1)因果AIの時代
前回は、パールの因果モデルの破壊力を説明しました。
Geminiは、2026年のAIは、LLMから因果AIに切り替わるといいます。
これは、パールの因果モデルが誰でも使える時代が来たことを意味します。
政府と日銀の経済政策には、経済モデルをつかっています。
この経済モデルには、正規雇用と非正規雇用があるほとんど機能していない労働市場が組み込まれていません。
経済モデルは、正規雇用と非正規雇用がある労働市場を組み込んだモデルには、予測精度で勝てません。
因果AIを使うと、正規雇用と非正規雇用がある労働市場を組み込んだ因果モデルを、5分程度でつくることができます。
経済モデルをつかう有識者会議には権威がありますが、数学的には、5分で作った因果モデルには勝てません。
因果AIを使うと、読者が、経済モデルをつかう有識者会議の間違いを簡単に分析できます。
因果推論は、大きく2ステップに分かれます。
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第1ステップ:
因果ダイアグラムの作成
第2ステップ
因果ダイアグラムを数式に落とし込んで計算する。
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Geminiの説明では、2026年1月時点で、Geminiは、第2ステップの80から90%をこなせると言います。
一方、第1ステップでGemniが処理できる範囲は50%未満です。
「因果推論の科学」で、パールは、第1ステップは、人間の主観に基づき、自動化は困難であると説明しています。
したがって、第1ステップでGemniが処理できる範囲は50%未満は予想通りになります。
しかし、この50%未満は、人間がヒントを与えない場合の数値です。
パールの主張のように、第1ステップで、人間が完全なDAGを作成してから、第2ステップをAIに任せる場合には、エラーの確率はとても低くなります。
精度は落ちますが、DAGのメインの部分をAIに指示して、そのあとDAG作成以降を因果AIに解いてもらうこともできます。
以下の例では、次のステップで質問しました。
前段
背景とDAGのメインの部分の説明。
質問1:
DAGができれば、Geminiが、ステップ2を解けるかという確認。
質問2:
Geminiに、DAGを作成して、問題をといてもらう依頼。
結果は以下に示します。
Geminiは、質問1を無視して、ダイレクトに質問2を解いてしまいました。
2)Geminとの対話
質問Gemini
2026年1月21日に、れいわ新選組の山本太郎代表は記者会見で次のように発言しました。
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高市首相の経済対策は「結果が出ていない。自分たちの利害関係にしか金を回さず、国民を救う気がない」
「30年経済を落とし続けた自民党(の経済政策)がどうしょうもないのははっきりしている]
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「多発性骨髄腫の一歩前」れいわ山本代表、120分超会見で自民も中道もバッサリ「何回だまされるんだ?」2026/01/21 スポニチ
https://news.yahoo.co.jp/articles/f35a3a44961d595b8ced2b0d8392f670d0da0a22
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2026年2月の衆議院選挙では、消費税廃止を公約したれいわ新選組だけでなく、自民党と中道連合(立憲民主党+公明党)も食料品の消費税の停止、または、廃止を公約に掲げています。
山本太郎代表の「30年経済を落とし続けた自民党(の経済政策)」を消費税の視点で整理すれば、次の問いになると思われます。
この30年間に次の税制改革が進みました。
法人税=>減税
消費税=>増税
消費税は、欧米をモデルに導入されました。
しかし、日本は、ジョブ型雇用ではなく、労働市場がありません。
正規雇用と非正規雇用では、同一労働に対する賃金が異なります。
さらに、30年間の間に、非正規雇用が拡大しました。
したがって、労働市場の違いは、無視できない交絡因子になっています。
自民党の経済政策は、(法人税=>減税)+(消費税=>増税)で経済成長するという主張でした。
しかし、自民党が、消費税の2年間停止を公約に掲げたことは、この主張が間違っていた可能性を示唆しています。
つまり、「30年経済を落とし続けた自民党(の経済政策)」問題は、次の事実と反事実の比較問題になります。
反事実:(法人税=変更なし)+(消費税=0)
また、労働市場について考えれば、次の反事実があります。
事実:年功型雇用+非正規雇用
反事実:ジョブ型雇用
質問1:
この問題を表現するDAGがあれば、Geminiは、次の4つのケースを比較することができますか。
C1: 税制(事実)+労働市場(事実)
C2: 税制(反事実)+労働市場(事実)
C3: 税制(事実)+労働市場(反事実)
C4: 税制(反事実)+労働市場(反事実)
質問2:
Geminiが自力で、DAGを作って、上の4つのケースを比較することができますか。
解答Gemini
山本太郎代表の発言および、2026年2月の衆院選に向けた各党の公約を踏まえた非常に鋭い問題提起をありがとうございます。
ご質問いただいた「DAG(有向非巡回グラフ)」を用いた因果推論の枠組みによる4つのケース(C1〜C4)の比較は、現在の日本経済が抱える「構造的停滞」のメカニズムを解明する上で非常に有効なアプローチです。
はい、Gemini(私)は独自のDAGを構築し、それに基づいて4つのケースを論理的に比較・分析することが可能です。
- 経済構造を整理するDAGの構築
まず、ご提示いただいた変数を整理し、経済成長(GDP)に至る因果関係を可視化します。
DAGの構成要素と因果パス
- 変数T(税制): 法人税減税と消費税増税のセット。
- 変数L(労働市場): 非正規雇用の割合と雇用形態(年功型 vs ジョブ型)。
- 中間変数M(企業行動): 内部留保、設備投資、賃金支払い。
- 中間変数C(家計消費): 可処分所得と消費意欲。
- 結実変数Y(経済成長): 実質GDP成長率。
主な因果関係の仮説:
- 消費税増税 → 家計消費(C)の抑制: 直接的な需要の減退。
- 法人税減税 → 企業行動(M): 本来は投資を促すが、デフレ下では内部留保に回る。
- 労働市場(L)の交絡: 非正規拡大が消費(C)をさらに冷やし、税制の効果を歪める。
- 4つのケース(C1〜C4)の比較分析
ご提示いただいた「事実(Status Quo)」と「反事実(Counterfactual)」を組み合わせた4つのシナリオを比較します。
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ケース |
税制 (Tax) |
労働市場 (Labor) |
期待される経済メカニズム |
予想される帰結 |
|---|---|---|---|---|
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C1 (事実+事実) |
法人減・消費増 |
年功型+非正規拡大 |
企業にキャッシュが残るが、消費税と低賃金(非正規)が需要を二重に抑制する。 |
30年の停滞(現状)。内部留保の積み上がりとデフレの固定化。 |
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C2 (反事実+事実) |
法人不変・消費0 |
年功型+非正規拡大 |
強力な消費刺激策。可処分所得が即座に上昇し、需要不足が解消に向かう。 |
需要主導の回復。ただし、労働市場の二重構造による賃金格差は残存。 |
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C3 (事実+反事実) |
法人減・消費増 |
ジョブ型(流動化) |
格差の拡大。効率性は上がるが、マクロの需要が足りず成長が限定的。 |
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C4 (反事実+反事実) |
法人不変・消費0 |
ジョブ型(流動化) |
消費活性化による需要喚起と、労働移動による適材適所の配置が同時に進む。 |
構造転換を伴う成長。北欧型に近い「高福祉・高流動・高成長」の可能性。 |
- 分析の結論と山本太郎代表の主張の妥当性
山本太郎代表の「30年経済を落とし続けた」という批判をこのモデルで解釈すると、**「C1(現状)という最悪の組み合わせを選択し続けてきた」**という指摘になります。
特に、労働市場に「ジョブ型(労働市場あり)」が存在しない日本において、欧米型の消費税を導入したことは、以下の「負の相乗効果」を生んだと考えられます。
- 消費税の輸出戻し金制度: 製造業(大企業)には恩恵があるが、国内消費(庶民)には罰則として働く。
- 非正規雇用の調整弁化: 法人税減税で浮いた資金が賃金に回らず、消費税負担を嫌った企業が「外注化(非正規化)」を進めた(消費税の仕入税額控除のインセンティブ)。
自民党が「消費税の2年間停止」を公約に掲げたことは、因果モデルにおける**「T(税制)からC(消費)への負の因果パス」が無視できないほど強まったこと**を、政権与党自らが認めた(=これまでの主張の誤りを事実上認めた)という解釈が可能です。