大阪万博の入場者数(3)

1)博覧会協会の発表

 

博覧会協会によりますと、4月13日の開幕から5月10日までの来場者数について、290万4884人(関係者含む)、一般の来場者数は約242万人であるということです。

 

MBSNEWSは、次のように、伝えています。

博覧会協会の石毛博行事務総長は、2025年5月12日の会見で次のように答えました。

 

  1. 現在の来場者数の状況についてですが、会期中に想定している2820万人の達成については、1日あたり15万人の来場が必要かと思いますが、現状はそれを下回っています。今後の2820万人の達成見通しと、現在の来場数への評価について教えてください。

 

博覧会協会・石毛博行事務総長

「万博は前半は、後半と比べて(来場者が)少ない。万博によって多少の違いはあるが、よく言われるのは前半期の1.5倍が後半期に入ると言われています。そういうことから言っても、今の数字は、愛知万博の時の数字などを見ても、それなりのレベルになっているので、これからゲートの運営の仕方なども、改善を図ってきていますし、これからも改善をしていくつもりですので、もっと高い数字になってくるのではないかと思っています」

 

「で、2820万人というのは、事業を準備していく中で、そういう想定の数字ということで置いているのであるわけでありまして、それを目標になんとかということではないので、そういう数字としてお考えいただければと思っています。万博の目指すところとして、来場された方ができるだけ高い満足度で、万博に参加した方ができるだけ高い満足度で終えていくことも非常に重要な要素であるので、ただ単に数字だけを追求するというものでもないとも考えています」

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【速報】万博から約1か月 来場者が300万人を突破「順調に推移している」一方で「2820万人は想定であり目標ではない」2025/05/12 MBSNEWS

https://news.yahoo.co.jp/articles/47049023ff9710ee629d0a0b46c942975c8e5be1

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2)問題点

 

この報道には、問題がないでしょうか。

 

「現状は、必要な1日あたり15万人の来場を下回っています。今後の見通しと、現在の来場数への評価について教えてください」という質問には、「赤字になって税金の追加投入は、ないですよね」という意味があります。2820万人を切っても、損益分岐点を割らなければかまいません。民間企業であれば、赤字になれば倒産します。この質問は、「倒産することはないですよね。倒産しない見通しがありますよね」という意味でもあります。

 

この質問に対する解答は、「倒産してもかまいません。赤字になって税金の追加投入があってもかまいません」というものです。

 

企業経営者が「倒産してもかまいません。赤字になってかまいません」というのであれば、株価は暴落します。

 

万博が国営万博の場合でも、経済学では、費用対効果は1以上になることを要求します。公共事業を含めても、赤字(費用対効果が1未満)になってもよい事業はありません。

 

この場合の効果には、環境価値など一般に市場で取引されないものも含まれます。

 

そこで、「来場者の満足度」が市場価値であるかが問題になります。

 

ディズニーランドでも、ユニバーサルスタジオでも、入場料は、顧客の満足度を考慮して決めます。顧客の満足度よりも、入場料が割高になれば、入場者数が減ります。

入場料が高くなると、チケット1枚辺りの利益は大きくなりますが、チケットの売り上げ枚数が減るので、利益はへっていまいます。

 

したがって、「1枚当たりの利益 X チケットの販売枚数」が、最大になるように、価格を設定します。

 

価格設定でもうひとつ考慮すべき点は、混雑度です。入場者が多くなりすぎると、待ち時間が長くなり満足度が下がってしまいます。

 

このように、「来場者の満足度」は、市場価値になります。

 

「来場者の満足度」から考えれば、「必要な1日あたり15万人の来場を下回っている」ことは、チケットの価格に比べて、「来場者の満足度」が低いか、混雑度が大きくて、「来場者の満足度」が下がっていると考えられます。

 

つまり、「来場者の満足度」を問題にするのであれば、チケット価格と、混雑度を再評価する必要があります。

 

特に、混雑度は、待たない万博をスローガンにしてきたので、評価と改善が必要な項目になります。

以上の問題は、「1枚当たりの利益 X チケットの販売枚数」のような数学の言語で記述して、解くことができます。

 

数学の言葉がなければ、問題を記述することができないので、問題を解くことができません。

 

「前半期の1.5倍が後半期に入る」、「愛知万博の時の数字」は、前例主義です。

 

交絡因子があれば、前例は成り立ちません。

 

つまり、この発言は、交絡因子を理解していない、統計学の言葉をもっていないことを示しています。

 

数学の言葉を持たなければ、問題を記述できないので、問題を解くことができません。

 

実際に、「ただ単に数字だけを追求するというものでもない」と問題を解くことができないといっています。

 

「前半期の1.5倍が後半期に入る」という前例主義よりも、まず、入場者数をベイズ推定することを優先すべきです。

 

石毛博行事務総長は、9日時点のチケット販売枚数は1138万枚を超えたと発表。前の週から50万枚近く売り上げを伸ばしているほか、来場者数の推移についても「順調だ」と評価しました。

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万博の黒字は“まだ見通せず” 来場者数の推移は『順調』と評価「愛知万博と比べてもそれなりのレベルに」 開幕から1か月 2025/05/13 MBSNEWS

https://news.yahoo.co.jp/articles/04c70cb027a58dd9e9439ec596ef619da051af4d

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「順調だ」という評価には、根拠となるデータがありません。

 

伊東良孝・万博担当大臣は、関係者を入場者にいれるのは水増しであるといっています。

 

伊東良孝・万博担当大臣は4月に「2820万人」という数字について、「関係者を除いた、チケット購入者のみの人数」との見解を示しています。

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【速報】万博開幕から1か月過ぎ…一般来場者は約271万人 開幕日が最多‥1日15万人を超える日は『なし』協会「2820万人は目標ではない」2025/05/14 MBSNEWS

https://news.yahoo.co.jp/articles/d7b5a3c1c93add9e47f4b9d5a533c64e76d345a7

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3)その他の評価

 

朝日新聞は、「大和証券が、万博の一般来場者数を約3193万人とする予想を発表した」といいます。

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開幕1カ月の万博、エコノミストが来場者数「3193万人」と推計 2025/05/12 朝日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/fa7d27816a0c7ebb513ba5aef179d8d03ffbe85d

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しかし、大和証券のHPには、このレポートは公開されていません。

 

Xでは、次のように書いている人がいます。

 

開幕29日間の1日当たり一般入場者数の実績

・平日:  80,302人

・土曜:102,143人

・日祝:  95,552人

このペースを184日間の曜日別に換算すると、一般入場者数は1587万人で目標2820万人の56%に過ぎない。

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https://x.com/4126min/status/1921915074433728740

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最初の1週間のデータを使った筆者の予測は次でした。

1日平均62328人をつかった大阪・関西万博の予想来場者数は1147万人です。2820万人に対する充足率は40.1%です。

これには、関係者が含まれていません。

 

1.19倍して、関係者をまとめると、1365万人(48%)になります。

 

これは、1587万人(56%)より若干小さいですが、差は8%です。

 

ネットを見ると「予約制で10時まで入場予約できないと、入場をやめる入場者10万人リミット問題」があると指摘している人もいます。

 

つまり、入場者が増えない原因は、混雑度の問題であるという指摘です。

 

待たない万博をスローガンしてきたにも関わらず、問題解決ができていないという主張です。

 

混雑問題は、数学の言葉で記述することができます。

 

しかし、この問題を数学でとくことは、容易ではありません。

 

例えば、クラウドシステムであれば、ネットワークのどこに、データセンターを置くべきかは、大きな問題です。この問題については。数学者のコンサルタントがビジネスをしています。

 

つまり、博覧会協会は、「待たない万博」を数学の言葉で、記述して、解くことができなかったことがわかります。

 

4)解決に必要なアプローチ

 

問題を解くためには、数的言語で、問題を記述して、問題を解くアルゴリズムを発明する必要があります。

 

万博の最終的な入場者数は、誰にもわかりません。

 

マスコミは、万博の最終的な入場者数という結果(成果)を論じたがっています。

 

しかし、結果は誰にもわからないので、この方法では、理解が得られません。

 

成果主義は不毛です。

 

問題にすべきは、推論のプロセスです。

 

ロケットをつくるためには、設計図が必要になります。

 

同様に、博覧会の入場者数を増やすには、設計図が必要になります。

 

設計図は、メンタルモデルを使った推論によってつくることができます。

 

「1枚当たりの利益 X チケットの販売枚数」は、数学の言葉です。

 

これに、混雑度を追加したものは、メンタルモデルです。

 

博覧会協会が、使っている推論(数的言語、メンタルモデル)がわかれば、これから何がおこるか予測できます。

 

なぜならば、設計図のない活動はできないからです。

 

今回の情報では、博覧会協会は、どうして、入場者を増やすかという問題を考えるメンタルモデルをもっていないことがわかります。

 

どうやって、混雑度の問題を解決するのかという問題が、記述できていないことがわかります。

 

たとえば、数的言語があれば、1か月の入場者数をもとに、全期間の入場者数を予測することができます。

しかし、博覧会協会は、数的言語をもっていないので、全期間の入場者数を予測ができていません。