2030年問題(8)

1)帰納法の間違い

 

帰納法の問題については、何度も書いています。

 

最近、考える点は、「問い」が設定出来れば、答えは得られるという事実です。

 

因果推論について、説明する人はたいてい、パールの「統計的因果推論」または、「因果推論の科学」を引用しています。

 

しかし、引用している人は、「因果推論の科学」を理解しているとは思えません。

 

パールは、ルービンの潜在的な結果では、因果推論が説明できないといいます。

 

パールは、ルービン流では、ダメで、因果ダイアグラムが必須の場合があると主張しています。

 

一方、パールの本を引用している人は、因果推論には、ルービン流とパール流があると説明しています。そして、どちらでも、大差がないので、ルービン流を説明すると書きます。

 

しかし、パールは、ルービン流でも、パール流でも解ける問題はあるが、パール流でしか解けない問題があるといいます。

 

しかし、この違いを問題にする人はほとんどいません。

 

なぜ、ルービン流とパール流の違いを問題にする人が少ないのでしょうか。

 

この問いは、恐らく「方法的な間違いである帰納法が、なぜ、淘汰されないか」と等価と思われます。

 

因果推論について、説明する人はたいてい、文献を集めてきます。そして、文献の中から、最大公約数を求めようとします。

 

これは、帰納法です。

 

パールは、ルービン流ではだめで、パール流でしか解けない問題があるといいます。

 

つまり、パールのこの主張は、文献の中から、最大公約数を求める帰納法は使えませんといっています。

 

パールは、帰納法でなく、数的言語をつかって問いをたてなさいと主張します。

 

文献を集めても、その文献が数的言語を使っていなければ、その文献はまともに推論できていないはずです。

 

つまり、数的言語で、問いを立てて、使える文献をスクリーニングすることがスタートになります。

 

因果推論の最大の課題は、交絡因子の排除です。

 

文献をつめて、交絡因子を排除する数的言語が使われているかを点検することがスタートになります。

 

政府では、エビデンスに基づいた政策(EMPM)をする計画です。

 

しかし、そのガイドラインには、交絡因子を排除する数的言語が使われていません。

 

政府は、帰納法で、文献を集めてきます。そして、文献の中から、最大公約数を求めれば、エビデンスに基づく政策(EMPM)ができると主張しています。

 

政府のEMPMのガイドラインは、帰納法をという間違った方法で作成されているため、まったく、間違っています。

 

パールは、数的言語がなければ、考えることができないといいます。

 

コンピュータサイエンスの因果推論の基本は、条件付き確率です。これは、必要条件であり、十分条件ではありませんが、条件付き確率の数的言語なしには、スタートに立てません。

 

教育政策に、EMPMを使う場合には、政策効果は、条件付き確率になります。

 

do演算子がないと、交絡因子の排除が難しいです。ここでは、話を簡単にして、交絡因子の影響が補正できたと仮定します。

 

その場合に、教育政策にEMPMを使うことは、教育政策のある場合と、教育政策のない場合の条件付き確率を比較することになります。

 

ところが、文部科学省は、条件付き確率の数的言語をもっていません。

 

政府のEMPMのガイドラインは、数的言語なしにEBPMが理解できるという間違った前提で作成されているため、正しくありません。

 

OECD生徒の学習到達度調査(PISA)は、条件付き確率ではありませんので、政策評価には使えません。条件付き確率の数的言語を持たない文部科学省は、教育政策(カリキュラム等)の評価ができません。

 

試験をすれば、PISAの点数が求められます。しかし、その点数は、教育政策が原因であるとは言えません。また、平均点には、代表性はありません。

 

義務教育の目的は、まともに、働け、まともに、法を守り、政治判断ができる人材を育成することです。

 

計測誤差があり、また、障害を持っている人もいますので、100%の生徒が目標に達することはできませんが、70から80%の生徒が、到達目標に達しなければ、義務教育は崩壊します。

 

おさめた税金から、2万円が給付されたり、高等学校の授業料が無償化された場合、得をしたと感じる場合は、基礎的な数学の加減計算ができないことを意味します。これは、義務教育の失敗です。

 

官僚が条件付き確率の数的言語をもっていれば、七五三問題が放置されることはありません。習得主義でカリキュラムを運営する場合には、条件付き確率の数的言語が必要になります。条件付き確率の数的言語を持たない文部科学省は、履修主義をとっています。この方法では、数的言語が不要です。

 

教育問題を研究した論文は多数ありますが、90%の論文の推論は帰納法です。論文の90%には、条件付き確率が使われていません。条件付き確率が使われてないことから、因果関係が無視されていることがわかります。これでは、永久に、EBPMには達しません。

 

官僚は、条件付き確率の数的言語を持たないので、七五三問題について、問いを立てることができません。

 

確率のない推論は破綻しています。

 

AIのために、データセンターをつくる動きが加速しています。

 

今後も、データセンターが増えるだろうと考えるのは、帰納法であり、トレンド分析です。

 

一方、データセンターには、大きなコストがかかります。

 

AIを効率化すれば、データセンターの建設を減速できます。

 

そう考えれば、誰かが、AIを効率化する技術を開発するだろうと考える方法が、演繹法です。

 

条件付き確率考えれば、コストが大きくなるほど、技術開発がなされる確率が高くなります。

 

これは、正しいか否かではなく、確率の推定問題になっていることに注意してください。

 

Wayne Cole氏は、今回のイラン・イスラエル紛争で、ホルムズ海峡が閉鎖される確率は47%であるといいます。計算根拠はわかりませんが、欧米では、条件付き確率の数的言語は、基本的なリテラシーになっています。