1)トランプ大統領の問い
遠藤誉氏は、アフリカについて、「中国が、アフリカで貿易面(経済面)で優位に立っている。一方、アメリカは、アフリカで軍事面で優位に立っている」といいます。
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トランプ関税とイーロン・マスクが、アフリカを中国にいっそう近づけた 2025/06/05 中国グローバル問題研究所 遠藤誉
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アメリカの軍事力は、中国の工業製品によってなりたっています。
つまり、アメリカの軍事面で優位は、近い将来に、中国に競り負ける可能性があります。
トランプ大統領の問いは、「どうしたらアメリカの軍事力の優位の崩壊を防ぐことができるか」という点にあります。
「アメリカの軍事力の崩壊を防ぐ」ためには、アメリカ国内に製造業が必要です。
つまり、トランプ大統領の問いは、「どうしたらアメリカに製造業を呼び戻せるか」という問いでもあります。
エマニュエル・トッド氏は、アメリカの製造業の復活の必要性は理解しつつ、それは、既に手遅れであるといいます。
手遅れであるという根拠は、既に、アメリカのエンジニアの絶対数が減少してしまった、人材がいなくなったという点にあります。
関税をあげて、アメリカに工場をつくっても働くエンジニアの絶対数が不足していて、現状では工場を動かせません。
この問題に対するイーロン・マスク氏の見解はトッド氏とは異なっていています。
マスク氏は、ロボット(無人)工場での生産が可能であり、エンジニア不足は、問題ではないと考えています。
しかし、ロボットが働いても、トランプ大統領の支持基盤である「忘れられた人々」の収入にはつながりません。
この点で、トランプ大統領とマスク氏は、同床異夢です。
冷泉彰彦氏は、次のように言います。
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アメリカの「忘れられた人々」というのは、国全体が21世紀型の知的高付加価値産業に最適化していく流れに乗り遅れた人々です。しかも学び直しという屈辱に甘んじるのはイヤだから「アメリカの歴史を反転」させて「自分の名誉が回復」できるようにして欲しいという無茶を言っているわけです。つまり、悪いのは自分たちなのです。
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トランプの政策に日本の現状を重ねて共感するのは、とんだお門違い 2025/02/12 Newsweek 冷泉彰彦
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2025/02/post-1380_1.php
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トランプ大統領のプランAは、関税化政策です。
トランプ大統領は、今のところ、プランAが最良の問題解決法であると考えています。
しかし、冷泉氏が指摘するように、「忘れられた人々」は、「学び直しという屈辱に甘んじるのはイヤだ」と考えている場合には、エンジニアの数は増えません。
マスク氏のアイデアのように、ロボットがエンジニアを代替すれば、アメリカに製造業が戻ってきて、「アメリカの軍事力の崩壊を防ぐことができる」と思われます。
しかし、その場合でも、「忘れられた人々」の不満を解消して、収入を回復することはできません。
マスク氏は、「忘れられた人々」を気にしてはいません。議会選挙に負けて、連邦議会の多数派を失えば、トランプ大統領は、何もできなくなります。なので、トランプ大統領としては、「忘れられた人々」対策が欠かせません。
プランAには、致命的な問題があります。関税の有無に関係なく、「忘れられた人々」が、より生産性の高い異なったジョブに労働移動しない限りは、所得を増やすことができません。プランAには、この問題点の解決策がありません。
つまり、プランBが必要です。
プランBは、産業間の労働移動を適切に起こすものになります。
例えば、アメリカでは、製造業から、金融業への労働移動が起きました。逆向きの労働移動を起こすのであれば、関税ではなく、国内の税制を調整することで、労働者の移動を制御することも考えられます。
しかし、「忘れられた人々」は、金融業界で働いているエンジニアのようなスキルがありません。
自由貿易をすすめれば、労働市場の国際化が起きます。世界レベルで、同一労働同一賃金になります。かつては、先進国に住んでいるというだけの理由で、途上国の人より高い賃金を得ることができました。しかし、現在では、そのような先進国の特権は失われつつあります。
「忘れられた人々」に対応したプランBは、非常に困難です。
「忘れられた人々」が、プランAは無理であると納得する、プランBの方が、プランAよりましだと考えるようになるなどの状況変化がないと袋小路に陥ります。
プランBが提案できない場合には、カタストロフィのシナリオも想定する必要が出てきます。