7)ダリオ分布へのパラダイムシフト
レイ・ダリオ氏は、2025年11月10日(月曜日)にリヤドで開催されたフォーチュン・グローバル・フォーラムで、ダリオ分布が広まりつつあると主張しました。
このことから、現在は、パレート分布とダリオ分布が混在している状態であり、今後、パレート分布がダリオ分布に置き換わっていくと理解できます。
AIが、現在のジョブに与える影響を分析したレポートが複数でています。
これらのレポートは、パレート分布を前提としています。
パレート分布は、2:6:2あるいは、3:4:3のような対称分布です。
これは、パレート分布は、正規分布と親和性が高いことを示しています。
現在のジョブに与える影響を分析したレポートは、労働の分布の変更を前提としていません。
つまり、今後、パレート分布がダリオ分布に置き換わっていくというパラダイムシフトを前提として考えれば、現在のジョブに与える影響を分析したレポートの予測は、実現しない可能性が高いと言えます。
それでは、パレート分布がダリオ分布に置き換わっていくというパラダイムシフトは、起きているのでしょうか。
2025年11月10日に、ダリオ氏は、AIを開発する企業では、パラダイムシフトが起きていると主張しています。
S&P500では、株価の評価額の大半をGARAMなどのAI関連企業が占めています。
この状況を、パレート分布のパラダイムでみれば、S&P500の評価は、あまりに、AI関連企業に偏っていて、そのうち、この構造は破綻する可能性が高いという判断になります。
この状況を、パレート分布がダリオ分布に置き換わっていくというパラダイムシフトであると理解すれば、AI関連企業に偏っていているこの構造は破綻する可能性は低いという判断になります。
この判断は、ダリオ分布に基づいているので、個別の企業についての判断ではありません。Nvideaのように、GAFAMに含まれなかった企業が急成長する可能性はあります。ただし、分布構造は、パレート分布にも戻らないという判断になります。
ダリオ分布では、GAFAMの中の企業が、1:9:60:30の1の部分をとり損ねて、脱落する可能性があります。
経済ミサイルの開発におくれたAI関連企業は、ドロップアウトすると思われます。
GAFAMは、このことが理解できているので、AI開発に、異常なまでの投資を集中していると考えることができます。
GAFAMとOpenAIやNvideaのようなAI周辺企業との間では、株式の持ち合いが拡大しています。これは、第1レベルが、「内容非公開、存在非公開、非市場ベル(技術の囲い込み、または、随意契約)」であることを考えれば、理解可能な活動になります。
8)未来の理解
英語版ウィキペディアの未来学(Futures_studies)には、次のように書かれています。
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未来学(Futures studies)(この分野の多くの専門家は口語的に「未来(futures)」と呼びます)は、何が継続する可能性があり、何が変化する可能性があるかを理解しようとします。したがって、この学問分野の一部は、過去と現在を体系的かつパターンに基づいて理解し、将来の出来事や動向の可能性を探ろうとしています。
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つまり、未来予測の基本は、継続する可能性、トレンド予測になり、構造が変化する可能性がある場合には、トレンド予測は使えませんので、その判定をする手順になります。
これは、構造が変化する可能性がある場合には、帰納法による法則性の探索は無駄になることを意味します。
構造が変化する結果、将来にどのような構造変化が起きるかの判断は、主観になります。
トレンド予測は、一見すると客観的であり、将来の構造を主観的に判断する予測は、科学的でないと考える人も多くいますが、これは、科学に関する認知バイアスによる間違いです。将来の構造に関する科学は、主観に基づきます。
今後も、パレート分布が続くか、それとも、パレート分布がダリオ分布に置き換わっていくというパラダイムシフトが起きるかという判断は、主観に基づきます。時間がたてば、どちらの予測があたったかを検証することは可能です。しかし、その検証は、将来のパラダイムシフトが起きるか否かという判断の根拠にはなりません。
2025年に入って、株価は大きく上昇しています。この上昇は、バブルであり近い将来に構造変化がおきるという人も、バブルではなく構造変化がおきないという人もいます。2025年11月までに、構造変化が起きなかったことは、今後の構造変化が起きない(バブル崩壊がない)と考える根拠にはなりません。ダリオ分布への構造変化にも、同じ問題の構造があります。
バブル崩壊のように、過去に、構造変化が起きた場合のデータがあれば、構造変化を予測することは可能です。ルイスの転換点は、そのようなモデルのひとつです。
しかし、パレート分布がダリオ分布に置き換わっていくというパラダイムシフトについては、過去のデータがないので、未来の予測は、パラダイムシフトが起きるか、起きないかという主観的な判断だけに基づくことになります。
9)学歴の崩壊
パレート分布がダリオ分布に置き換わっていくというパラダイムシフトがおきるという前提にたてば、今後の予想される社会変化が想定できます。
加谷珪一氏は、次のように予測しています。
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最先端を行くアメリカの大手企業では、既に大量の人員整理が始まっており、ホワイトカラー層の労働者は、極めて高いスキルや実績がないと採用されにくい環境となりつつある。こうした事態を受けて、一部の若者は大学や大学院に進学するのではなく、職業訓練学校を目指し始めているという。
アメリカほどドラスティックではないものの、日本でも起きている現象は同じであり、ホワイトカラー層が大量に余剰となる可能性はそれなりに高い。保守的な高市政権が本格的に外国人労働者の流入を制限するような措置を取った場合、ブルーカラーを雇用する業界が極度の人手不足に陥るのは間違いないだろう。
多くの労働者が望む形なのかは分からないが、日本国内において、ホワイトカラー層からブルーカラー層への大量の雇用シフトが起こらない限り、経済の目詰まりが激しくなり、成長の阻害要因となり得る。
加えて高市政権は積極財政を掲げており、当該政策が実現した場合、インフレがさらに激しくなる可能性が高い。そうなると賃金が上がりにくい一般的なホワイトカラー層の生活はますます苦しくなり、逆にブルーカラー層の生活水準は相対的に向上する。近い将来、国内の労働市場の風景は一変することになるかもしれない。
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AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択 2025/11/20 Newsweek 加谷珪一
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2025/11/post-349.php
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舞田敏彦氏は、次のようにいいます。
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3つの大まかな職業グループ(農林漁業と分類不能の職業は除く)を設定し、求人数と求職数を対比すると、ホワイトカラーは需要より供給が多い(供給過多)。特別な資格は要らない事務職の希望者が多いためだろう。
グレーカラーは、求人数に対して求職数がかなり少ない。サービス職や保安職などだが、介護や保安員といった職への需要が増えつつも、待遇の悪さからこれらの職を忌避する人が多いためと思われる。ブルーカラーも同じく供給過少だ。
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つまり、加谷珪一氏は、今後、日本でもアメリカのように、ホワイトカラー層の労働者は、極めて高いスキルや実績がないと採用されにくい環境になるだろうと予測していますが、舞田敏彦氏のデータは、既に、ホワイトカラー層の労働者は、採用されにくい環境にあるといいます。
もちろん、2025年の日本では、ダリオ分布は、まだ、実現していませんので、このホワイトカラー層の労働者は、採用されにくい環境は序の口に過ぎません。
舞田敏彦氏は、更に、次のようにいいます。
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中学、高校、大学という3つの学校から送り出された新卒の就職者は、1960年では136万人、2024年では60万人。
若き新卒労働力の組成図だが、高度経済成長期の頃は半分が中卒だったが、現在では8割が大卒、6割(大卒の72.4%)が文系の大卒で占められている。文系大卒の大半は、事務職をはじめとしたホワイトカラー職志望者だ。社会が求めるのはグレーカラー・ブルーカラー、学校教育で量産されるのはホワイトカラー希望者。こうした現実があるのは確かだ。
これではいけないと、高校の専門学科、大学の理系専攻の拡充を求める声が強い。だが、「すぐ役に立つ教育は、すぐに役立たなくなる」という言い回しもある。技術革新のスピードが加速し、社会の職業需要も変わり得る。介護や建設の担い手が足りないからといって、高校の福祉科や工業科を増設しても、5年後・10年後には無駄な投資となっているかもしれない。教育は、社会で求められる人材を輩出する機能を期待されるが、それも程度の問題であって、その時々の職業需要に振り回される(従属する)ことがあってはならない。
子ども期の教育は、汎用性と専門性のバランスに留意すべきであり、成人期以降のリスキリング(学び直し)の機会を拡充したほうがいいだろう。全国各地に立地している、専修・各種学校や短大の出番でもある。
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ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化させる 2025/11/19 Newsweeek 舞田敏彦
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2025/11/579145.php
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舞田敏彦氏のデータは、比率なので、人口に換算すると次になります。
大卒文系 大卒理系 高卒普通科 高卒専科 中卒
1960年 7.3万人 2.7万人 26.9万人 31.3万人 68.6万人
2024年 33.8万人 12.9万人 4.3万人 8.7万人 —-
比率 4.6倍 4.8倍 0.16倍 0.28倍 —--
2024年の高卒の割合は、高卒普通科が7.2%、高卒専門科が14.6%で合計21.8%です。
ダリオ分布(1:9:60:30)を考えます。仮に、大卒が、「1:9:60」に対応していると考えると、生き残るのは、1:9の部分になり、比率は、14.2%になります。つまり、大学の85%は淘汰のリスクにあうことになります。
舞田敏彦氏が主張するように、今後どのような専門スキルが必要になるかを予測することは困難です。ただし、AIに仕事をさせる上では、コンテキスト依存性の少ない数的言語が使えることが必須になります。一方、従来日常言語は、まともなパラグラフ表現ができれば、それで十分と思われます。
舞田敏彦氏は専門スキルを、専修・各種学校や短大に期待していますが、筆者は、大学院レベルでないと無理であると思います。
集団思考のための学校教育はなくなると考えます。