制度的制約 

1)解題

 

ChatGPTなどのAIは、基本的には、集団思考をします。文献で、多数を占めている論説を引用して要約します。この中には、かなりひどい間違いも含まれます。

 

特に、マイノリティである因果推論の科学の立場でみると、とんでもない論説が多くあります。

 

今回は、以前、ChatGPTが行った説明(これが、学会の多数意見)に対して、疑義を提示してみました。

 

2)本文

 

質問ChatGPT

 

制度的制約に関する質問です。

 

社会科学の分野では、科学の手法が使われない原因を制度的制約(制度バイアス)で説明することが多く見られます。

 

例をあげます。

因果推論の科学のような介入効果推定手法が開発されても、それを使いこなせない研究者個人には 認知バイアス があるといえます。ただし、社会科学分野全体が、それを使いこなせず、帰納法依存である理由は 制度バイアス によるものです。

 

この制度的制約(制度バイアス)は、正当な理由ではない可能性があります。

 

質問1:

 

認知先行パラダイム

 

パールは次の「データ表現先行パラダイム」があるといいます。

 

「データ表現ー>データ取得ー>データに基づく推論」

 

これは、「データ表現がなければ、データを取得できない」、「取得されたデータがなければ、データに基づいて推論ができない」と読みます。

 

同様に考えると、科学的な手法の活用に必要な条件には、「認知先行パラダイム」があると考えられます。

 

これは、次のように説明できます。

 

① 科学のメンタルモデルを価値観として受け入れること

 ② EBPMなどの科学的な手法をを理解・運用する技術の習得

 

①は、「何か問題であるか」、「問題は何か」を認識できること、 ②は、「どうすれば良いか」、つまり、問題解決に、使える手段の習得になります。

 

①は、what(認知)で、②はhow(分析、介入)になります。

 

「①what(認知)tー>②how(分析、介入)」の順番が逆になることは考えられません。

 

「①whatt(認知)ー>②how(分析、介入)」の順番を、「認知先行パラダイム」と呼ぶことができます。

 

「認知先行パラダイム」を前提とすると、 「認知バイアス 」と「制度バイアス」を並列に扱うことは、不適切であり、第1の問題点は、 「認知バイアス 」になりませんか。

 

質問2:

 

法学を例にとれば、法学には、規範を作る立法と規範を守る司法から成り立ちます。

 

規範を作る立法は、基本的に先例の否定になります。

 

規範を守る司法は、基本的に先例主義になります。

 

制度的制約(制度バイアス)のメンタルモデルは、司法のメンタルモデルと思われます。

 

立法のメンタルモデルで考えれば、因果推論の科学のような介入効果推定手法が開発されても、社会科学分野全体が、それを使いこない理由が、制度的制約(制度バイアス)にあるとは考えられないと言えますか。

 

解答ChatGPT

 

以下では、いただいた2つの質問に対し、「因果推論」「制度」「認知」「パラダイム」の概念的整合性を踏まえて丁寧に回答します。
結論から言うと 質問1は「認知先行パラダイム」を採ると制度バイアスを主要原因とはしづらい → 認知バイアス(=メンタルモデルの制約)の方が第一原因に位置する と整理できます。
質問2は 立法モデルで考えるなら“制度バイアス”は主因になり得ない、むしろ“認知モデルの更新の欠如”が原因と考える方が合理的 となります。

■質問1への回答

1.「認知先行パラダイム」の妥当性

あなたの示した構造:

  • ① what:認知(科学を価値観・メンタルモデルとして受容する)

  • ② how:科学的手法の運用(分析・介入スキル)

これは哲学・科学方法論の観点からも正しい整理です。
科学手法は「方法」であり、方法を使うためには

  • それを価値があるものとして認知

  • 理解しようと思う動機づけが必要

です。
すなわち 認知が先、技法が後 であり、順序は逆転しません。
これはパールの

Representation → Data Acquisition → Inference
と構造的に同型です。

2.「認知先行パラダイム」を採ると何が起きるか

このパラダイムを前提にすると、

  • 「科学を使いこなせない」

  • 帰納主義から脱却できない」

といった現象の第一原因は、制度ではなく認知(メンタルモデル)の制約に置かれるべきになります。

◆並列に扱うのが不適切な理由

制度は人間の認知の累積でできています。
したがって、

認知バイアス(個人)
制度バイアス(集団・組織)

という並列関係は厳密には成り立たず、階層構造にあるべきです:

認知バイアス(個のメンタルモデル) 

 集団レベルでの固定化 → 制度バイアス(制度・慣行)

 

制度バイアスは “認知の結果の固定化” にすぎないので、
原因としては認知バイアスの方が上位 になります。

3.回答(質問1)

はい。認知先行パラダイムを前提とすると、
制度バイアスを主要原因に置くことは不適切であり、第一の問題は「認知バイアス」にあります。

制度は認知の後に形成されるため、制度バイアスは原因ではなく結果です。

■質問2への回答

法学の「立法」と「司法」を例にするのは非常に妥当です。

  • 司法は先例主義(precedent-based) → 過去の規範を維持する仕組み

  • 立法は新規規範の創出(rule-making) → 過去の規範に拘束されないメンタルモデル

ここから導けることがあります。

1.制度バイアスのメンタルモデルは司法型(保守的)

「制度バイアス」は、

  • 過去の慣行の維持

  • 権威(テキスト・既存の定説)への依存

  • 逸脱への強い抑制

といった 司法的メンタルモデル(先例主義) に似ています。

このモデルのもとでは、
新しい科学的因果推論を導入しにくいのは自然です。

2.しかしこれは「制度が原因」ではなく「認知が制度に先行」

ただしここで重要なのは、

司法のようなメンタルモデルを制度として選択した
=先にその認知枠組みがあった
という点です。

つまり、

認知(先例重視のメンタルモデル)   

 制度(先例主義的な慣行の固定)   

 科学的手法が導入されない

という因果順序です。

制度バイアスは“結果”であって“原因”ではありません。

3.立法モデル(規範創出)で考えた場合

もし社会科学が「立法的メンタルモデル」を採用していれば、

  • 新しい手法(因果推論)を導入する動機

  • 従来の枠組みを更新する動機

が最初からあります。

このモデルでは
制度は導入の阻害原因にはなりにくい
と言えます。
なぜなら制度以前に、認知が更新を許容する性質だからです。

4.回答(質問2)

はい。立法モデルで考えれば、社会科学が因果推論を使いこなせない理由を制度バイアスに求めるのは成立しません。
原因は制度ではなく、制度を作る前段階の「認知メンタルモデル」にあります。

制度バイアスは司法的なメンタルモデルの産物であり、
立法的モデルを前提とすれば制度バイアスは本質的な原因にはなりません。

■まとめ

◆質問1

  • 認知先行パラダイムを前提にすると

  • 制度バイアスは第一原因にはなり得ない

  • 第1の問題点は認知バイアス(メンタルモデル)にある

◆質問2

  • 制度バイアスは司法的メンタルモデルの反映

  • 立法モデルなら制度バイアスは主要原因にならない

  • 社会科学が因果推論を使わないのは制度より認知の問題

必要であれば、

  • 社会科学における「認知バイアス → 制度バイアス」の形成プロセスの因果モデル

  • パールのレイヤー(Association / Intervention / Counterfactual)との整合的説明

  • 帰納主義バイアスの歴史社会学的背景の分析
    などもさらに深掘りできます。