12)観察モデルと介入モデル
前回、次のように書きました。
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相関モデル(観察データに基づくモデル)では、介入効果の推定はできません。
観察モデルは、介入モデル(介入データに基づくモデル)の代用にはなりません。
しかし、日本語の教科書で、このことを明示するようになったのは、2020年以降のようです。
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この観察モデルと介入モデルの違い、あるいは、観察データと介入データを別の側面から考えます。
パールは、「スイッチを入れると明かりがつく」という例題をあげています。
これは、スイッチの状態変化に関するデータはすべて介入データになることを示しています。
スイッチがONの状態、スイッチがOFFの状態は観察データですが、スイッチ切り替えのデータはすべて介入データになります。
2025年に、日本では、クマの被害のデータが問題になっています。
クマの被害対策の代表は、クマ鈴とクマスプレーです。
クマスプレーの効果には、エビデンスがありますが、クマ鈴の効果にはエビデンスはありません。
クマスプレーの使用は、クマの行動に対する介入になります。
つまり、クマスプレーの使用データは、すべて介入データになり、観察データはありません。
一方、クマ鈴の使用は、クマの行動に対する介入になる場合とならない場合があります。
これは、クマ鈴がクマと離れていたり、クマ鈴を十分に振らない(鳴らさない)場合には、介入が起こるとは考えられないためです。
つまり、エビデンスで検証するためには、クマ鈴のデータのうち、介入があったものを選別する必要があります。
クマ鈴は、音がする装置で、類似のものは、天然にもあります。
たとえば、犬が吠えることでも、類似の効果があるかも知れません。
一方、クマスプレーには、類似のものは天然にはありません。
つまり、「介入データ <ー> 人工物」という対応が考えられます。
人類は、洞窟に住んでいたかも知れませんが、建築は、人工物です。
自然に介入して、自然を壊さないと建築は作れません。
建築のような人工物は、自然にはないので、その形状は主観になります。
介入は、反事実を扱います。反事実とは、現状に介入して、現状を変えることになります。
現状が自然であれば、自然に介入して人工物を作ることになります。
こう考えると次のような対応が考えられます。
観察データ <-> 自然(現状維持、事実) <-> 客観 <-> 観察モデル
介入データ <-> 人工(現状破壊、反事実)<-> 主観 <-> 介入モデル
パールは、因果モデルの構造は、主観であるといいます。
因果モデルは、人工(現状破壊、反事実)を扱います。これは、反事実を扱うので、観察データからは求められません。
この推論は、おおざっぱなので、もう少し、詰める必要があります。
現在のアイデアは、スイッチ、クマスプレーといった人工物の周辺には、介入データがあるのではないかという感触です。
この方法は、前向き研究ではないので、サンプリングバイアスを排除することはできません。
ただし、介入試験が困難な場合には、参考になると思います。