ダリオ分布(1:9:60:30)(3)

5)ブラックショールズ方程式

1990年代に、ブラックショールズ方程式が出現しました。ブラックショールズ方程式が理解できれば、トレーダーは利益をあげることができると主張されました。

この主張は正しいでしょうか。

現在、筆者は、この主張は、半分間違いであると考えています。

理由は、簡単です。

ブラックショールズ方程式は、多くのトレーダーが、ブラックショールズ方程式を使うようになった時点で、効果がなくなります。

その理由は、多くのトレーダーが、ブラックショールズ方程式を使うようになると、ランダム性の仮定が成り立たなくなるからです。

つまり、ブラックショールズ方程式が公開された時点では、既に、ブラックショールズ方程式の有効性が減少していたと考えられます。

筆者は、役に立たなくなったので、ブラックショールズ方程式が公開されたと考えています。

現在の株式市場は、もはや、ランダムではありません。

ランダムではありませんが、現在の株式市場も特定の分布をしている可能性があります。

つまり、現在の株式市場に対して、ブラックショールズ方程式に変わるような方程式がある可能性が考えられます。

もちろん、ランダムではないので、モデルの適合度は、ケースバイケースで、分布が、いつも上手くあてはまることはないでしょう。それでも、トレーダ―の主観に基づく判断よりましな場合が多いと思います。

例えば、20年前ならともかく、現在のバークシャーハサウェイには、優秀なアナリストがいて、ブラックショールズ方程式のようなツールを持っていると考えることは自然です。バフェットフェット氏は、投資戦略は自分で考えると思いますが、ツールとアナリストのチェックを受けていると考えられます。バフェット氏が、経営哲学だけで投資しているとは、考えられません。

さて、AIの性能があがり、AIが、ブラックショールズ方程式に変わるようなツール(方程式)を探索できる可能性が高まっています。

ブラックショールズ方程式と同様に、これらのツールは、役に立たなくなったことが分かるまでは、公開されないと考えられます。

6)非公開レベルのAI機能

戦闘の優劣を決める大きな要因は、ミサイルとドローンの成功率です。

ミサイルとドローンの成功率が低い国は、ミサイルとドローンの成功率が高い国に、戦争で勝つことは困難です。

ミサイルとドローンの誘導システムは、軍事機密で、公開されることはありません。

同様に考えると、AIの技術には、次の3つのレベルがあると考えられます。

第1レベル:内容非公開、存在非公開、非市場ベル(技術の囲い込み、または、随意契約

第2レベル:内容非公開、存在公開、市場レベル(AIの有償サービス)

第3レベル:内容公開、存在公開

2025年現在、投資家が、AI投資が回収できるという議論が盛んに行われています。

この場合の議論の対象は、第2レベルです。

一方、GAFAMは、第2のレベルだけだなく、第1のレベルも考慮している可能性が高いです。

第1のレベルは、存在非公開なので、直接的な推論の対象にはできません。

しかし、推論をするヒント(メタ情報)はあります。

ChatGPT3の時代に、ChatGPT4(ChatGPT+1)の存在が完全に公開されていた訳ではありません。

情報は、後継のよりバージョンアップしたソフトウェアを開発中に止まっていました。

同様に、考えれば、現在のChatGPTより上位のChatGPT+1を考えることができます。

そして、ChatGPT+1には、第1レベルの機能があると考えることは、不合理ではありません。

6)経済ミサイル

トランプ大統領は、外交では、非常に複雑な関税政策を使っています。

この複雑な関税経済外交政策には、どれほどの有効性があるか不明です。

あまりに、効果が見えないので、トランプ大統領は、TACOと呼ばれています。

トランプ大統領は、ディールが好きなので、個人的に、複雑な関税経済外交政策を楽しんでいるのかも知れません。しかし、インフレがとまらず、賃金が上がらないので、ここのところ、共和党の選挙の結果は、よくありません。

このままいくと、2026年の中間選挙で、共和党が勝てないという予測も出ています。

トランプ大統領の複雑な関税経済外交政策には、理論的に破綻していると主張している人もいます。その主張の正否は、脇に置いて、トランプ大統領の複雑な関税経済外交政策は、インフレを止めて、賃金を上げて、2026年の中間選挙で、共和党が勝利することを目指していると考えられます。

つまり、インフレを止めて、賃金を上げて、2026年の中間選挙で、共和党が勝利することが可能な外交政策がわかれば、トランプ大統領の複雑な関税経済外交政策を切り替える可能性が高いです。

AIの開発プロジェクトには、デジタルツインがあります。

デジタルツインとは、リアルワールドのツイン(双子)をバーチャル空間につくるプロジェクトです。実際の政策を実施する前に、デジタルツインを操作することで、政策効果を事前に検証することができます。これは、反事実を検証する装置になります。

経済・外交政策のデジタルツインがあれば、トランプ大統領は、インフレを止めて、賃金を上げて、2026年の中間選挙で、共和党が勝利することが可能な外交政策を検討することが可能になります。

2025年11月時点で、トランプ大統領が複雑な関税経済外交政策を繰り返していることは、現時点では、そのようなデジタルツインが存在しないことを示しています。

ここで、反事実思考をします。

かりに、近い将来に、シンギュラリティに達して、経済・外交政策のデジタルツインが開発された場合に、何が起きるかを考えます。

アメリカとヨーロッパは、ウクライナ・ロシア戦争で、ロシアに経済封鎖をしています。

つまり、経済封鎖は、ミサイルとドローンの代替政策です。これをメンタルモデルになりやすい表現をすれば、「経済封は、経済ミサイルとドローン」になります。ウクライナ戦争では、ドローンが戦争の中心にありますが、イメージしやすいのは、ミサイルなので、「経済封は、経済ミサイル」と表現します。

この表現を使えば、「トランプ大統領の複雑な関税経済外交政策は、経済ミサイル」という表現も可能になります。

ただし、「経済封は、経済ミサイル」と「トランプ大統領の複雑な関税経済外交政策は、経済ミサイル」という表現には、あまり価値がありません。その理由は、この2つの政策は、期待されたほどの効果をあげていないからです。

しかし、経済・外交政策のデジタルツインが開発された場合には、状況は一変します。

経済・外交政策のデジタルツインは、経済ミサイルそのものであると理解することも可能です。

つまり、経済ミサイルとして利用可能な「効果的な経済・外交政策のデジタルツイン」が開発された場合には、「効果的な経済・外交政策のデジタルツイン」は、第1レベル(内容非公開、存在非公開、非市場ベル)になると考えられます。

この考察は、国家レベルでした。

同様の経済ミサイルは、企業レベルでも考えられます。経済ミサイル(経営ミサイル、経営政策のデジタルツイン)を持っている企業は、持っていない企業に比べて、圧倒的な競争優位に立ちます。

経済ミサイルは、第1レベル(内容非公開、存在非公開、非市場ベル)になるので、経済ミサイルに法的な規制が及ぶことはありません。

シンギュラリティに達して、経済のデジタルツイン(経済ミサイル)が開発された場合には、世界は、ダリオ分布に突入します。

法的な規制で、経済ミサイルの開発を阻止することはできません。

これは、良し悪しの問題ではなく、シンギュラリティに達すれば、ダリオ分布を前提とした政策・経営戦略を考えざるを得ないというパラダイム変更問題です。