なぜの本(9)

7)財務省は不要か

 

財務省厚労省解体デモが行われています。

 

問題を検討する場合に、問いが重要です。

 

財務省は不要」という問いは、検討することが困難です。

 

「主計局の予算編成作業は、AIで代替可能か」というようにインスタンスのある問いでなければ答えることができません。

 

財務省の機能を代替することが可能かという問いであれば、代替案を並べれば、比較検討が可能になります。

 

ここでは、「財政均衡主義は、経済成長にプラスか」という問いを考えます。

 

この代替案の一つは、「財政均衡主義でない場合」になります。

 

もう一つの代替案は、「歳出を削減する場合」になります。

 

財政均衡主義」の実態は、「増税主義」になっています。

 

2025年4月15日に開かれた、財務省財政制度等審議会。私学助成の見直しを提案しています。これには、私学助成を減らしたいという意図があります。

 

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教育の質はどう測る? 財務省が私大授業を“義務教育の内容”と問題視 指摘された大学は「4年後に社会で活躍できる人材になるための教育が使命」2025/04.24 Ameba Times

https://news.yahoo.co.jp/articles/f4db414b2e4834247d9430338c5093fc1239a8c8

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慶應義塾大学・中室牧子教授は、高等教育の卒業者に関して、同一個人を長期的に追跡したコホートデータがないので、教育効果の評価はできないといいます。

 

つまり、財務省も、文部科学省も段落の論理で政策を行ってきたので、データがなくても問題にならなかったことがわかります。

 

しかし、段落の論理では、データがないので政策効果の評価ができず、予算をけずることは不可能です。増税主義になる原因には、段落の論理があります。

 

財政均衡主義は、経済成長にプラスか」という問いを因果推論の科学で考えます。

 

7-1)交絡因子

 

以下では、断わらない限り、<>は、「因果推論の科学」からの要約引用です。

 

私の同僚の教授たちは、皆、相関と因果を区別する数式(数学的言語)を持たなかったが、誰一人、一度も、不満を持ったことがないと断言してもいい。

>p.16

 

この説明は、相関と因果を区別する数学的言語に関するものです。

 

交絡とは、観察確率P(Y|X)と介入確率P(Y|do(X))の不一致を引き起こすものと定義できる。

>p.233

 

おざっぱに書けば、次になります。

 

介入確率=観察確率ー交絡

 

したがって、非常におおざっぱなイメージの理解をすれば、次の関係があります。

 

因果=相関ー交絡

 

無意味な疑似相関が生じる原因には、交絡因子と「時系列データ」があります。(因果推論の科学、p.112)以下、時系列は無視できるとします。

 

「私の同僚の教授たちは、皆、相関と因果を区別する数式(数学的言語)を持たなかったが、誰一人、一度も、不満を持ったことがないと断言してもいい」は、「私の同僚の教授たちは、皆、交絡を表現する数学的言語を持たなかったが、誰一人、一度も、不満を持ったことがないと断言してもいい」と言い換えることができます。

 

つまり、「同僚の教授たちは、交絡因子を無視するリスクがあったにもかかわらず、不満を持ったことがない」と言えます。

 

「同僚の教授たち」を、有識者などに置き換えれば、「交絡因子を無視している」人の発言には、交絡因子という間違いが紛れ込んでいる可能性があることを意味します。

 

筆者のよく知っている、既に故人になったある土木工学の権威は、土木工学は経験科学であるといっていました。この発言には、交絡因子はでてきませんので、「同僚の教授たち」と同じ間違いをしています。

 

片野歩氏は世界で、漁獲量が減っている国は、日本くらいしかないので、漁獲量減少の原因を外国や海水温上昇(温暖化)のせいにするのはやめるべきであるといいます。

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ついに韓国にも抜かれる日本の漁業…大差をつけられる養殖業、外国や海水温上昇のせいにするのはもうやめよう 2025/04/30 Wedge 片野 歩

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/37439?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink

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 片野氏の推論は、交絡因子を排除できていませんので、因果推論の科学としては問題があります。

 

とはいえ、日本政府の説明は、交絡因子を全く無視した間違った推論になっていることは事実です。

 

コメの価格が下がりません。政府の説明は、交絡因子を無視した間違った推論になっています。

 

財政均衡主義は、交絡因子を無視しているので、間違った推論です。

 

政府の政策で、交絡因子が問題になったことはありません。つまり、因果推論の科学でみれば、政府も有識者会議も、基本的な推論が、交絡因子を無視している点で、間違っています。

 

7-2)反事実的な問い

 

20年まえですら、「アスピリンは頭痛を止めるか」という質問を統計学者に投げかけるだけで、「私はブードゥー教を信じています」と言ったかのような扱いを受けた。著名な教授は、その質問は、「科学の対象とは言えない」といった。しかし、現在では、物のわかった学者たちは、日常的にこの種の問を立て、それに数学を駆使して厳密に答えている。

>p.21

 

頭痛が治った時に、服用したアスピリンが効いたかという問いに答えるには、時間をさかのぼって、歴史を改変し、「もしアスピリンを服用しなかったらどうなっていたか」を問う必要がある。(アスピリンを飲んだ)現実の世界と(アスピリンをのまなかった)架空の世界を比較できる反事実的な問いに答えられる因果モデルが必要になる。

>p.59-60

 

あらゆる反事実的な問いに対し、答えとなる値(あるいは確率)を求めることが可能になっている。

>p.40

 

さて、以上の説明の「アスピリンが効いたか」は「財政均衡主義が効いたか」に置き換えることが可能です。工夫すれば、「財務省がなかったら」のような質問にも答えることができます。

 

古田大輔氏は、財務省厚労省解体デモについて次のように言っています。

 

ファクトチェックには重要な限界があります。客観的に検証できるのは、具体的に「事実」が提示されている偽・誤情報だけだということです。

 

財務省厚労省を解体せよ」というのはその人のオピニオンであり、思想信条の自由です。ナラティブや個人の体験・感覚も、その人個人に根ざしたものですので検証できません。

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財務省厚労省解体デモで拡散した検証済みの偽・誤情報 通底する「ナラティブ」と「個人の体験・感覚」【解説】2025/05/03 古田大輔

https://www.factcheckcenter.jp/explainer/others/disinfo-narrative-opinion-exp/

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古田大輔氏は、は、反事実的推論は、客観的に検証できないといいます。

 

しかし、因果推論の科学では、反事実は、事実と同じ、客観的な事実です。

 

因果推論の科学では、時間をさかのぼって、歴史を改変することが、科学的に出来ます。

 

財務省を解体した場合」も、その内容を代替案を含めた具体的なインスタンスに落とし込むことができれば、科学的に、時間をさかのぼって、歴史を改変することができます。

 

交絡因子が理解できていない官僚と政治家は、科学的に、時間をさかのぼって、歴史を改変することができるとは想像していないと思われます。