なぜの本(1)

1)因果関係の数学化

 

パールの「因果推論の科学」の英語のタイトルは、「The Book fo why - The New Science of Cause and Effect」です。

 

筆者は、今まで、このタイトルを理解していませんでした。

 

パールは、相関は、因果ではない。

 

交絡を無視すれば、正しい推論にならないといいます。



政府は、「”就職氷河期世代”支援強化」をするといいます。

 

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就職氷河期世代”支援強化へ初会合 住宅確保など支援策検討 2025/04/25 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250425/k10014789171000.html

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25日、立憲民主党も政策提言を行い、国民民主党も4月にYouTube就職氷河期世代に向けた公式チャンネルを立ち上げるなど議論が活発化しています。

 

就職氷河期世代」とは、内閣府によりますと、バブル崩壊後の1993年から2004年ごろ雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代のことで、現在おおむね30代後半から50代前半の人が当てはまり、約1700万人いるといわれています。

 

バブルが崩壊して企業が採用を絞ったことで、なかなか希望の会社に入れず、なかなか正社員になれず、非正規で働かざるを得ないという学生も結構いました。

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なぜ?「就職氷河期世代」への支援続々…石破首相が“就労支援”など3本柱の対策を指示するなど各党が発表 2025/04/25 FN

https://news.yahoo.co.jp/articles/75e2b0783d28d134b673e83389ea8b4005d47161

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この対策には、3つの疑問があります。

 

第1に、非正規で働かざるを得ないという状況は、1995年に日経連(現経団連)が策定した経営改革ビジョン「新時代の日本的経営」に基づいています。自民党は、「新時代の日本的経営」に基づいて非正規採用の拡大を進めてきました。「新時代の日本的経営」は、年功型雇用であり、ジョブ型雇用による新産業へのレジームシフトを拒否していますから、生産性があがらず、デジタル赤字が拡大します。

 

つまり、”就職氷河期世代”は偶然できたのではなく、確信犯として、創出しています。「新時代の日本的経営」には、”就職氷河期世代”をつくると書かれています。

 

第2に、“就職氷河期世代”支援強化の財源は、税金です。税金を補助金に使えば、減税する場合にくらべて、手数料(官僚の人件費、天下り経費、政治家への寄付金)分だけ、負担が大きくなり、経済成長を止めてしまいます。

 

第3に、財源が税金である限り、若年層の給与を増やさない限り、問題は解決しません。

 

さて、話を、「因果推論の科学」に戻します。

 

パールは、なぜの疑問に答えるためには、因果推論が必要であるといいます。

 

たとえば、「”就職氷河期世代””老後生活の生活費をどうしたら確保できるか」は、「なぜの疑問」です。

 

パールは、「統計的因果推論」(2000)のなかで、「因果関係は数学化された」と述べたと「因果推論の科学」(p.7)の「はじめに」でいっています。

 

数学の問題は、数学的に正しい方法で推論する必要があります。

 

「1+1=2」という推論は、正しいですが、「1+1=5」は、間違いです。

 

政府の「“就職氷河期世代”支援強化には効果があるか」も、個別の政策について見れば、「なぜの疑問」です。

 

政府の「大規模金融緩和には効果があるか」も、「なぜの疑問」です。

 

こうした政府の政策に効果があるか否かは、因果推論の科学を使わないとわかりません。

 

しかしながら、政府が、因果推論の科学を使っていない場合、相関と因果の区別ができていません。

 

政府が、因果推論の科学を使っていない場合、交絡因子を排除できていません。

 

数学の答案を採点する場合には、結論ではなく、プロセス(推論)をみます。

 

途中の計算で、「1+1=5」を使っていれば、結論を読むことなく、結論は間違いであると断定することができます。

 

「”就職氷河期世代”支援強化」で、政府は、因果推論の科学をつかっていません。

 

したがって、「”就職氷河期世代”支援強化」には、効果があるという命題は、間違いです。

 

おそらく、「The Book fo why」の意味することは、このようなことであると思われます。

 

惑星の移動を星占いで予測することができるかもしれません。

 

しかし、力学という科学的に正しい推論の方法がわかった時点で、科学的でない推論は、否定されます。

 

パールが、「因果革命」と呼ぶ理由は、ここにあると、思われます。