ルーカス批判と「因果推論の科学」(8)

13)観察モデルと介入モデルの違いのメンタルモデル(前半)

 

ここでは、観察モデルと介入モデルの違いのメンタルモデルで理解する、つまり、直観的に理解して、腑に落ちない状態の脱却を目指します。

 

自由水面のある流体の保存と運動は、Saint-Venant方程式(浅水流方程式)という偏微分方程式で表せます。

 

文系的なメンタルモデルに配慮すれば、Saint-Venant方程式は、データ表現です。

 

データ表現(Association)の理解:

 

データ表現と方程式の関係をメンタルモデルで理解します。

 

ツルカメ算と2変数の連立方程式は、同じ問題を扱っています。

 

ツル(x)、カメ(y)との変数を設定しても、これだけでは、問題の設定にはなりません。

 

ツルとカメの関係を記述する必要があります。

 

2変数の連立方程式は、次の形をしています。これが、データ表現になります。

 

a * x + b * y = e

 

c  * x + d * t = f

 

データ表現ができれば、(a,b,c,d,e,f)のデータ取得(Intervention)をします。

 

データ表現とデータ取得が出来れば、データに基づく推論をします。

 

ツルカメ算では、データ表現のコンテキスト依存性が高くなります。

 

2変数の連立方程式であれば、ツルとカメの脚の数を平均体重に置き換えても、簡単に問題を解くことができます。

 

ツルとカメ算でも、平均体重問題を解くことは可能ですが、理解は困難になります。

 

自然科学では、数的言語で、データ表現ができれば、問題の共有化が可能になり、学問が進みます。

 

この点で、数的言語で、データ表現が出来た時点で、「問い」は設定できたと考えられます。

 

逆に言えば、数的言語で、データ表現が出来ていない問題は、「問い」になっていないので、検討が不可能です。

この場合、検討が困難という表現も考えられますが、「問い」になっていない問題を複数の人が検討した場合、異なった問題を検討している可能性が高くなります。なおかつ、データ表現がない場合には、どこに違いがあるかを比較できないので、不可能と表現することが妥当です。

 

注)数的言語で、データ表現が出来て「問い」が設定でき、データ取得ができれば、解が求まる問題であれば、ほとんどの場合、AIが問題を解いてくれます。この場合には、コンテキスト依存性がほとんどないので、AIの解答がエラーになる確率はとても低いです。これは、過去3年間に起きた劇的な変化です。