1)背景
ウクライナの「スパイダー・ウェブ作戦」では、ArduPilotとRaspberry PiといったFreewareの技術が活躍しています。
Freewareの技術は使い物になるのかCopilotと議論してみました。
なお、筆者は、以前に、Copilotと制度設計とEBPMについて議論したことがあるので、Copilotは、しつこく、制度設計とEBPMの話をしますが、その点はご容赦ください。
2)全文
質問
ウクライナの「スパイダー・ウェブ作戦」では、飛行制御は、ArduPilotを使って行われました。ArduPilotは、Arduino(アルデュイーノ)の派生プロジェクトであり、Freewareです。ドローンの自動制御は、Raspberry Piを使ったともいわれています。
シンガポールの「Locker Alliance」は、こうしたFreewareの技術と関連がありますか。
解答(Copilot)
興味深い視点ですね。ウクライナの「スパイダー・ウェブ作戦」で使われたようなArduPilotやRaspberry Piを活用したFreewareベースの技術は、軍事・民間問わず多様な分野で応用されています。ただし、**シンガポールの「Locker Alliance」**とは性質がかなり異なります。
🧠「Locker Alliance」とFreeware技術の関連性
Locker Allianceは、シンガポール政府が推進する都市物流の効率化プロジェクトで、主に以下の目的で設計されています:
- 配送業者が共通のロッカーを使って荷物を預けることで、再配達を減らす
- 消費者が好きな時間にロッカーから荷物を受け取れる
- 都市全体の物流コストと環境負荷を削減
このプロジェクトは、IoT(Internet of Things)やクラウドベースの管理システムを活用していますが、現時点での情報では、ArduPilotやRaspberry PiのようなFreewareベースの制御技術が直接使われているという証拠は見つかっていません。
技術的な違いと可能性
|
項目 |
スパイダー・ウェブ作戦(ウクライナ) |
Locker Alliance(シンガポール) |
|---|---|---|
|
主目的 |
ドローンによる偵察・攻撃 |
都市物流の効率化 |
|
技術基盤 |
ArduPilot + Raspberry Pi(Freeware) |
IoTロッカー + クラウド管理(商用技術中心) |
|
制御方式 |
自律飛行・遠隔操作 |
|
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オープンソース利用 |
高い(軍事的工夫) |
限定的(商用セキュリティ重視) |
🔍 ただし、技術的な接点はゼロではない
- Raspberry PiやArduinoは、プロトタイピングや小規模なIoTシステムではよく使われます。
- シンガポールのスタートアップや研究機関が、ロッカーのセンサー制御や通信モジュールにFreeware技術を使っている可能性はあります。
- ただし、Locker Allianceの中核は政府主導の商用インフラであり、セキュリティや信頼性の観点から、オープンソース技術は補助的な役割にとどまっていると考えられます。
もし、こうしたFreeware技術が都市インフラや物流政策にどう応用されうるかを制度設計の観点から分析されたいのであれば、技術的中立性・コスト構造・セキュリティリスクなどを軸に比較するのが有効です。たとえば、オープンソース技術の導入が中小企業の参入障壁を下げるか、あるいは国家主導のインフラにおける技術選定の透明性など、制度的な問いに展開できます。
もっと掘り下げてみましょうか?
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質問
Locker Allianceのプロトタイプにオープンソース技術を使っている可能性はあるが、Locker Allianceのソースコードは非公開なので、確認ができないと理解してよいでしょうか。
解答
はい、この理解は非常に的確です。以下のように整理できます:
✅ 結論:Locker Allianceのソースコードは非公開
- Locker Allianceは、シンガポール政府(IMDA)が主導する商用インフラプロジェクトであり、都市物流の効率化とラストマイル配送の最適化を目的としています。
- 現時点で、Locker Allianceの中核システム(インターフェース、API、制御ロジックなど)のソースコードは公開されていません。GitHubなどのオープンソースプラットフォーム上にも、公式のコードリポジトリは確認されていません。
🔍 ただし、プロトタイプ段階でのオープンソース技術の利用可能性はある
- 一部の大学研究機関やスタートアップが、RFID制御やロッカー機構のプロトタイプにArduinoやRaspberry Piを使った事例を公開しています。
- これらはLocker Allianceとは直接関係のない独立プロジェクトですが、技術的な類似性は見られます(例:RFIDアクセス、ステッピングモーターによるロッカー回転など)。
🧭 この制度分析視点での補足
- ソースコードの非公開性は、政策評価における技術的透明性の限界を示す好例です。
- オープンソース技術の採用が制度的中立性や中小企業の参入促進にどう寄与するかを評価するには、プロトタイプ段階の技術選定と本番環境での切り替えプロセスを追跡する必要があります。
- さらに、政府主導のスマートインフラにおける技術選定基準の公開性も、EBPMの観点から重要な評価軸となります。
必要であれば、Locker Allianceの制度設計と技術選定プロセスを、北欧やOECD諸国のスマート物流政策と比較する表も作成できます。続きを掘り下げましょうか?
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質問
日本では、マイナンバーカードのシステムの採択は、全く、ブラックボックスです。
このような方法ではなく、プロトタイプ段階の技術選定では、オープンソースを採用している国もありますか。
解答
おっしゃる通り、日本のマイナンバーカード関連システムの技術選定や運用は、外部からは見えにくい「ブラックボックス」的な側面があります。特にプロトタイプ段階での技術評価や選定過程が公開されていないため、制度設計の透明性や技術的妥当性に疑問を持つ専門家も少なくありません。
一方で、オープンソース技術を積極的に採用し、透明性を確保している国々も存在します。以下に代表的な事例をいくつかご紹介します。
🌍 オープンソースを活用した国の事例
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国名 |
マイナンバー制度の特徴 |
オープンソース活用例 |
技術選定の透明性 |
|---|---|---|---|
|
🇪🇪 エストニア |
eIDカードによる電子政府 |
X-Road(政府間データ交換基盤)をオープンソース化 |
GitHubでコード公開、国民・技術者が監査可能 |
|
🇺🇸 米国(州レベル) |
社会保障番号(SSN)中心、州ごとに異なる |
技術選定プロセスを公開、公募型プロトタイプ |
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🇩🇰 デンマーク |
NemID → MitIDへ移行中 |
デジタルID基盤の一部をオープンソースで開発 |
民間との協働開発、仕様書・API公開 |
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🇮🇳 インド |
Aadhaar(生体認証付きID) |
技術仕様・APIが公開されており、開発者が利用可能 |
🔍 エストニアのX-Road:透明性の象徴
- エストニア政府は、国民IDや医療・税務情報を連携するX-Roadという基盤を開発し、オープンソースとしてGitHubで公開しています。
- 技術選定は国民や技術者がレビュー可能で、セキュリティや互換性の議論も活発です。
- これにより、制度の信頼性と技術的妥当性が担保され、国民の納得感も高い。
🇯🇵 日本との比較と課題
日本では、マイナンバー関連技術(JPKI、MKPFなど)は特許取得や民間委託が中心で、技術仕様の公開やOSS化は限定的です。一部企業(例:ポケットサイン社)は、マイナンバーカードのICチップ読取技術を無償開放する方針を打ち出していますが、これは例外的な動きです。
💡 関心に沿った論点
もしご興味あれば、エストニアのX-Roadのアーキテクチャを因果モデルで再構成し、日本のMKPFとの比較分析もできます。制度設計の透明性と技術選定の因果構造を明示することで、より科学的な政策評価が可能になります。
続けて、どの国の制度を深掘りしましょうか?それとも、日本の制度を再設計するならどんな技術選定プロセスが望ましいか、モデル化してみましょうか。
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質問
日本でも、X-Roadを一部修正して、採用すれば、納税の完全自動化ができて利便性があがったはずです。
日本政府は、どうして、コストのかからない、オープンソースを使わずに、バグの多い独自システムをつかったのでしょうか。理由がわかりますか。
解答
このご指摘は、まさに制度設計と技術選定の透明性に対する根源的な問いですね。日本政府がオープンソース(OSS)を採用せず、独自システムに依存してきた背景には、複数の構造的・制度的な要因が絡んでいます。以下に、主な理由を整理してみます。
🧩 なぜ日本政府はOSSを採用しなかったのか:構造的要因
|
要因 |
内容 |
出典・補足 |
|---|---|---|
|
ベンダーロックイン構造 |
官公庁の情報システムは、長年特定ベンダーに依存しており、既存コードや仕様の把握がベンダーに集中 |
調達時に他社参入が困難。著作権がベンダーに帰属するケースも多い |
|
技術的主権の誤解 |
OSSを「無料の道具」と誤認し、国家的戦略としての位置づけが未整備 |
|
|
官庁内の技術知見不足 |
OSSを活用・保守する能力が行政側に不足しており、民間委託に依存 |
|
|
調達制度の硬直性 |
公募・競争入札よりも、既存ベンダーとの再契約が慣習化 |
|
|
政治的リスク回避 |
トラブル時の責任所在が曖昧になることを恐れる傾向あり |
📉 結果としての問題点
- バグの多発:マイナポータルや保険証連携での誤表示・誤交付など、設計・運用ミスが頻発
- 納税自動化の遅れ:X-Roadのような分散型・疎結合型の設計が採用されていれば、納税・年金・医療情報の自動連携が可能だったはず
- 国民の信頼低下:制度の不透明性と技術的トラブルが重なり、信頼回復が困難に
💡 この視点に沿った再設計の提案
もし日本がX-RoadのようなOSS基盤を採用していたなら、以下のような制度設計が可能だったと考えられます:
- 因果モデルで設計された情報連携基盤:納税・年金・医療・教育の各制度を疎結合で連携
- API公開による民間イノベーション促進:FinTechやGovTech企業が納税支援アプリを開発可能
- OSSコミュニティとの協働開発:透明性と検証可能性を担保し、制度の信頼性向上
以前構築された「制度の技術的中立性と因果構造の可視化」という視点は、まさにこの問題に対する処方箋になり得ます。次は、X-Roadのアーキテクチャを因果モデルで再構成し、日本の制度に適用するシミュレーションをしてみましょうか?それとも、OSS採用による費用対効果分析を構造化してみますか。
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質問
「なぜ日本政府はOSSを採用しなかったのか:構造的要因」について、Copilotに、次の提案をして頂きました。
**なぜ日本政府はOSSを採用しなかったのか:構造的要因**
| 要因 | 内容 | 出典・補足 |
| :---- | :---- | :---- |
| **ベンダーロックイン構造** | 官公庁の情報システムは、長年特定ベンダーに依存しており、既存コードや仕様の把握がベンダーに集中 | 調達時に他社参入が困難。著作権がベンダーに帰属するケースも多い |
| **技術的主権の誤解** | OSSを「無料の道具」と誤認し、国家的戦略としての位置づけが未整備 | IPAの2024年レポートでは「OSSは公共財」と再定義すべきと提言 |
| **官庁内の技術知見不足** | OSSを活用・保守する能力が行政側に不足しており、民間委託に依存 | 疎結合設計やAPI連携の設計力が不足しているとの指摘あり |
| **調達制度の硬直性** | 公募・競争入札よりも、既存ベンダーとの再契約が慣習化 | ソースコードの変更履歴すら把握できない自治体も存在 |
| **政治的リスク回避** | OSS採用による責任分界点の不明確さを懸念し、既存の枠組みを優先 | トラブル時の責任所在が曖昧になることを恐れる傾向あり |
構造的要因が生じる主な原因は、何ですか。
解答
構造的要因が生じる主因は、単なる技術選好ではなく、制度・文化・認知の三重の壁にあります。以下に、各要因を生み出す根本的な構造を整理しました。
🧩 構造的要因の根本原因
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原因カテゴリ |
内容 |
関連する構造的要因 |
出典・補足 |
|---|---|---|---|
|
制度的慣行 |
ベンダーロックイン、調達制度の硬直性 |
||
|
技術的主権の誤認 |
技術的主権の誤解、政治的リスク回避 |
||
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行政内の技術力不足 |
OSSの選定・保守・セキュリティ対応を担える人材が不足。民間委託に依存 |
官庁内の技術知見不足 |
IPA調査ではOSPO設置率が7割未満 |
|
責任分界の曖昧さ |
OSSは「誰が責任を持つか」が不明確になりやすく、政治的リスクを避ける傾向 |
政治的リスク回避 |
OSS採用時のトラブル対応体制が未整備 |
|
文化的・認知的バイアス |
技術的主権の誤解、官庁内の技術知見不足 |
OSS活動がキャリア評価に反映されない |
🔍 背後にある制度的・文化的構造
- 発注者側のOSS理解不足:IPA調査では、ユーザー企業の8割以上が「OSS利用ポリシーが存在しない」または「わからない」と回答。
- OSPO(Open Source Program Office)の未整備:OSS戦略を担う部署が存在しない自治体・官庁が多数。
- 欧米とのギャップ:EUではOSSを公共インフラと位置づけ、政府主導で支援。日本は啓発レベルに留まる。
💡まとめ:構造的要因の発生メカニズム
OSS不採用の構造的要因は、以下のような因果連鎖で説明できます:
制度的慣行(長期契約・ベンダー依存)
↓
技術的知見の外部化(民間委託)
↓
OSSの理解不足・誤認
↓
責任回避・政治的リスク懸念
↓
OSS採用の忌避
この構造は、単なる技術選定ではなく、制度設計・人材育成・文化変革の課題として捉える必要があります。
もしこの因果連鎖を数理モデル化したい場合、政策選好関数や技術選定のベイズ更新モデルで表現できます。ご希望があれば、形式化してみましょうか。
3)IPAの2024年レポート
Copilotは、<IPAの2024年レポートでは「OSSは公共財」と再定義すべきと提言>といいます。
出典は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2025年4月25日に発表した「2024年度オープンソース推進レポート」です。
フルタイトルは「2024 年度オープンソース推進レポート 日本におけるオープンソース戦略形成に向けた現状と展望 技術的主権と共創社会を支える公共財としてのオープンソースの可能性」で、以下にあります。
レポートの解説は以下にあります。
OSSは公共財となりうるか? 2025/07/05 IPA 今村 かずき
https://www.ipa.go.jp/digital/kaihatsu/oss/j5u9nn0000001o1o-att/oss-presentation-20250705.pdf
「IPAの2024年レポート」には、海外の活動の紹介も載っています。