5)積極財政の効果
<
片山さつき財務相は16日、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」について、「日本の供給構造を強化して所得を増やし、消費マインドを改善する好循環を実現する」と説明しています。
>
<<
「積極財政」国民の信問いたい 片山財務相、記者会見で強調 2026/01/16 KYODO
https://news.yahoo.co.jp/articles/39884f2bf7f4db7618a7238cb7ce65f097d02229
>>
積極財政の効果を前回作成した因果モデル(C1)で、Geminiに検討してもらった結果は、以下です。
ーーーーーーーーー
- 積極財政を組み込んだ因果モデル(C1ベース)
積極財政(政府支出 $G$)を投入した際の、C1環境下での波及経路は以下のようになります。
推定される3つの「漏出(リーク)」
積極財政によって国が資金を投じても、C1の構造が以下のような「抵抗」として働きます。
① 消費税による「需要の打ち消し」効果
政府が公共投資や補助金で市場に資金を流しても、国民がそれを使って消費しようとするたびに消費税(罰則)が課されます。
- メカニズム: G (政府支出)により一部の所得が増えても、Tax (消費税)がその購買力を吸収するため、乗数効果(1円の投資が何円の成長を生むか)が著しく低下します。
② 労働市場の二重構造による「賃金上昇の分断」
片山財務相の言う「所得を増やす」という目標に対し、日本の労働市場(L)がボトルネックとなります。
- メカニズム: 非正規雇用が約4割を占める現状では、企業に補助金が流れても、それは「内部留保」や「配当」に回りやすく、非正規労働者の賃金には波及しにくい構造があります。ジョブ型のような「労働力の価格競争」がないため、人手不足であっても低賃金で据え置かれる「市場の失敗」が継続します。
③ 供給強化と需要不足のミスマッチ
「供給構造を強化」しても、それを買う側の国民に余力がなければ、供給過剰によるデフレ圧力が再燃します。
- ケースC1における「積極財政」のシミュレーション結果
現在の構造(C1)を維持したまま積極財政を行った場合の比較表です。
|
項目 |
期待される効果(政府説明) |
因果モデルによる推定結果 |
理由 |
|
所得の増加 |
幅広い国民の所得増 |
一部(大企業・正社員)に限定 |
非正規雇用の賃金硬直性が解消されないため。 |
|
消費マインド |
景気浮揚感による改善 |
低迷が継続 |
消費税負担と社会保険料の増額懸念が将来不安を煽るため。 |
|
経済成長(Y) |
持続的なプラス成長 |
一時的な微増にとどまる |
財政支出が消費税として政府に回収される「循環の遮断」が起こるため。 |
- 山本太郎代表の批判との整合性
山本代表の「自分たちの利害関係にしか金を回さない」という発言は、このDAGモデルでいうところの「政府支出(G)が、労働市場(L)の壁によって家計消費(C)に届かず、企業セクター(M)の内部留保として滞留している」状態を指していると解釈できます。
自民党が今回「消費税の2年間停止」を公約に入れたのは、まさにこの「C1モデルのままでは積極財政の効果が出ない(消費税がダムのようにせき止めている)」という事実に直面したからだと言えるでしょう。
結論
C1(現状)のままでは、積極財政は「穴の空いたバケツに水を注ぐ」ような状態になりがちです。 効果を最大化(C2やC4へ移行)させるには、「消費税という消費への罰則を取り除く(税制の反事実)」か、「所得が直接消費に回るような労働市場の是正(労働の反事実)」のいずれか、あるいは両方が不可欠であると推測されます。
6)ここまでの整理
要点を整理すると次になります。
・現状では、財政破綻を防ぐメカニズムは存在しない。
・金利政策は、事実上制御不可能なレベルに達している。
・財務省は、財政破綻を防ぐメカニズムが必要であると考えていない。
・DAGが正しければ、積極財政では、景気が回復して、賃金があがることはない。
・つまり、積極財政は、財政破綻を回避するルートにはならない。
注意:
読者は、照合の二段推論(照合→演繹)で、この整理を読んではいけません。
解答(正解)を探す読書をしてはいけません。
DAGは、基本的には、使い捨てのモデルです。
新規の情報が追加されれば、DAGを改訂すべきです。
読者は、因果関係を因果AIに提示して、因果AIに、DAGを作ってもらって、自分の満足のできる推定結果を得るべきです。
筆者は、ここで見落とした交絡因子を追加すれば、当然、異なった結果が得られます。