3)ダリオ氏の発言
3年前から、生成AIの爆発的な進歩が始まりました。
ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者であるレイ・ダリオ氏は、2025年11月10日(月曜日)にリヤドで開催されたフォーチュン・グローバル・フォーラムで、次のように言っています。
<
米国経済はもはや『全体』として見ることはできず、社会的・経済的階層の格差によって特徴づけられるようになっている。
人工知能(AI)を例にとれば、この産業は約300万人、すなわち人口の1%によって主導されており、さらに「世界全体が依存している」もう一つの「5~10%」によって支えられている。
人口の下位60%が、教育格差の拡大により『ほとんど役に立たない、あるいは非生産的』になりつつある。
これが、「極端な依存状態」を招いている。
>
<<
レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産する1%、依存する60% 2025/11/08 Newsweek ヒュー・キャメロン
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2025/11/577980.php
>>
ダリオ氏の発現は、パレート分布のように考えると1:9:60の分布があるという主張になります。
これを足しても70にしかなりません。
残りの30%ですが、ここでは、人工知能(AI)の影響を直接的に受けない部分と考えます。
残りの30%は、資産があって働く必要のない人、あるいは、体が悪くて働けない人などを指していると考えます。
ダリオ分布を、パレート分布と同じように表せば、1:9:60:30になります。
30は大きすぎる気もしますが、パレート分布の20%が拡大したと考えれば、不可能な数字ではないと思います。
これをパレート分布との対応で考えれば、次になります。
パレート分布 ダリオ分布
20% 1%
60% 9%
20% 60%+30%
パレ―ト分布の2:6:2は、ほぼ、日常言語を書く能力と読む能力のスキルに対応しています。
表1 パレート分布と日常言語能力
能力 比率
ーーーーーーーーーーー
高い書く能力 20%
ーーーーーーーーーーー
低い書く能力
高い読む能力 60%
ーーーーーーーーーーーー
低い読む能力 20%
ーーーーーーーーーーーーー
ダリオ分布の1:9:60:30は、数的言語を書く能力と読む能力のスキルに対応しています。
現在の生成AIは、問題を数的言語で与えれば、高い精度で、プログラム言語に実装できます。つまり、数的言語の能力があれば、プログラム言語の能力が高くなくとも問題はありません。
表2 ダリオ分布と数的言語能力
能力 比率
ーーーーーーーーーーー
高い書く能力 1%
ーーーーーーーーーーー
低い書く能力
高い読む能力 9%
ーーーーーーーーーーー
低い読む能力 60%
ーーーーーーーーーーー
カテゴリー外 30%
ーーーーーーーーーーー
4)コンテキスト依存問題
AIの開発では、長い間、コンテキスト依存問題が、大きな課題であると考えられていました。
しかし、筆者は、9月から、本格的にAIを使ってみて、コンテキスト依存問題は、重要ではないと考えるようになりました。
その理由を説明します。
例をあげます。英語の文章では、同じ単語を繰り返すことを避けます。
同じ単語や同じ文章校正を単純に繰り返すことは、単語力や文章表現能力が低い、つまり、教養がないとみなされます。なので、同じ内容を異なった単語や表現で繰り返すことが基本になります。
AIは、こうした文章を読んで、異なった単語がコンテキストの中で、同じ意味に使われていることを判断します。
最近のAIは進歩したので、人間とほぼ同じレベルで、異なった単語がコンテキストの中で、同じ意味に使われていることを判断できます。
しかし、コンテキスト依存性を判断する方法で、100%の正解には達しません。
逆に、コンテキスト依存性の低い文章、つまり、数的表現で、問題を設定すれば、AIは、ほとんど間違えることはありません。
AIが人間と同じようなことができるという意味では、コンテキストによって、単語の意味の変化を正しく推定できることは、素晴らしい成果です。
しかし、AIの利用目的は、問題を解くことにあります。
AIの計算機資源をコンテキストの判定に使うことは、合理的ではありません。
ダリオ分布で考えます。
上位1%は、AIの開発者です。このグループの仕事には、コンテキスト依存性はありません。このグループは、問題を数的言語で表現して、AIを開発しています。
上位9%は、AIの効率的な利用者です。このグループは、数的言語で書かれた問題を読むことができます。簡単な問題であれば、数的言語で書くことができます。このグループには、コンテキスト依存性のある仕事をしている人と、コンテキスト依存性のない仕事をしている人がいます。問題を解く効率は、コンテキスト依存性のない仕事が、コンテキスト依存性のある仕事に優ります。つまり、コンテキスト依存性のある仕事は、コンテキスト依存性のない仕事に淘汰されていく可能性が高いです。
上位60%は、コンテキスト依存性のある仕事をしています。このグループは、日常言語は理解できますが、プログラム言語と数的言語は理解できません。このグループが、AIを利用するためには、コンテキストを理解してくれるAIが欠かせません。
ダリオ分布で考えれば、上位60%の仕事は、AIにとって代わられ、時間の問題でなくなります。つまり、コンテキスト依存で、仕事としてコンピュータを使う人はいなくなります。
もちろん、これは、仕事で、AIを使う場合であり、日常生活では、コンテキスト依存のAIの利用は重要です。しかし、生産性が問題になる仕事では、コンテキスト依存性の高いAIの利用はなくなるはずです。
例をあげます。
自動車には、市民が使う市販車と、レーサーが使うレーシングカー(特注車)があります。
レーシングカーは、メンテナンスにコストがかかり、操作はデリケートです。しかし、市販車では、レースに勝つことはできません。
ChatGPTとGeminiを使ってみると、Geminiは、市販車のように、無難な解答をします。ChatGPTは、時には、レーシングカーのように危ない解答を返します。これから、Geminiの方が、解答が無難になるように、強いフィルターをかけていると思われます。
筆者は、AIが、間違った回答をするか否かより、AIがどうして、その回答を返したかを理解できることを優先しています。AIが、マッチングした論文を要約している場合と、独自に推論している場合があります。前者の場合には、AIの解答の正しさは、引用した論文に依存しています。Geminiのように強いフィルターをかけると、その判定が難しくなります。なので、フィルターは利用の邪魔になります。
質問は、できるだけ数的言語をつかうか、数的言語に容易に変換できる日常言語表現をつかいます。こうすると、AIを使う生産性が向上します。このためにも、フィルターは邪魔になります。