能を提供しています。

 

Google Workspaceは、Googleの有料サービスで、最も売れているBusiness Standardは、月額1,360円です。

 

フリーのGoogleドキュメントでは、要約などの新機能は使えません。

 

ツイッターフェイスブック、インスタグラムはサブスクリプションサービスを始めました。

 

有料化に向かっています。



Googleの発表は以下です。

 

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PaLM API & MakerSuite: 生成AI アプリケーションを探索してプロトタイプを作成する親しみやすい方法

 

モバイルからクラウド コンピューティングに至るまで、非常に多くのテクノロジとプラットフォームの変化が、開発者のエコシステム全体に刺激を与え、新しいビジネスを開始し、新しい製品を想像し、開発方法を変革してきました。私たちは、あらゆる業界に大きな影響を与える AI による別の変化の真っ只中にいます。

 

AI を試している開発者向けに、 PaLM APIを導入します。これは、最高の言語モデルの上に構築するための簡単で安全な方法です。現在、サイズと機能の点で効率的なモデルを利用できるようにしており、他のサイズも近日中に追加する予定です。この API には、 MakerSuiteと呼ばれる直感的なツールも付属しています。これにより、アイデアのプロトタイプをすばやく作成でき、時間の経過とともに、迅速なエンジニアリング、合成データの生成、およびカスタム モデルの調整のための機能が提供されます。これらはすべて、堅牢な安全ツールによってサポートされています。一部の開発者は、今日からプライベート プレビューで PaLM API と MakerSuite にアクセスできます。

 

生成AI 機能を Google Cloud にもたらす

 

生成AI を使用して独自のモデルやアプリを構築およびカスタマイズしたいデベロッパーは、PaLMを含む Google の AI モデルに Google Cloud でアクセスできます。開発者や組織がエンタープライズ レベルの安全性、セキュリティ、プライバシーにアクセスし、既存のクラウド ソリューションと統合できるように、新しい生成AI 機能を Google Cloud AI ポートフォリオに導入します。

 

  • Vertex AI での Generative AI のサポート:開発者と企業は、すでに Google Cloud の Vertex AI プラットフォームを使用して、機械学習モデルと AI アプリケーションを大規模に構築およびデプロイしています。現在、最初はテキストと画像を生成するための基盤モデルを提供しており、徐々にオーディオとビデオを生成しています。Google Cloud のお客様は、モデルの発見、プロンプトの作成と変更、独自のデータによる微調整、これらの強力な新技術を使用するアプリケーションのデプロイを行うことができます。
  • Generative AI App Builder:企業や政府は、AI を利用した独自のチャット インターフェイスやデジタル アシスタントの構築も望んでいます。これを実現するために、Generative AI App Builder を導入します。これは、会話型 AI フローをすぐに使用できる検索エクスペリエンスと基盤モデルに接続し、企業が生成 AI アプリケーションを数分または数時間で構築できるようにします。
  • 新しい AI パートナーシップとプログラム:新しい Google Cloud AI プロダクトの発表に加えて、Google は最もオープンなクラウド プロバイダーになることにも取り組んでいます。私たちはAI エコシステムと、テクノロジ パートナー、AI に焦点を当てたソフトウェア プロバイダー、および新興企業向けの専門プログラムを拡大しています。

 

今日から、信頼できるテスターは Generative AI のサポートと Generative AI App Builder を使用して Vertex AI にアクセスできます。

 

Workspace の生成AI の新機能

 

Gmail で Smart Compose を使用している場合でも、Google ドキュメントで自動生成された要約を使用している場合でも、30 億人を超える人々がすでに Google Workspace の AI を活用した機能の恩恵を受けています。今、私たちは次のステップに進み、限られた一連の信頼できるテスターに​​、作成プロセスをさらに簡単にする新しい機能セットを提供できることを嬉しく思います。GmailGoogle ドキュメントでは、書きたいトピックを入力するだけで、すぐに下書きが生成されます。そのため、新入社員のオンボーディングを行うマネージャーは、Workspace を使用すると、最初のウェルカム メールを作成する時間と労力を節約できます。そこから、数回クリックするだけで、メッセージを詳しく説明したり、省略したり、トーンをより遊び心のある、またはプロフェッショナルなものに調整したりできます。今後数週間のうちに、これらの新しいエクスペリエンスをテスターに​​展開する予定です。

 

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3)Microsoftの対応



ソースコードの掲載サイトのGitHubMicrosoftは、GitHub Copilotを試験運用しています。GitHub Copilotは、GitHubとOpenAIが共同で開発(OpenAI Codexを利用)したAI駆動のコード補完ツールです。Copilotは、OpenAIのGPT-3.5 Turboを利用しています。



3月16日に、MIcrosoftは次世代 AI の力を仕事の世界に適用する、仕事の副操縦士Microsoft 365 Copilot」を発表しました。Microsoft 365 Copilot は、大規模言語モデル (LLM) のパワーと、Microsoft Graph や Microsoft 365 アプリ内のデータを組み合わせ、あなたの言葉を地球上で最も強力な生産性向上ツールに変えるといいます。

 

Microsoftの説明は以下です。

 

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Copilot は、2 つの方法で Microsoft 365 に統合されています。Word、ExcelPowerPointOutlook、Teams といった、日々利用いただいている Microsoft 365 アプリケーションに組み込まれて、常にあなたのそばで働き、創造性を発揮し、生産性を高め、スキルアップできるようにしてくれます。併せて、まったく新しい体験である Business Chat も発表します。Business Chat は、LLM、Microsoft 365 アプリ、そしてユーザーのデータ (カレンダー、メール、チャット、ドキュメント、ミーティング、連絡先) を横断して機能し、これまでできなかったことを実現します。「製品戦略をどのように更新したか、私のチームに教えてください」 (“Tell my team how we updated the product strategy”) といった自然言語のプロンプト (prompt、指示) を入力すると、午前中の会議、メール、チャットのスレッドに基づいて、ステータスアップデートが生成されます。

Microsoft 365 Copilot は、3 つの方法で仕事を変革します。

創造性を解き放つ: Copilot in Word を使えば、クリエイティブなプロセスを直ちに始められます。これからは白紙の状態から始める必要はありません。Copilot が最初のドラフトを提供し、それを編集して、繰り返し改良することで、執筆、情報収集、編集に要する時間を短縮できます。Copilot は正しい情報を提供することも、有益ではあるものの間違いを含んだ情報を提供することもありますが、常にユーザーの仕事を先へと進めてくれるでしょう。ユーザーには常に著者としてのコントロール権があり、Copilot に短縮、リライト、フィードバックを行うよう指示しながら、ご自身の独自アイデアを執筆できます。Copilot in PowerPoint は、過去に作成したスライドから関連するコンテンツを追加し、簡単なプロンプトだけで、美しいプレゼンテーションを作成できるよう支援してくれます。また、Copilot in Excel を使えば、トレンドを分析し、プロフェッショナルなデータビジュアライゼーションを数秒で作成できます。

生産性の最大化: 私たちは皆、本当に重要な 20% の仕事に集中したいのに、80% の時間をやっかいな作業で浪費しています。Copilot がこの負担を軽減します。長いメールのスレッドを要約したり、返信メールのドラフトを素早く作成したりと、Copilot in Outlook は受信トレイの整理を数時間ではなく数分で完了できるよう支援します。そして、Copilot in Teams は、すべての会議を生産的な会議にします。誰が何を言ったか、どこで意見が一致し、どこで意見が対立しているかなど、重要な論点をまとめ、アクションアイテムを提案してくれます。これらはすべて会議中にリアルタイムで実行されます。また、Copilot in Power Platform を使えば、誰でも繰り返し作業を自動化し、チャットボットを作成し、数分でアイデアをアプリ化できるようになります。

スキルの向上: Copilot は、得意なことをより得意にし、まだ習得していないことをすぐにマスターできるようにしてくれます。ユーザーの多くは、Microsoft 365 にある数千のコマンドの中から、「スライドのアニメーション」や「表の挿入」など、ほんの一握りのコマンドしか使っていません。今や、豊富な機能を、自然言語だけで活用できるようになりました。そして、これは始まりに過ぎません。

 

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4)これから何が起こるのか(A:Googleの生成AIの影響)

 

筆者は、次のように考えます。

 

(1)アプリの品質は生成AIが決定する。

 

アプリが使えるか否かは、生成AIの性能できまってしまいます。

 

(1A)業界の再編は起こるはずです。

 

AmazonAppleの対応が注目されます。

 

生成AIの性能が良ければ、時間の節約になりますので、無償サービスから、有償サービスへのシフトが起こると予想されます。

 

(1B)スーパーマンが出現する

 

Microsoftは、Copilotは、生産性を最大化するといいます。

 

これには、注意が必要です。

 

Google検索で、必要な内容に到達するには、適切なキーワードを選ぶ必要があります。

 

生成AIでは、不正確なキーワードでも検索が可能です。とはいえ、生成AIの性能を最大限に引き出すには、適切な質問(キーワード)が必要です。

 

つまり、生成AIが出てきて、誰でも、生産性を最大化する訳ではありません。

 

適切な質問(キーワード)が選べる人は劇的な生産性の向上ができ、生産性を最大化できるスーパーマンになれます。

 

生成AIに、不得意な質問をして、不正確な答えが出て来ると問題にしている人がいます。

 

しかし、生成AIも所詮は、道具ですから、得意とする分野で使えば良い訳です。

 

一番得意な分野はパターンマッチングですから、それがしやすい質問や依頼をすれば、大きく間違えることはありません。

 

これは、筆者の推測ですが、恐らく、現時点では、生成AIを使って、生成AIの開発を進めることが部分的には可能になっていると思われます。GitHub Copilotはその一例です。

(2)高度人材の行方

 

日本には、生成AIの開発競争ができる企業はありません。つまり、高度人材に対して、高い給与を払える仕事をオファーできる企業はありません。

 

ということは、人材の流出は止まらないということです。

 

春闘が一巡しましたが、春闘は、高度人材の流出を促進する効果しかありません。



(3)テック業界以外の再編が進む

 

生成AIで問題解決ができる応用分野は数多くあります。

 

そこで、業界再編が進むと思われます。

 

(4)言語の比重が下がる

 

注意すべきは、生成AIは言語モデルであるという点です。

 

数値を扱うモデルであれば、はるかに、効率よく、正確に問題解決ができます。

 

言語にかかわる部分は、今まで、合理化が難しかったのですが、生成AIが風穴をあけてしまいました。

 

生成AIが陳腐になるころには、非言語の問題処理のウェイトがあがると考えます。



引用文献

 

The next generation of AI for developers and Google Workspace 2023/03/14 

https://blog.google/technology/ai/ai-developers-google-cloud-workspace/

 

Introducing Microsoft 365 Copilot – your copilot for work 2023/03/16

https://blogs.microsoft.com/blog/2023/03/16/introducing-microsoft-365-copilot-your-copilot-for-work/

 

Microsoft 365 Copilot を発表 – 仕事の副操縦士 2023/03/17

https://news.microsoft.com/ja-jp/2023/03/17/230317-introducing-microsoft-365-copilot-your-copilot-for-work/