利権と反事実思考

反事実思考の例に、パールは、「あれなければこれなし」という判決の推論をあげています。

 

パールは、媒介と反事実思考は、有益性が高いといいます。

 

そこで、今回は、反事実思考の有益性を考えます。

 

政治家には、利権はつきものです。

 

政治資金規正法違反の国会審議をみていても、本当に白であると推測できそうな国会議員は、例外です。ほとんどの国会議員は、グレーに属しています。

 

国会議員の利権は、キャッシュバックシステムです。

 

票をいれた有権者、寄付をしてくれた有権者補助金でキャッシュバックします。

 

問題は、補助金のキャッシュバックと問題解決は、一致しない点にあります。

 

たとえば、世界中の漁獲量が増えている中で、日本だけが、漁獲量が減少しています。

 

漁獲量が減っては、漁業はできません。

 

人気商品の「サヴァ缶」などを製造する釜石市の「岩手缶詰」がサバの水揚げ量の減少を受け5月末から釜石工場を一時休止する計画です。

 

三陸沿岸のサバの水揚げ量の減少で原料の確保が難しくなったことが原因です。

 

漁獲量が減った原因は、温暖化の影響であるという説明がなされますが、日本以外では、漁獲量が増えているので、この説明は間違いです。

 

そもそも、政府は、漁獲量を回復する政策をしていません。EUでは、漁獲量の回復のために、漁獲制限をかけるだけでなく、塩性湿地の回復、河川の粒上有機物の循環の確保などの環境政策を進めています。河川には、蛇行と氾濫原が必要であることは生態学の常識になっています。これらの政策は、漁業者だけを対象にしていません。つまり、漁業者以外の協力が必須になります。利権を優先した政策を実施すれば、こうした利害関係のことなる分野の協力は得られなくなります。利権を優先した政治は、問題解決への道を封印していると考えることができます。

 

河川には、水質基準といった数値目標があります。しかし、数値目標は、問題解決とは、因果関係がありません。数値目標は問題解決にはつながりません。これは、数値基準には、「問い(目的)」がないことで確認できます。

 

問題を解決するには、「問い」と設計図が必要になります。

 

しかし、利権中心の漁業政策には、「問い」と「設計図」がありません。

 

ここで、反事実思考をしてみます。

 

仮に、漁業政策に利権だけでなく、「問い」と「設計図」があったらどうなっていたでしょうか。

 

「設計図」が、有効に機能すれば、問題は解決されます。漁獲量がもどってきます。漁獲量が戻ってくれば、キャッシュバックの利権の政策は、不必要になります。つまり、利権が消滅してしまいます。

 

精神病の薬の消費が伸びています。製薬会社にとって、一番、利益のでる薬は、薬をやめると症状が悪化するので、薬をのみつつけなければならない薬です。薬を飲んで、病気が完治してしまうと、薬が売れなくなります。このように、効果の大きな薬は、利益を出しにくいのです。

 

東京都議会の自民党都民ファーストの会公明党は5月19日、猛暑対策として「物価高騰の中、都民の負担を低減し、安心してエアコンを長時間利用できる環境をつくる」よう、小池知事に対して水道基本料の無償化を要望しました。

 

東京都は20日、猛暑対策として今夏の4カ月間、都民の水道基本料金を無償化すると発表しました。 関連予算は368億円と見込まれます。

 

これは、利権の政治であり、問題解決ではありません。電気で動くエアコンと水道料金の間には、関係がありません。電気料金が支払えない原因は、低賃金にあります。この問題を解決するには、最低賃金の引き上げをすればよいことになります。それには、財源は不要です。

 

水道は、都民の税金で運用されています。水道基本料金を無償化することは、税負担を増やすことに対応しています。

 

東京都は、税収を減らさない政策を優先しています。4か月間、水道基本料金を無償化したあとで、水道基本料金を有料に戻せば、生活が大変になります。

 

これは、いったん精神病の薬を飲んで、効果があると、薬を中断できなくなるのと同じ構造です。

 

政治家を支援(投票)しなければ、生きていけなくなります。

 

利権の政治は、問題解決をブロックする(失敗が組み込まれている)という仮説は検証されていません。

 

しかし、少子化対策、経済成長、科学技術政策、教育政策、コメを含む農業政策、新産業育成、年金問題などの政府の政策で、明らかに成功したものは、殆どなく、どちらかと言えば、失敗に区分される政策ばかりです。

 

これらの政策には、「問い(目的、評価関数)」と設計図はなく、単純に考えれば、問題解決の設計図がないので、成功すると期待する根拠は皆無です。

 

これだけ、多くの政策が同時に失敗する確率は極めて低いので、「利権の政治は、問題解決をブロックする」という仮説は、妥当であると考えます。

 

更に、反事実思考を進めることもできます。

 

これらの政策のうち、どれか1つが問題解決に成功した場合、利権の政治より、より税負担の小さな問題解決法があることがわかってしまいます。

 

そうすると、やはり、利権の政治が崩壊してしまいます。

 

つまり、利権の政治は、成功は1つも見逃さないで芽をつみます。

 

逆に、いえば1つの成功が、利権の政治の崩壊につながるだろうと予測できます。



反事実思考ができると、今までみえなかったことが、目にはいるようになります。